2018-0222
不動産経済研究所は2018年2月21日、2017年の全国マンション市場動向を発表した。それによると民間マンションの2017年の発売戸数は7万7363戸となり、前年に比べて0.5%の増加となった。これは4年ぶりの前年比での増加となる。一方で戸あたりの平均価格は4739万円となり、前年比で3.9%の増加を見せている(【発表リリース一覧ページ:全国マンション市場動向2017年(年間のまとめ)】)。
2017年における全国のマンション販売動向の詳細な解説はリリースにある通りだが、概要をまとめると以下のようになる。

・マンションの発売戸数は前年比0.5%増。首都圏、近畿圏、北海道、北陸・山陰、四国が増加している。全国比で1/4強となる近畿圏では4.7%と大幅な増加ぶり。

・発売価格平均値は4739万。前年の4560万円と比べて3.9%の上昇。1平方メートルあたりの単価は69.6万円。前年比で4.1万円・6.3%のアップ。

それでは早速過去のデータと合わせ、発売戸数と発売価格をグラフ化し、状況の推移を推し量ることにする。まずはマンション販売戸数推移。首都圏・近畿圏・その他、そして全国の合計値について。


↑ 民間マンション販売戸数前年比(2017年)

↑ 民間マンション販売戸数推移(2017年分反映)
↑ 民間マンション販売戸数推移(2017年分反映)

発売戸数そのものは、直近のいわゆる「不動産プチバブル」時期にも大きくプラスに転じていたわけでは無い。首都圏・近畿圏ではほぼ横ばいに推移し、「その他」地域が2005年から1、2年増えている動きを見ると、大都市圏では無くその周辺地域で発売物件数が増加していたことが分かる。

一方で首都圏では2005年から、近畿圏でも2006年あたりから発売戸数の減少が見られ、それに伴い全国合計数も減少。2007年以降は雪なだれ式にその数を減らしている。2009年にはその動きもようやくゆるやかなものとなり、2010年に至ると首都圏ではプラスに転じることになった。他方近畿圏・その他も持ち直しを見せているが、その歩みはゆるやかなものに留まっている。

2013年は景気の回復感、不動産に対する投資意欲の復帰、さらには消費税率引上げ前の駆け込み需要などプラス要素が重なり、特に首都圏で大きく上昇した。近畿圏はメインとなる大阪府の供給が前年からほぼ横ばいだったのを受け、上昇幅も大人しいものとなっている。

そしてその次の年となる2014年は消費税率引上げによる、直前までの特需の反動、さらには消費性向の減退に伴い、どの地域でも大きく販売戸数は減退。全国の値ではリーマンショック後に大きく下落した後、立ち直りを見せ始めた2010年の値である8万4701戸/年にほぼ近しい水準にまで下落してしまっている。

直近となる2017年では首都圏は小幅な増加、近畿圏では大幅な増加を示す一方で、その他地域は少なからぬ減少を示している。前年となる2016年の前年比でその他地域がプラス20.5%と大幅な増加を計上したこともあり、その反動が出ているのだろう。

大きく増加した近畿圏の内情を見るに、兵庫県や京都府、奈良県では減少したものの、大阪府や滋賀県、和歌山県では増加している。特に近畿圏のシェアの6割を超える大阪府でプラス12.7%と大幅な増加を示したのが、近畿圏全体の戸数底上げにつながっている。

首都圏ではここ数年記録の限りにおいて最少値を更新していたが、2017年ではかろうじて前年比プラスを計上した。これは首都圏全体の4割超えのシェアを持つ東京都区部において、プラス8.5%を計上したことが大きい。

続いて販売価格推移。「その他の地域」は値が非公開のため、全国、首都圏、近畿圏のみの動向を記す。

↑ 民間マンション販売価格前年比(2017年)
↑ 民間マンション販売価格前年比(2017年)

↑ 民間マンション発売価格推移(万円)(2017年分反映)
↑ 民間マンション発売価格推移(万円)(2017年分反映)

販売戸数の動向とは連動性の無い形でのグラフが描かれている。元々マンションは高額商品であり大抵は一生、あるいは半生をかけてローンを支払っていくもの。年間で10%も20%も上下されては困るが、それでも(大きな上昇が見える)2007年は7.1%も上昇していた。2008年は2.3%と上昇率が落ちたが、まだ全国平均では上昇していた。

「このまま上昇を続けるのでは」とも思われたが、需給バランスの関係から高値維持は難しいようで、2009年はさすがに下落傾向を見せた。しかし2010年には大手デベロッパーが主導する形で都市部の市場を形成し、それぞれの圏域での上昇を支えていた。その後数年は下げ基調にあったものの、2013年以降は増加に転じ、その上昇率も以前同様、さらにはそれ以上の動きを示す形となっている。

直近の2017年では全国の上昇率はプラス3.9%、首都圏ではプラス7.6%、近畿圏ではマイナス2.1%。その他地域総合の価格動向が無いのは残念だが、戸数が大きく増加した近畿圏で単価は販売価格が逆に落ちているのが興味深い。レポートではいくつかの地域の価格も計上されているが、首都圏では該当地域すべてで上昇(例えば神奈川県ではプラス8.3%)。近畿圏では複数地域で下落しており、例えば京都府ではマイナス12.2%、奈良県ではマイナス5.8%となっている。プラスは兵庫県のプラス2.0%、滋賀県のプラス15.9%、和歌山県のプラス2.6%。地域別の単純合算では無く加重平均での計算であることから、戸数の多い大阪府や京都府で下落をしたのが、近畿圏全体でマイナスとなった要因だろう。



不動産の動向は取引単価が大きいことから、経済そのものの流れにおいて無視できぬ要素となる。2017年は全体戸数・販売価格が増加しており、経済的な観点では好ましい結果となったと評価できる。

なお同研究所では2018年の販売動向について、7.85万戸・1.5%の増を予想している。その予想にどこまで実態が近づくか、注意深く見守りたい。