大塚家具の大塚久美子社長(写真:東洋経済/アフロ)

写真拡大

 大塚家具が危急存亡の秋を迎えている。2月8日に発表された2017年度の単独決算は、最終損益が72億円の赤字だった。2期連続の赤字で、前の期(45億円の赤字)を大きく上回った。

 売上高が前年比11.3%減った(410億円)。その結果、固定費が重くのしかかり、営業赤字が51億円にまで拡大(前の期は45億円の赤字)。不採算店の減損処理や店舗の小型化に伴う費用を特別損失に計上したことが加わり、最終損益が大幅赤字になった。

 2014年に表面化した“お家騒動”に端を発した業績悪化の流れは止まりそうもない。業績回復に向けて「お詫びセール」や「売り尽くしセール」などを実施するも、「高級品をやめて低価格路線に変更した」というイメージがついてしまい、それまでの客が離れてしまう結果になってしまった。

 鳴り物入りで打ち出したアウトレット家具やリユース家具の販売も、鳴かず飛ばずの状況にある。17年度のリユース品の売上高は4億円程度とみられ、前年度からは伸びているものの、全体の売上高に占める割合はわずか1%程度にすぎない。17年9月には「アウトレット&リユース横浜」が閉店に追い込まれてもいる。

 このように、アウトレットとリユースは今のところ業績回復の切り札になっているとは言い難い。むしろ、「低価格路線に変更した」というイメージの増幅につながっている感さえある。大塚久美子社長は「低価格路線に変更したというのは誤解だ」と説明しているが、むしろ誤解しているのは消費者ではなく久美子社長だろう。正規品の販売がおぼつかないなかでアウトレットやリユースを強化しているのだから、低価格路線に変更したと捉えるのが普通の感覚ではないか。

 やることなすことすべてが空回りして業績悪化につながっているわけだが、加えて深刻なのが財務状況だ。そのなかでも特に懸念されるのが現預金の枯渇だ。17年度末の現預金はわずか18億円で、16年度末からは半減している。14、15年度末にはそれぞれ100億円以上あったので、そこから比べると5分の1以下にまで減っているのだ。

 投資有価証券が減っていることも見逃せない。大塚家具はこれまで投資有価証券を売却して赤字幅を縮小してきた経緯がある。たとえば、17年度は11億円、16年度は4億円の投資有価証券売却益を計上している。このように投資有価証券の売却を続けているため、13年度末には117億円あったが、17年度末には27億円にまで減っているのだ。

 今年度も大幅な営業赤字を出すようであれば、投資有価証券の売却益だけでは最終赤字を食い止めることができない恐れがある。そして最終赤字が大きければ現預金が足りず、資金がショートしかねない。

●具体的根拠のない成長戦略

 大塚家具は、こういった事態に陥らないためにも、構造改革を断行する方針だ。その結果、18年度は売上高が前年度比11.2%増の456億円、営業利益が2億円の黒字を見込む。

 大ナタを振るうことになるのが「賃借料」だ。17年度に94億円だったものを17.7%減らし、今年度は78億円にまで引き下げる。賃借料は固定的な費用のため、17年度はこれが重くのしかかり、赤字幅を拡大させる要因となった。そこで、大型店舗を減らしたり店舗面積を縮小するなどで賃借料の低減を図る方針だ。

 また、17年11月に発表した、貸会議室を運営するティーケーピー(TKP)との提携も有効活用することも視野に入れている。長期の賃貸契約の不動産は簡単に縮小できないため、使われないスペースにイベントスペースや貸会議室を設けるなどして賃借料を少しでも抑えたい考えだ。

 ただ、やみくもに店舗面積を縮小したりスペースを又貸しするのは、危険な面もある。タブレット端末で色違いやサイズ違いなどを見られるようになったことから、「店頭で必要な展示数を減らすことができるので、必要面積は縮小しても問題ない」と同社は説明している。確かに、タブレット端末を活用することで、商品確認は可能だろうが、実際の色やサイズを見たいという人は少なからずいるはずで、そういった客の売り上げが見込めなくなってしまう恐れがある。経費は減らせるとしても、売り上げは間違いなく減ってしまうだろう。

 もうひとつ大ナタを振るうことになりそうなのが、「人件費」だ。17年度に88億円だった人件費を8.6%減らし、今年度は80億円にまで引き下げる方針を示している。17年度に50名だった新卒採用者を今年度は10名にまで抑える。今年度末の営業部門の人員数は、17年度末より68名少ない1001名を計画している。

 このようにリストラ策を中心にして構造改革を行う方針だが、肝心の成長戦略に関しては内容が乏しいものとなった。柱のひとつとして法人営業を挙げ、今年度の売上高の見込みを17年度比68%増の90億円としているが、具体的な根拠は示されていない。20年の東京五輪に向けたホテル需要を挙げているが、それほどの需要があるとは思えないし、あったとしても特需的な側面が強いため業績への貢献は一時的なものにすぎないだろう。

 具体的な成長戦略が見えないなかでリストラばかりが先行していては、社員の士気は上がらない。大塚氏が社長に復帰したのは15年1月だが、その後の人員数(役員やパートなどを除く)は減少し続けている。15年度末は1744名で、それまで増加傾向を示していたが、16年度末には前年度より82名少ない1662名になった。さらに17年度末は173名少ない1489名にまで減っている。

 従業員の士気が上がらなければ、業績回復もおぼつかない。接客要員に関していえば、士気の衰えが接客力の低下につながってしまう。接客力が落ちれば売り上げは上がらない。そしてさらなる業績悪化で追加のリストラを招いてしまう。具体的な成長戦略を描くことができなければ、この悪循環から抜け出すことはできないだろう。

 今回の決算では、具体的な成長戦略を示せず不安要素ばかりが目立った。資金ショートが懸念されているいま、大塚家具に残された時間は少ない。
(文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント)

●佐藤昌司 店舗経営コンサルタント。立教大学社会学部卒。12年間大手アパレル会社に従事。現在は株式会社クリエイションコンサルティング代表取締役社長。企業研修講師。セミナー講師。店舗型ビジネスの専門家。集客・売上拡大・人材育成のコンサルティング業務を提供。