米クアルコム傘下のQualcomm Technologiesは、新チップセット「Snapdragon 845」を搭載するモバイルVRデバイスのリファレンスモデルやWi-Fiの新規格「IEEE802.11ax」をサポートするスマートフォン向け統合チップセットなどを発表した。これらを含め、クアルコムは2月21日付で計11本のニュースリリースを発表している。今回発表された製品の一部は2月26日よりスペイン・バルセロナにて開催される展示会「MWC 2018」での展示が予定されている。

Snapdragon 845搭載VRデバイス

 VRの分野では、2018年初に発表された新チップセット「Snapdragon 845」を搭載したリファレンスデバイスを発表。高度は画像処理技術を活用したモバイルVRを実現する製品で、商用製品メーカーが開発する際のモデルとして提供される。Snapdragon 845はGoogleのVRプラットフォーム「Daydream」をサポートし、前世代に当たるSnapdragon 835からグラフィックス処理速度が30%向上し、電力効率も30%改善されているという。

Snapdragon 845搭載VRデバイスのモックアップ

Snapdragon向けエッジAIエンジン

 チップセットの性能を利用してAIの処理を行うエッジAI技術。チップセットで競合に当たるファーウェイ傘下のHiSiliconは「Kirin 970」でサポートしているが、今回クアルコムからも発表された。同社の「Qualcomm AI Engine」は、Snapdragon 845/835/820/660をサポート。Snapdragonチップセットに含まれるHexagon、Adreno GPU、Kryo CPUなど利用して、アプリでのAI処理を高速化する。モトローラ、ASUS、ZTE、OPPO、Xiaomi、OnePlusなど、スマートフォンメーカー各社が活用するという。

「Snapdragon 845」で1対多のBluetoothオーディオ

 クアルコムのBluetoothオーディオ技術「Qualcomm Broadcast Audio」がSnapdragon 845でサポートされる。これは、1台のデバイスから複数のBluetoothオーディオ機器へ、同じ音源をラジオのように同時配信する機能。複数のスピーカーで再生したり、複数人のBluetoothヘッドセットへ同じガイダンスを流したりできる。

次世代Wi-Fi「IEEE802.11ax」対応のスマートフォン向けチップ

 規格策定中のWi-Fi「IEEE802.11ax」に対応するチップ「WCN3998」が発表された。2018年第2四半期よりサンプル出荷される。スマートフォン、タブレット、ノートブックを対象とした業界初の製品とされており、前世代製品と比べて、ネットワークスループットは2倍に向上する一方、消費電力は67%削減されているという。

「Windows on Snapragon」でMSと販売協力、日本は含まれず

 クアルコムと米マイクロソフトは、Snapragonを搭載するWindows PC「Always Connected PC」の販売で協力する。ASUS、HP、レノボが製造する製品が2018年第1四半期より発売される予定となっている。第1次販売国は、米国、英国、中国など6カ国で、日本は含まれていない。このPCに対応する通信事業者もあわせて発表されているが、こちらも日本のキャリアは含まれていない。

公衆Wi-Fiへの接続を高速化する新技術、渋谷で実験

 同社はKDDIらと公衆Wi-Fi向けの認証技術「Wi-Fi CERTIFIED Vantage」の機能拡張の効果を検証した。渋谷で行われたフィールドトライアルでは、30%の通信効率改善と、最大10倍の接続速度向上効果が確認された。詳細は別のニュース記事にて紹介している。

 このほかクアルコムは、IoT向けの高性能チップセット「Snapdragon 820E」、完全ワイヤレスオーディオの新技術、自動車向け通信「セルラーV2X」の技術検証関連、Wi-FiやZigbeeなどをサポートするIoT開発キットについて発表している。