2013年、朝鮮中央テレビに出演し、軍最高司令部報道官の声明を発表する金氏=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が平昌冬季五輪の閉会式に出席する高官代表団の団長に指名した金英哲(キム・ヨンチョル)朝鮮労働党副委員長は、対韓国政策を統括する統一戦線部長を兼任している。

 金氏は北朝鮮軍内の代表的な韓国通として、1980年代後半から南北対話に関わった。

 2009年に中将から上将に昇進し、対韓国工作の司令塔、総参謀部偵察総局長に任命された。16年から統一戦線部長を務めており、対韓国強硬派とされる。

 金氏は46人が犠牲となった北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈事件が起きた10年当時に偵察総局長を務めていたため同事件を主導した人物の一人とされ、韓国では同氏の訪韓を問題視する声が出ている。最大野党「自由韓国党」は「天安の撃沈の主犯は韓国の土を踏めない」と強く反発した。

 偵察総局は韓国の民間人2人と海兵隊員2人が犠牲となった10年の延坪島砲撃事件やサイバー攻撃など、韓国にとって脅威となるさまざまな挑発行為に深く関与した疑いが持たれている。

 韓国統一部は金氏の韓国訪問について、「北が高官代表団の目的を『閉会式参加』と明らかにしたことを優先的に考慮した」とし、「南北関係の発展や朝鮮半島の平和定着という大きな枠組み(という観点)から受け入れる方針だ」と述べた。また、「天安」撃沈事件に関しては「民軍合同調査団が北の魚雷によるものという結論を出したが、偵察総局長が攻撃を主導したとは発表していない」と説明した。

 この事件などを受け、米国は2010年8月に偵察総局と金氏を米国への入国などが禁止される独自制裁の対象に指定した。韓国政府も2016年、独自制裁の対象とした。

 ただ、韓国の制裁には金融取引の禁止や国内資産の凍結は含まれているが、韓国訪問を制限する内容はなく、今回の訪韓自体に大きな問題はないとしている。

 国連安全保障理事会の制裁対象にも「キム・ヨンチョル」という人物が指定されているが、同姓同名の別人だ。

 一方、北朝鮮代表団として約2週間ぶりに韓国を再訪問する李善権(リ・ソングォン)祖国平和統一委員会委員長は金氏の右腕とされる。金氏と同じく軍出身で南北交渉の経験が豊富な李氏は、平昌五輪に合わせて行われた南北対話で趙明均(チョ・ミョンギュン)統一部長官のカウンターパートの役割を果たした。