「軍事演習を再開しない理由はない。私たちは長年にわたって演習を続けてきた」

 米国務省のナウアート報道官は20日、北朝鮮の核ミサイル問題について「外交による解決を優先する」とした一方で、北朝鮮が求める米韓合同軍事演習の中止には応じないことを明らかにした。また、北朝鮮メディアが「対話にも戦争にも準備ができている」とけん制したことに対しては、「どの国もいかなる可能性にも備えなければならない」と取り合わない姿勢を示した。

 韓国の中で「北朝鮮にも配慮した方がいいのではないか」との声もあがるなか、米韓の足並みは揃っているのか。『けやきヒルズ』(AbemaTV)では、政治学者で東京大学先端科学技術研究センター助教の佐藤信氏に見解を聞いた。

 去年11月にトランプ大統領が韓国を訪問した際、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の握手を無視したかのようなシーンがあった。この時から米韓の間に温度差はあったのか、佐藤氏は「文大統領が当選の公約としてアメリカからのTHAADミサイル導入を否定した経緯もあるし、リーダーとしての関係もトランプ大統領と安倍総理の方がはるかに良い。ただ、外交というのはリーダーだけが主導してどうにかなるものではなくて、官僚が支えていくことが重要。下がしっかり支えていれば、たとえ上がうまくいってなかったとしても、北朝鮮への対応などは回せる。それがうまくいっていない、足並みが揃っていないのが最近の状況」と指摘する。

 また、その状況を象徴することとして「駐韓大使の不在」があるという。

 「トランプ政権が発足してから1年間、駐韓大使不在という状況がずっと続いている。有名な国際政治学者で、東アジアの同盟関係を研究しているビクター・チャ氏という候補はいた。ブッシュ政権下でも政権に関わっていて、トランプ政権下で次期駐韓大使の候補とされていたが、つい最近になって北朝鮮への“限定攻撃案”に反対したということで候補から降ろされた。単に空席ということではなくて次の候補すらいない状況」

 続けて佐藤氏は「北朝鮮に対して、アメリカの同盟国の中で最前線にいる韓国に大使がいない。しかもアメリカ国務省のスタッフにも空席が多い状態。(外交に)どう対応するか、官僚機構も人的リソースが欠乏している。そんな中、マクマスター大統領補佐官が対応しているが、東アジアを担当する中で韓国とどう調整するかまでは完全に回っていない。足並みはかなり乱れている」と述べた。

 では、なぜここまで関係は冷え切ってしまったのか。佐藤氏は理由の一つとして、「対北朝鮮でのアメリカと韓国の温度差」をあげた上で、「同盟国だから常に一致して動けるというわけではない。例えばソウルは北朝鮮と極めて近くて、ロケット砲でも射程に入る。韓国としては、核どうこうではなく戦争が起きると即国民が危険な状態に晒される。一方、アメリカはICBMで本土に届くような核が重大なリスクとなっていて、ミサイルを完璧に開発されるのを防ぎたい。つまり韓国とアメリカはまったく違う利益を追及していて、日本はミサイル防衛という点でアメリカと一致しているが、韓国は実は違う。各国の置かれている立場を理解しないといけない」と話した。

(AbemaTV/『けやきヒルズ』より)

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