シャープは21日、auのスマートフォンAQUOSユーザーを対象としたファンイベント「au×AQUOS Special Night」を開催した。

 イベントはシャープ東京支社で実施。抽選で募集した約30名のユーザーが招かれ、auのAQUOS最新モデル「AQUOS R SHV39」「AQUOS R compact SHV41」「AQUOS sense SHV40」を体験した。

 「AQUOS R」シリーズの企画チーフを務めた小林繁氏から製品のコンセプトが紹介されたほか、フォトグラファーの黒田智之氏による撮影講座などを計3時間にわたって実施。開発担当者との座談会では、デザインへのこだわりや画質調整の工夫などが紹介され、参加者は熱心に聞き入っていた。

 会場にはauから「おもいで ケータイ再起動」のメンバーも駆けつけた。ユーザーが過去に使っていた携帯電話のバッテリーを充電し、端末内に残っている写真やメッセージを閲覧できるようにするというこの企画。すでに全国のau直営店で順次実施されており、手慣れた手つきでバッテリーを復活させていた。

 また、ふだんはシャープ東京支社のオフィス受付に置いてあるという、シャープが歴代製品も展示されていた。社名を冠した「シャープペンシル(早川式繰出鉛筆)」や、国産第1号テレビなど、老舗企業ならではの貴重な産業遺産が並んでいた。

 イベントは今後、NTTドコモのAQUOSユーザーを対象とした「docomo×AQUOS Special Night」が3月6日に、ソフトバンクのAQUOSユーザーが対象の「AQUOS Special Night ft.SoftBank」が3月14日に開催される。ドコモ向けのイベントの応募受付は終了しているが、ソフトバンク向けのイベントは2月26日まで、シャープの公式サイトから応募を受け付けている。

「au×AQUOS Special Night」イベントの模様

商品企画担当の高木健次氏によるAQUOSシリーズの紹介

黒田智之氏の撮り方講座

開発者との座談会

AQUOS Rシリーズの展示

auの歴代のAQUOSシリーズ。2006年の「W41SH」が初参入

シャープが世に送り出した歴史的な製品の数々を展示

auの「思い出ケータイ再起動」も駆けつけた

“スマホ時代のスマートフォン”を目指す新生AQUOS

 2017年に発表した「AQUOS R」を皮切りに、新路線に舵を切ったスマートフォンAQUOS。「AQUOS R」「AQUOS R Compact」の2機種を展開するフラッグシップのAQUOS Rシリーズは、出荷数が目標の100万台に到達目前となった。また、キャリア向けの「AQUOS sense」のほか、MVNOや法人向けも含めた多数のラインナップがあるAQUOS senseシリーズも、発表から半年となる3月中にも100万台出荷が見えてきたという。

 2017年のAndroidスマートフォン販売シェアでも1位を獲得するなど、快進撃を見せるAQUOSシリーズ。企画チーフの小林氏は、快進撃の要因を、“戦略の転換”にあると説明する。AQUOS R以降の新生AQUOSでは、“スマートフォン時代ならではのスマートフォン”を目指しているという。

シャープ 通信事業本部 パーソナル通信事業部長 小林繁氏

 初のおサイフケータイ搭載Andoridスマートフォンとなったauの「IS03」など、シャープはスマートフォン普及期から製品を投入し続けてきた。その当時は、フィーチャーフォンからの移行期だったこともあり、フィーチャーフォンでできる機能すべてを、スマートフォンを買った状態で利用できる環境を目指し、プリインストールアプリを拡充していた。

 これに対し、スマートフォンが十分普及した現在。「スマートフォンはインフラに近くなった」(小林氏)と説明する。多くの機能はサードパーティーのアプリにより実現できるようになり、プリインストールアプリにこだわる必要性が薄れてきたという意味だ。

 そのスマホ時代のスマートフォンに求められているのは、「アプリが快適に動く環境を整えること」(同氏)。AQUOSではそのため120Hz駆動でなめらかにスクロールできる「倍速IGZO」など、ハードウェアでしかできない機能を搭載。OSアップデートも以前よりも積極的に提供する戦略に切り替えた。

 その一方で、プリインストールアプリは大幅に削減。メモ帳やボイスレコーダーなどのユーティリティアプリもプリインストールされなくなった。社内では「まだ使っているユーザーがいる」と反発の声もあったというが、サードパーティーからも多く提供され、ユーザーに選択の余地があるアプリなどはあえて削ぎ落していったという。一方で、OS自体のカスタマイズが必要な「簡易留守録」などは、利用するユーザーが多いことから残されている。

 また、ミドルレンジのAQUOS senseでは、MVNO向けにも積極的に展開している。「スタンダードモデル」と位置付けられたsenseシリーズについて、小林氏は「スマホの中のユニクロを目指したい」と語る。老若男女を問わず選べ、トレンドを抑えつつ、性能も確保した商品を、誰でも気軽に購入できるというコンセプトが、ユニクロの洋服になぞらえた表現だ。MVNO向けの積極的展開も、“誰でも買える”という方針から行っているものだという。

 ブランド戦略の転換とともに、新生AQUOSでは、ユーザーの声を取り入れた商品開発を強く意識している。今回のイベント冒頭では、小林氏から「お客様の生の声を聴きたい。良いことも悪いことも言ってください。対話の中で機能が生まれることもある」と語られた。こうしたユーザーと開発者が直接交流するイベントを通して、新機能のヒントを得ているという。

 例えば、「AQUOS R compact」で復活したベールビュー(のぞき見ブロック)機能や、声で予定を作成する「エモパーメモ」を言い直す機能などは、ユーザーの意見を取り入れたもの。機能としては実装されていないが、「亡くなった家族の声が“簡易留守録”に残されていて、スマートフォンを手放せない」という声を受けて、社内で議論するきっかけになったともいう。小林氏は「スマートフォンの機能改善はモノ視点になるが、こうしたイベントを通して、お客様の困りごとにどうしようという視点に立ち戻れる」と、その意義を語った。