画像提供:マイナビニュース

写真拡大

●同じ課題意識でDatriumを創業

仮想化とバックアップストレージの両分野の専門家が全く新しいストレージソリューションを引っさげて、Datriumが日本市場に参入した。「仮想化に適したインフラがない」という問題意識から開発したもので、ハイパーコンバージドインフラ(HCI)のスケール問題を解決すると意気込む。キーワードは「ステートレス」だ。

○同じ課題意識で創業

Datriumは、バックアップストレージアレイのData Domain(2009年にEMCが買収、現在Dell EMC)の創業メンバーであるBrian Biles氏、同じくData Domainでシステム開発を率いていたRex Walters氏、それにVMwareのプリンシパルエンジニアなど5人が2012年に立ち上げたベンチャー企業だ。共通して抱えていたのは、「新しい種類のコンバージドインフラが必要」という課題意識だ。

DatriumのCEOを務めるBiles氏は、I/0高速化、コンピューティング、プライマリストレージ、バックアップを統合することで「ハイパーコンバージドを次のレベルに引き上げる」と約束する。

○主力製品の「Datrium DVX」

仮想化と拡張性のあるバックアップストレージの2つの専門知識を組み合わせたのが、主力製品の「Datrium DVX」だ。DVXはそれぞれ、分散(Distributed)、仮想化(Virtualized)を指し、Xは「コンピュート、プライマリストレージ、セカンダリ(二次)ストレージ、データ保護、データ管理、暗号化、DR(ディザスタリカバリ)など、分散仮想化環境で必要なもの全てを詰め込んだ」と開発を主導するWalters氏は説明する。

「現在のITは、クラウドのような体験を求めている。SAN、NASといった伝統的なストレージは縮小気味、代わってエンタープライズコンバージドインフラが拡大しており、これに合わせた製品と言える」(Walters氏)

Datrium DVXは、「DVX Host Software」「DVX Compute Nodes」「DVX Data Nodes」「DVX Cloud Software」の4コンポーネントで構成される。

DVX Host Softwareはハイパーバイザーの下で動く仮想化プラットフォーム向けの技術で、エンドツーエンドの暗号化などの特徴を備える。顧客はvSphere、KVM、Dockerから選ぶことができる。DVX Compute Nodesはハードウェアだが、必須ではなく、顧客は富士通、Dellなどのx86サーバを利用することもできる。DVX Data Nodesはストレージで、ディスクベースまたはフラッシュベースがあり、データをアプリケーションの近くに置くとともにデータを安全にする部分を担う。DVX Cloud SoftwareはAmazon Web Services(AWS)に接続するサーバで、「DRサイトに転送するのと同じような感覚で」(Walters氏)パブリッククラウドにデータを転送できる。AWS内で動きオフサイトのデータ保護も行う。

これにより、仮想化されたコンピュート、プライマリデータ管理、セカンダリデータの保護、オフサイトデータの保護の4つの機能を実現する。全ての機能に対し、DVX Host Softwareがグローバルビューを提供する。

「各サーバはファイルがどこにあるのかはわかるが、ライブのアクティブなデータはローカルのSSDの上にあるのでコンテンツ自体は見えない」とWalters氏は説明する。

●Datrium DVXの特徴

Walters氏はDatrium DVXの特徴を次の3つにまとめる。

1)アプリケーションの近くにデータをおく

2)サーバをステートレスにし、同時にデータを安全に

3)クラウドのようなインフラ

1)はData Nodesにより、データのコンテンツをサーバの近くに置くことができる。2)と3)は特に重要だ。サーバをステートレスにすることで、他のサーバ、そしてアプリケーションに影響を受けない状態を実現できる。それだけでなく、「ステートレスと両立が難しいデータの安全化を同時に行う」とWalters氏は強調する。「ITインフラ全体を考えると、ステートレスがもたらす隔離とか独立といった特徴は重要」という。3)では、コンピュートとメモリを必要に応じて水平、垂直の両方向に柔軟に拡張できる、とのことだ。

特徴はそれだけではない。DVX Host Softwareでは上記のエンドツーエンドの暗号化を備えるが、「DVX内部で行き交うデータは全て暗号化される」とWalters氏、つまり、使われているデータ、移動中のデータも全て暗号化される。暗号化に加え、重複排除、圧縮などの機能は全て、常時有効になっている。

「ユーザーインタフェースで管理者が各機能をオンにしたりオフにしたりするというのは間違っている。性能や安全性をユーザーが決定するのではなく、我々はプロとして常時オンの状態で提供する」とWalters氏、これによりユーザーはシステムの振る舞いを予測できるようになるという。

常時オンに加えてWalters氏が強調するのがオープン性だ。

「ブレード、ラックマウントなどなんでも使える。異なるベンダー、さらには世代にまたがったサーバ上でも動く」とのこと。このようなオープン性、そして「1コンピュータノード/1データノードから10データノード/128コンピュータノード/1.7PBのデータ容量を1つの名前空間で管理できる」(Walters氏)という拡張性は、HCIで先行している米国で見えてきた課題を解決するという。

「例えば16台以上になるとHCIは使いにくい。コンピュートと容量を同時に増やさなければならないが、CPUコアの数、メモリなどを同じように設定するのが難しくなるからだ」とWalters氏はいう。

デイトリウムジャパン 技術担当副社長 首藤憲治氏(2月14日の発表会にて)

デイトリウムジャパンの技術担当副社長、首藤憲治氏も「HCIはデータを”あい持ち”するので、複数ノードになると性能がスケールする。だがDatriumはステートレスでデータをあい持ちしないので性能が伸び、同時にデータの安全性も保たれる」と付け加える。

○日本のHCIこれから、そこにチャンスがある

Datriumは設立当初描いていたこれらの機能を2017年にほぼ完成させた。すでに米国政府機関、Abacus Group、Altair Globalなど多数の顧客を抱えているが、2018年は国際展開の年とする。日本では2016年よりノックスが代理店となりDatrium製品を提供しているが、今回デイトリウムジャパン合同会社を立ち上げた。

日本は最初のフォーカス市場となるが、HCIがこれからという市場の状態にチャンスを感じているという。

「米国では様々な顧客がHCIを使ってみて、どこまで使えるのかの限界、どのようなアプリに適しているのかなどがわかってきた。日本はこれからで、そこにチャンスがある」とWalters氏が言えば、首藤氏も「日本におけるHCIはまだ小規模にとどまっている。だが米国では規模を拡大させるにあたっての課題が見えており、その段階になる前にDatriumを紹介したい」と述べた。

日本法人の代表は、これまでティントリジャパンを率いてきた河野通明氏が務める。Datriumのソリューションを知って「仮想化の時代を変える力がある製品。感動を覚えた」という河野氏は、「コンピューティングの概念が大きく進化している」とDatriumを形容する。日本でも数台が評価中だが、まだ運用環境で動いているところはないとのこと。今回の合同会社設立によりサポート面が整うことで一気に弾みがつくとみる。「まずは、こういうコンセプトの製品があることを日本市場に知らせたい」と抱負を語った。