専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第143回

 だんだん年齢を重ねていくと、ゴルフの楽しみ方のテイストが変わってきます。昔、こだわっていたのは「スコア」と「飛距離」でしたが、今は「昼食」と「風呂」ですか。

 スコアはいつも90台、たまによくて80台ですからね、代わり映えしません。飛距離なんて、年々飛ばなくなり、「ドラコンを無視」できる心境になりました。

 そうなると、「プレー欲」より「食欲」「癒し欲」が増してきます。とはいえ、お風呂はね、外に滝が見えたところで自分にはあまり関心がないですから、俄然「昼食」が楽しみになるのです。

 日本のゴルフ場のレストランは、総じてレベルアップしています。それは、大手2大ゴルフ場チェーンが平均値を上げたからです。

「鉄人」と名のつく有名シェフ監修の料理を提供したり、女性向けにデザートを強化したりして、万遍なく底上げが図られているのです。

 その結果、他のコースも追随して、味の研鑽に磨きをかけ始めました。

 ゴルフ場のレストランは、地域によってブームや特色があります。

 一時期、千葉の市原方面では「石焼きビビンバ」が流行って、どのコースでも出すようになりました。もとはと言えば、あるゴルフ場が韓国に馴染みのある親会社の意向で始めたもので、それが評判を呼んで、他のコースでも真似し出したのです。

 ということで、私の知っている限りですが、レストランの食事で楽しみなもの、面白いものを列挙してみましょう。

 千葉の袖ヶ浦カンツリークラブの食堂委員は以前、女優の吉永小百合さんが務めていました。だから昔は、吉永小百合さんが決めたメニューを食べられると、話題になったものです。

 団塊世代にはたまりません。ぜひ、早稲田大学の学食で吉永小百合さんがカレーを食べているのを、「じっと見ていた」というタモリさんを連れて行きましょう……って、ほんまかいな。

 具体的な味自慢では、千葉カントリークラブの梅郷コースの「うなぎ」は有名です。『日本のうなぎ料理、名店100選』に選ばれた、大正13年創業の千歳家(千葉県野田市)の支店として提供されているようで、レストラン内でもうなぎをさばいています。

 機会があったら、ぜひ食べてみてください。うな重のお値段は、2700円。国産のうなぎを老舗の味で食べられると思ったら、非常にお手頃です。おみやげとして販売されている、うな重のお弁当もオススメだとか。

 うなぎの次は、寿司といきますか。

 かつて、総武カントリークラブの総武コースでは、レストラン内に寿司カウンターがあって、そこでよく美味しいお寿司をいただきました。現在、クラブハウスは改修されましたが、自慢のお寿司の味は今なお健在です。

 昔はマグロ三昧みたいなメニューもあったような気がしますが、今でもインドマグロの中トロ丼というのが、プレミアムメニューとして残っているそうです。ここのトロはデカくて本格的です。伝統の味をご賞味してみては。

 その他、千葉方面で美味しいお寿司を食べられるのが、ヌーヴェルゴルフ倶楽部です。

 ここは上寿司に加え、1.5人前も頼めて選択の幅が広いです。午前中のプレーで調子がよかったら、「上の1.5」を頼むとかね、そういうチョイスがたまりません。

 先月も行きましたが、そのときは鉄板ステーキを食べました。う〜ん……、スコアが微妙でしたから、仕方がないです。

 名門コースの”裏メニュー”で、有名なものもあります。

 神奈川の相模カンツリー倶楽部は、「すき焼き」が有名です。一度、いただいたことがあるのですが、なぜかプレー後の夕方、テラスで優雅にビールを飲みながら、すき焼きを頬張ります。

 そこで、夕焼けなんか見ていると、人生に成功した感が漂い、『マイウェイ』を口ずさみたくなります。実に有意義な、至福のひとときを過ごせました。

 ビールと言えば、北海道の名門コースを取材で訪れたとき、気を使ってもらってジンギスカンの食べ放題をいただいたことを思い出します。

 外に出て、芝生の上でビールを流し込みながら、ジンギスカン料理をこれでもかってほど食べまくりました。「昼休みを長めにとっていますから、ごゆっくり〜」と支配人に言われて、気をよくして、飲むは、食うは……。

 超満腹になったところで、午後のスタート。「さあ、打つぞ」と素振りをしたら、トップの位置までクラブが上がりません!? お腹の膨らみが『となりのトトロ』のトトロ状態になっていて、動きが緩慢になったのです。

 しかも食べすぎて、お腹がギュルル〜と鳴り出すし……。すかさず、トイレにかけ込みましたよ。そうしたら、他のメンバーもラウンド中に「トイレ、トイレ」とせわしなく、ぜんぜんゴルフになりませんでした。

 そうそう、こちらのコースは北海道では珍しく、スループレーか、昼休憩を入れてのプレーか、どちらか選ぶことができました。通常、北海道と沖縄、あと米軍キャンプ内のゴルフ場は、スループレーが原則ですからね。普段どおり、昼休憩を取りたい方にはオススメです。

 話に出た米軍キャンプ内のコースでは、多摩ヒルズゴルフコースや座間キャンプ内のコースなどでプレーしたことがあります。

 そこでは、途中の売店や販売カートで売っているホットドックが旨いこと。見た目はパサパサのパンに普通のソーセージが挟んであるだけなんですけど、これにケチャップとマスタード、そしてみじん切りのピクルスを山盛りに乗せるや、超デリシャスなランチに早変わり。普段はあまり飲まないコーラもこんなに美味しいなんて。

 たぶん、異国情緒(海外扱いのため、パスポートを提示して入場)に浸っているから、そう思うんですね。頭の中では、柳ジョージの『プリズナー』が流れて、”フェンスの向こうのアメリカ”の世界を直に体感できました。

 一方、南国のスループレーと言えば、沖縄です。

 コースの売店では、なぜかおでんがありますから。南国の熱いおでんはミスマッチのように思いますが、暑いから塩分を摂りたくなって、アルカリ健康飲料よりも、おでんのつゆが欲しくなるんです。そしてそれが、五臓六腑に染みわたるわけですよ。

 塩味つながりで、売店には必ずスパムおにぎりが置いてあります。その塩加減がマヨネーズと絶妙に絡み合って、これまた美味しいのです。途中から卵焼きのほんのりした甘味も加わって、激ウマ。あっという間に平らげてしまいます。

 あの味が忘れられず、東京に帰ってくると、コンビニで思わずスパムおにぎりを購入してしまう始末。たぶん、似たような味なんでしょうが、やっぱり沖縄のコースで食べたほうが美味しく感じます。


ゴルフではラウンドだけでなく、食事も楽しみのひとつ

 旅先で知り合った女性が可愛く見える”旅目5割増しの法則”がありますが、旅先で食べた食事にも”旅メシ5割増しの法則”があるんじゃないですか。

 そうなるとゴルフ場も、地元より旅先でのプレーのほうが印象はいい、すなわち”旅ゴルフ5割増しの法則”となるわけです。

 つまり、北海道や沖縄のコースは、本州のコースとは風景が違うし、食事も旨い。”旅ゴルフ5割増し”と”旅メシ5割増し”の、ふたつの法則が当てはまるんですね。

 ゆえに、かけ合わせると数倍の魅力となり、みなさん、こぞって北海道や沖縄へゴルフをしに行くのでしょう。

 そんな話をしていると、あ〜、また沖縄のゴルフに行きたくなりましたなぁ〜。

◆なぜ、オヤジゴルファーはレッスンで上達しないのか>>

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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