日本株に影響を与えるのはドル円相場。テクニカル面から分析して見よう(撮影:尾形文繁)

日本株の戻りの勢いは弱いのでしょうか。2月20日の日経平均株価は前日比224円安と、思ったよりもあっさりと下落してしまいました。

ちょっと前から考えてみましょう。19日の日経平均株価は前週末比で428円上昇と、意外高の展開となりました。先週末のニューヨーク(NY)ダウ平均は伸び悩み、安値からの急反発もいったん一巡したとみる市場参加者が多かったと思います。ドル円相場も、先週に付けた1ドル=105.55円からの円安方向への戻りが鈍く、企業業績への不透明感が再び台頭してきた状況でもありました。19日は「なぜ、こんなに買われるの?」といった感じでした。

案の定というべきか、20日は連休明けの米国市場を警戒して、224円安です。ではなぜ、19日にはあんなに買われたのでしょうか。

NYダウと日経平均の単純な「差」に注目

でも、少し理解できます。筆者が着目したのは、米国市場のNYダウ平均(16日現在2万5219ドル)と日経平均株価の「単純な価格差」です。その価格差は先週末の16日現在で3499ポイントでした。

実は2016年以降、両者の価格差の平均は1300ポイント程度です。終値ベースで3000ポイント以上に価格差が広がったのは、英国が国民投票によって欧州連合から脱退を決めた直後の2016年7月8日時点の3039ポイントで、この数値がそれまでの最大でした。当時は翌週にNYダウ平均が370ドル程度上昇したのに対して、日経平均株価は1390円上昇しており、早々に大きな差が解消されました。

その次に差が大きかったのは、今年の1月26日時点の2984ポイントでした。翌週の日米株価は下落しましたが、ダウ平均が1095ドル下落したのに対して、日経平均株価は357円の下落にとどまった経緯があります。こうしてみると、このあとNYダウ平均が相対的に大きく下げるか、日経平均株価が相対的に大きく上げるか、どちらかの現象が起きる可能性が高いとみることができます。

日経平均株価は先週、連日で年初来安値を更新しましたが、14日は200日移動平均線(2万1087円、20日現在)を取引時間中に下回る場面がありながらも、重要な下値のフシである2015年6月高値2万0952円にワンタッチ(14日安値 2万0950円)して戻し、終値ではローソク足は「下ヒゲ」を残して取引を終えました。

この2015年6月高値である2万0952円は、2000年高値2万0833円にも相当する、いわゆるフシが重なる重要な水準です。足元は反発基調が続いていますが、ここから重要なのは1月23日高値(2万4129円)から14日安値(2万0950円)までの下げに対する半値戻し2万2539円、あるいは昨年12月になかなか上回れなかった2万3000円付近を早期に回復できるかが、再び強気相場に転じる条件になるとみています。

東証1部の「騰落レシオ」(25営業日)は14日に71.8%まで低下しました。騰落レシオとは値上がり銘柄数を値下がり銘柄数で割って求め、100%を下回ると、25日平均でみて値下がり銘柄数の方が多いことを示します。過去、TOPIX(東証株価指数)と騰落レシオのボトムはタイミングがほぼ一致する傾向が強く、概ね騰落レシオが70%を下回ると、TOPIXは底打ちする傾向が強いのです。なので、足元もそろそろ1回買ってみたくなる心理状況になっている個人投資家は多いはずです。それが週明けの買い物にあらわれています。

しかし、騰落レシオは今回、まだ1度も70%を下回っていません。ですので、まだ「底打ち」ダマシの可能性も高く、このまま半値戻し2万2539円や2万3000円付近まで戻せなかった場合、弱気継続となる場合があります。

いったんドル高円安に転じる局面か

実は、筆者は、カギの一つになるドル円相場については、先週付けた、1ドル=105.50円で、いったん円高にブレーキがかかると予想しています。注目は20日以降の米国市場です。ポイントは株式ではなく、米長期金利(米10年債利回り)の動向です。

最近の例を見ますと、米10年債利回りは2012年6月の水準(1.45%)から2013年末の3%まで、約1.55%上昇した経緯があります。その後、2016年7月に1.35%まで低下、一時は2012年の水準から下回る場面がありました。現在は、2016年7月の水準から上昇局面が続いています。

前回の記事では「過去分と同じく1.55%上昇すると仮定すると、足元の2.9%程度で落ち着くことが予想できる」とコメントしましたが、実際はなかなか低下していきません。むしろ、一段と上昇する可能性の方が高くなったと判断を変えなければいけません。なにせ、米長期金利のトレンドは上昇基調を維持しているので、トレンドに逆らうことがいちばんリスクのある行動だからです。いずれ3.0%を超えていく可能性は高いとは思っていましたが、早々に実現しそうな雰囲気になってきました。

そうなると、予想できる1つのシナリオは、米国株の金利上昇による目先の調整、そしてドル高円安ではないでしょうか。ドル円相場は昨年11月にあった114.73円の高値から、すでに一つの相場が終了する「3段下げ」(所々で少し円安に戻しながら、3回強く円高方向に動く)を達成したようにみえます。そして、先週の安値1ドル=105.55円の水準は、2016年にドナルド・トランプ氏が米大統領に決まる前後の重要な水準です。

振り返りますと、昨年11月9日の午前中の高値が105.47円で、そのあとトランプ氏の躍進が伝えられる中で101.20円まで急速に円高が進行しましたが、NY時間を経過していったん落ち着いた水準が、ざっくり105円から106円なのです。つまりその中心となる105.50円付近というのは、チャートを時々、マニアックにみる筆者の目には非常に重要で、いったん止まるべき水準にみえるわけです。

日経平均が今週、週明けから飛ばせる勢いがあったのは、米国株は金利上昇で弱くなっても、ドル高円安が好材料になる日本株が、少なくとも短期的には優位になることを織り込みにかかったのかもしれません。当面は日米株価が上げるときは日経平均がより上昇し、下げるときは日経平均の下落幅の方が小さい。ダウ平均と日経平均の価格差が縮小するまでは、そんな形になるのではないかと予測します。