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 2018年2月7日、イーロン・マスクのアメリカ・スペースX社のロケット「ファルコンヘビー」が打ち上げに成功した。このロケットはアメリカ宇宙開発の金字塔である、月面着陸船を打ち上げた「サターン」ロケットよりも巨大であることはもちろん、打ち上げブースターとして使われているロケットを回収して再利用する点が画期的だ。

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 このブースターとして使われているのも、メインロケットと同じ「ファルコン9」だ。3機のブースターが地上に軟着陸を試みた。うち2機は発射基地のケネディ宇宙センターの近くに、同時に着陸した。この映像は、天才イーロン・マスクでなくとも感動する場面だった。残る1機は別の場所に戻るはずだったが、逆噴射燃料が足りなかったようで、海面に激突した。このコントロールの間違いは、どのようなものだったのか知りたいものだ。人類が新たな1歩を踏み出したことを象徴するにふさわしい場面だった。

 打ち上げられたファルコン・ロケットの最先端には、「テスラ社の初代ロードスター」が取り付けられており、ショーとしての見せ場は、「宇宙を舞うテスラ」でこれ以上の宣伝効果はありえまい。テスラの株価は61%あげてGMと並び時価総額は580億ドルとなった。これをもって「テスラの成功間違いなし」と理解する向きが出ている。また、「火星移住計画」を笑うものもいるが、これが天才の言動なのだと理解することだ。

 アインシュタインは、「特殊相対性理論」を発表するのを10年待ったと言われている。それは、人類が理解できる時を待ったとの意味だ。天才とは「常人ではない」ことなので、イーロン・マスクは間違いなく天才だ。

 では、現在の「テスラの窮状」は真実ではないだろうか? それは間違いなく困窮しているのだ。でも、その基準となっているのは「常識」であり、「イーロン・マスクの困窮ではない」のだ。テスラの現状はとても「実用にはならない」レベルだ。しかし、その発想は整備方法に至るまで、アイディアに満ち溢れ、実現を希望する人は数知れずいる。

 このギャップは、「実用化の概念」で見てみるとクリアになるだろう。アイディア、計画などでは天才の先進性は担保される。しかし、現実にするには「実用化技術」が足りない。「モデル3」の量産に関しては、「作業者までが、一体となって造る」技術が必要だ。トヨタなど多くの企業が行ってきた「量産」に必要な「品質管理」もできなければならない。それには「人の使い方」をイーロン・マスクは学ばなければできない。天才はどうしても、実用化の地道な努力を軽くみてしまう。

 株価が上昇し、資金を集めることが出来れば、「モデル3」量産を軌道に乗せ、赤字体質から脱することが出来る。「量産技術を安定させる時間を貰った」と捉えれば、チャンスはある。天才イーロン・マスクに、興味は尽きない。