東京でも美味しいが集まる個性的なエリア。相変わらず美食エリアなのか、衰退著しいのか……現状はどうなっている!?

流行を生む裏恵比寿で和食に再び脚光!

 住みたい街ランキングでは常に上位。人気の街・恵比寿。スペインバルの先駆け「ティオ・ダンジョウ」、ミルフィーユカツを流行らせた「キムカツ」、博多もつ鍋「蟻月」、横丁ブームのきっかけのひとつとなった「恵比寿横丁」――。昨今の食のトレンドをざっと振り返っただけでも、恵比寿から発信されたものは数多い。マスコミ関係者が行き交う土地柄のせいか、ワインブームの波にも乗り、バルやビストロもメディアに多く取り上げられ、恵比寿は食の流行発信地として脚光を浴びてきた。

 店名に“俺の”と付けるトレンドの走りとされる「俺のハンバーグ山本」は、高級志向のハンバーグで評判に。以降、ハンバーグ=庶民的という潮目が変わり、同じく恵比寿にある「グリルマッシュ」や、五反田の「ミート矢澤」といった、A5、A4ランクの黒毛和牛などを使った“大人の”ハンバーグ店が続々と増えていった。

また、駅から遠くても、美味しければ流行ることを証明したのが、日本料理「賛否両論」だった。2004年に誕生し、昔も今も予約がとりづらい人気店だ。恵比寿駅東口から徒歩15分ほどの閑静な住宅街は、同店の成功を機に飲食店が増え、“裏恵比寿”と呼ばれて久しい。

 近年はワイン酒場やビストロの密集地帯という印象が強かったが、今回歩いてみると、一時期めっきり減っていた和食店をよく見かけた。魚専門居酒屋を謳う『魚や ころすけ』もそんな一軒。

魚や ころすけ

ころすけのお刺身 1人前1058円

築地や全国各地の漁師から仕入れる鮮魚を使った料理にこだわり、趣ある和食器で供してくれる。「魚ばなれに歯止めをかけたい。そのために、食の感度が高い大人の街、恵比寿で発信しようと思った」と、オーナーの瓦井健太郎氏は言う。近くには、旬の魚を使った“海おでん”を看板にする新鋭店「はなたれ」、魚自慢の居酒屋「魚屋きいもん」、カウンターメインの割烹「七福ゑびす」などが点在。これまでの流行りの振り戻しで、和食人気が復活しつつあるようだ。

日本酒バーの理想形の誕生に歓喜!

 恵比寿のもうひとつの潮流は、日本酒だ。昨今のブームで日本酒を揃える店が増える一方、正直、燗をつけることに注力していない店が多かった。そんな矢先、裏恵比寿に誕生したのが、『GEM by moto』。

GEM by moto|ジェム バイ モト

日本酒各種 グラス650円〜

左から、果実感のある「仙禽 雄町」、千葉さんが味を設計した「かわつる」、キレイな酸味で1杯目に適した「新政 天鵞絨+生成」

ブルーチーズハムカツ 702円

分厚いハムに濃厚なブルーチーズが絶妙。微発泡の爽やかな「どぶろく」と合う

 日本酒を最も美味しい状態で提供するべく四合瓶をメインに扱い、店内の氷温庫で熟成酒を管理し、ヴィンテージの楽しみ方も教えてくれる。美味しい日本酒を丁寧に飲ませてくれる店がようやく恵比寿にできたという印象。

店長は燗の飲み頃を香りで見極める名人で、日本酒界のカリスマと評される千葉麻里絵さん。「恵比寿はお金をかけてでも美味しいものを求める人が集まる街。日本酒がどう評価されるのか、挑戦したい」と話す。店は連日満席状態だ。ここをきっかけに日本酒の魅力が波及し、さらに他店の燗の扱いも磨かれていくことを期待したい。

 このように、いま和食と日本酒事情が熱い恵比寿。しかも“気取らぬ本格派”なのがうれしいところ。常に次なるブームの芽が潜み、今も昔もやはり面白い街だ。