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米国で自転車シェア・サービス普及への再挑戦が始まった。ライドシェア・サービスと手を組み、交通渋滞を緩和し、人々の移動を変えるという同じ目標を目指す。

米国は自転車用のレーンが用意された街が多く、日本に比べて自転車で移動しやすい。元々自転車人口はそれほど多くはなく、自転車に乗っている人の多くはサイクリングを趣味にしている人という感じだった。それが2000年代後半からの原油価格の高騰で、自転車による通勤を後押しする自治体が増えて、自転車環境の充実につながった。そんな自転車ブームと、オンデマンドサービス・ブームに乗って、4〜5年ぐらい前から自転車シェアが現れ始めた。しかし、利用者を伸ばせなかった。

原因を考えると、2015年に原油価格が下落し始めた影響もあるが、自転車シェアを活用できるソリューションになっていなかったのが大きい。自転車シェアは、目的地まで1マイル程度の距離をタクシーやバスを使わずに移動できる手段になる。立ち寄る場所が何カ所かある時にも便利だ。ところが、自転車置き場が数駅ごとに一つ、またはミッドタウンやダウンタウンに何カ所ずつというぐらい少なく、自転車置き場まで時間をかけて移動することがままあった。それでは「ラスト1マイル」を解消する手軽なソリューションとは言いがたい。

再挑戦で増えているのが、乗り捨て型のサービスだ。ユーザーはアプリを使って近くにある自転車を探し、近くにあったら予約、自転車を見つけたらアンロックして使用する。目的地に到着してロックしたら自動的に精算が行われる。自転車置き場/返却場に縛られないことで自転車シェアの分散が進むが、それでも電車やバスで移動して駅で借りるというスタイルが主流なので、駅に偏ってしまう。そこでライドシェア・サービスとのパートナーシップである。中距離の移動はライドシェアを使って、その先の短距離の移動には自転車シェアを使う。車と自転車のシェアは同じアプリから利用でき、ライドシェアで自転車のある場所まで行ってあとは自転車というように、スムースに2つのサービスを乗り継げる。それによって地下鉄やバスを利用できない街、駅から離れた施設の周辺など、様々な場所に自転車シェアが広がっていく。

今年1月にライドシェアサービスのUberがサンフランシスコで「Jump Bikes」と提携したサービスの提供を開始した(現在は参加者を制限した限定的なサービス)。そして先週、ライバルのLyftがボルティモアの「Baltimore Bike Share」とのパートナーシップを発表した。こちらはステーション型で、これから市は乗り場/返却場をLyftとの共同ハブとして展開し、Lyftもハブの拡大に3年間で27万ドルを出資する。

米国には自転車を乗せられるラックが用意された電車やバスが多く、私はよく電車に自分の自転車を乗せて移動している。ただ、電車やバスは狭くて自転車の出し入れがタイヘンで、また自転車を乗せる人同士が降りる駅を伝え合い、駅で自転車を入れ替えないで済む順番に固定しなければならない。それをやらずに、一番奥から自転車を降ろすようなことになるとタイヘンな作業で運行にも影響する。

ここ最近サンフランシスコに行った時に自転車シェアを利用してみたが、自分の自転車を持っていくよりずっと楽だった。また、車で行った時のようにサンフランシスコ市内で駐車スペースや渋滞に悩まされずに済む。

駅からの距離がある地域にはUberで移動し、着いたら自転車で何軒か店を回る。Uberのアプリに、まるでUberが自転車シェアを提供しているようにJump Bikesが統合されていて、近くにいるUberドライバーを探すのと同じように近くにある自転車を探して予約する。とても簡単だ。「なんだ、それだけ」と思うかもしれないが、実際に使ってみるとUberとJump Bikesの組み合わせは目からウロコの便利さなのだ。

もちろん便利とはいっても、始まったばかりのサービスで、今はまだユーザーがサービスに合わせなければならないことが多い。まず、まだJump Bikesの自転車が少なく、いつでもどこでも見つけられる状態になっていない。だから、人数を制限したサービス提供になっているのだろう。

それなら自転車を増やすことから始めるべきだと思うかもしれないが、ダラスで自転車シェアサービスがたくさんの自転車をばらまいた結果、使われない自転車が放置されて邪魔になり、いたずらされたり、壊されるという問題につながった。こうした新しいサービスは、小さすぎる規模でスタートしても機能しないが、大きく始めればうまくものでもない。新しいサービスのことを自ら調べて積極的に利用するアーリーアダプタに絞り込んでスタートすることが重要だ。新しいサービスに挑戦し、その良さを理解した人たちの口コミによって、伝わりにくい新しいサービスの良さが広がる。

だから、新しいサービスの提供者は、サービスの口コミ波及に効果的なアーリーアダプターを集める方法に頭を悩ませる。最初の自転車シェアの挑戦は「通勤者」というような広すぎるターゲット設定で多くのサービスが失敗した。ライドシェアサービスとの提携は、ライドシェアを好む人たちに絞り込める。自転車シェアのアーリーアダプターに最適で、これでもダメなら、米国は車社会から脱せられないということなのかもしれない。

日本でも昨年から自転車シェアが現れ始めているが、一般の自転車人口という点では米国以上に受け入れやれやすいように思う。でも、小さな規模でもダメ、ばらまいてもダメというのは日本も同じであり、シェアリングサービスとしてしっかりと展開しないと米国での最初の失敗の轍を踏むことになる。