パブリッシャーがFacebookで利用していた安価なトラフィック獲得経路を、Facebookが次々と遮断している。そのため、パブリッシャーのなかには、これまでのビジネス戦略をあきらめざるを得ない企業も出てきている。

サイトのアクセス数を調査しているシミラーウェブ(SimilarWeb)によると、ソーシャルニュースサイトのディプリ(Diply)は、デスクトップトラフィックの85%をFacebookから得ている。そのディプリが1月、同社のコンテンツをシェアして報酬を得ていた多くのFacebookページ所有者に対し、コンテンツの提供をまもなく中止すると通知したという。これは、ディプリと同じインフルエンサーと仕事をしている複数のパブリッシャーからの情報だ。

ただし、最終的な決定はまだ下されていない。ディプリは声明のなかで、「ほかのパブリッシャーがインフルエンサープログラムを中断しているという話を耳にしている」と述べたうえで、「我々は自社のデータを利用して、ディプリの次のステップを決めようとしているところだ」と語っている。

3月からの新ルール



ディプリの動きは、Facebookが米国時間1月25日に行ったブランドコンテンツポリシーの改変に対応したものだ。新しいポリシーは、Facebookページ所有者に対し、自ら作成に関わっていないコンテンツを投稿する見返りとして「何らかの報酬」を得ることを禁止している。3月1日から施行されるこのルールを遵守しなかった場合は、まず警告が送られ、それでも繰り返し違反した場合にはページが閉鎖される。

Facebookのガイドラインは、サードパーティーのウェブサイトへのリンクをFacebookページに掲載して対価を得る行為を制限している。こうした行為は、俳優のジョージ・タケイ氏のようなセレブにとって公然の秘密であり、彼らの大きな収入源となっていた。また、エリート・デイリー(Elite Daily)やバイラルノバ(ViralNova)といったサイトは、数年前からこのような手法でトラフィックを拡大してきた。ラッパーのリル・ウェイン氏や俳優のマーロン・ウェイアンズ氏といったセレブも、コンテンツをシェアして対価を得ている。ただし、この新しいガイドラインは、ふたつのパブリッシャーが互いのページへのリンクをシェアしてエンゲージメントを獲得するような行為には影響しない。

新しいガイドラインにはグレーゾーンがあり、一部のパブリッシャーは調査を続けている。だが、新しいルールはコンテンツの配信に問題をもたらしており、しかもこの問題は簡単に解決できないと複数のパブリッシャーが指摘している。

「自社のビジネス全体をこのようなコンテンツモデルで構築していたパブリッシャーは、つい半年前まですべてはうまくいっていると語っていた」と、Facebookのコンテンツを同じような方法で配信していたある企業の創設者は話す。だが、「ソーシャルパブリッシャーが、インフルエンサーのページを使って低品質のコンテンツを比較的安いコストで配信できる時代は終わった」という。

Facebookの思惑



パブリッシャーのなかには、新しいルールに対応する方法が存在すると考えている企業もある。カナダのパブリッシャーであるプロビドール(Providr)は、マーロン・ウェイアンズ氏やリル・ウェイン氏など、数百人のインフルエンサーのFacebookページから成るネットワークを使ってコンテンツを配信している企業だ。そのCEOを務めるグレイ・リポベツキー氏は、インフルエンサーが段落ひとつ分の長さの説明やキャプションを投稿に加えればFacebookの要件を満たすことができると自らの投稿で語っている。

今回の改変の影響を避けるため、プロビドールは、ページ所有者がFacebookでシェアするコンテンツに所有者の名前を追加できるソフトウェアも開発している。

「(今回の改変を)Facebookが行った理由は理解できる」と、リポベツキー氏はいう。「彼らの任務は、自分たちのプラットフォームのユーザー体験を常に向上させることだ。実際、今回の改変によってページのオーガニックリーチは拡大すると、私は確信している」。

困惑するインフルエンサー



ディプリなどのパブリッシャーがこのような形でのコンテンツ配信をやめる決断を下したことは、連鎖反応を引き起こしている。あるパブリッシャーのオーディエンス開発担当幹部によると、Facebookの新しいガイドラインに抵触するリスクを厭わないインフルエンサーが、シェアして報酬を得られるコンテンツの提供元を新たに探しているという。このパブリッシャーはソーシャル配信のためにインフルエンサーを活用しているが、最近になって、インフルエンサーからこうした問い合わせが相次いでいるとこの幹部は明かした。

「インフルエンサーがパニックに陥っていることは明らかだ」と、この幹部はいう。「彼らはページを作成し、このような方法で利益を上げて生計を立てていたのだ」。

Facebookの動きは、自らのプラットフォームでトラフィックのアービトラージ(裁定取引)が行われるのを制限しようとする取り組みの最新の事例だ。ごく小さな業界のパブリッシャーやインフルエンサーは、数年前からFacebook内でコスト効率の高い配信手段としてお互いを利用し合ってきた。そうすることでサイト訪問者を獲得し、Facebookでのコンテンツ配信に必要な現行の料金より安いコストで、少しでも利益を得ようとしていたのだ。

今後の決め手



このようなトラフィック取引で得られていた参照トラフィックに代わるものは、簡単には見つからないだろう。そのため、一部のパブリッシャーは存亡の機に立たされる可能性がある。「このようなタイプのトラフィックをもたらすものはほかにない」と、Facebookを使って同じような手法でコンテンツを配信していたある企業の創設者はいう。

彼はまた、今後の決め手はFacebookのポリシーがプラットフォーム上でどれほど厳格に適用されるかだと述べ、「すべては適用にかかっている」と語った。「ジョージ・タケイ氏が自分の意志で記事を投稿しているのか、お金をもらっているから投稿しているのかを、Facebookはどこまで知っているべきなのだろうか」と、この創設者は問いかけた。

Max Willens(原文 / 訳:ガリレオ)