客足減少のスタバ、米市場で直面する「変化と競争」

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米コーヒーチェーン大手、スターバックスのケビン・ジョンソン最高経営責任者(CEO)は1月末、期待を下回る第1四半期(昨年10〜12月)の決算結果を発表した。

このときジョンソンCEOは同期の業績について、「ロイヤルカスタマー以外の客足の伸び悩み」を理由に挙げた。また、国内のショッピングモールにある各店舗の客足が鈍っていることや、年末年始の休暇中には日常的に来店している顧客による購入が減ることなども、決算結果に影響したと説明した。

だが、スターバックスの成長が停滞する理由にはこれら以外にも、より根本的なものがある。それは、今後も同社にとっての足かせとなり得る「市場の変化」だ。そして、業態の異なる各社との競争の激化だ。

「出掛けない」消費者が増加

過去の複数の調査結果によると、米国の消費者の間ではクラフトコーヒーを自宅で入れる人が増加している。自宅で過ごす時間が長くなる人が増えているためだ。また、栓を開ければすぐに飲めるRTD(Ready To Drink、レディ・トゥ・ドリンク)のコーヒーやその他の飲料の消費量が増加している。

米市場調査会社NPDグループによれば、米国では今年、定年退職する人たちと在宅勤務の労働者の増加により、より多くがより長い時間を自宅で過ごすことになる。そのため需要増が見込まれるのは、コーヒーメーカーやエスプレッソマシーンなどだ。過去の同社の調査によると、ミレニアル世代を中心に、クラフトコーヒーの需要も増えている。

一方、日常的に移動することが多いライフスタイルへの変化が、RTDの需要を後押ししているとの指摘もある。英調査会社ミンテルが昨年9月末に発表した報告書によれば、米国のコーヒーショップの2017年の売上高は234億ドル(約2兆4900億円)で、2021年には287億ドルにまで増加すると予想されている。だが、同年までに新たに開設されるコーヒーショップの数は、過去に比べて大幅に減少する見通しだという。つまり、RTDがコーヒーショップにとっての脅威になるということだ。

およそ136億ドル規模の米コーヒー市場で最も急速な成長を遂げると見られているがRTDだ。2017〜22年の成長率は、67%と予想されている。特に大幅な需要の伸びが期待されるのは、パッケージ入りで冷蔵販売するコールドブリューコーヒーだ。米市場での売上高は、2015〜17年の間に460%増を記録した。

調査会社ニールセンの調査でも、スーパーマーケットの売上高に昨年最も貢献した10種類の食品(生鮮食品を除く)には、ボトル入りのお茶やその他の「ニューエイジドリンク」のほか、RTDのコーヒーが入った。

激化する競争

スターバックスはこうした消費者の態度の変化以外にも、激しさを増す競争に直面している。同社が過去に発表した年次報告書の中でも、クイックサービスレストランやグルメコーヒーを提供する店舗との競争激化について言及されている。

例えば、マクドナルドの「マックカフェ」は低価格で売り上げを伸ばし、クラフトコーヒーを扱う「サードウェーブ」のコーヒーショップは、高価格帯の市場でスターバックスのシェアを奪おうとしている。食品世界最大手のネスレが昨年、高級コーヒー店を展開する米ブルーボトルコーヒーの過半数株式を取得したことも、高級コーヒー市場の先行きに対する期待を反映したものと言える。

スターバックスはこうした挑戦に対応するための対策をすでに講じており、サードウェーブの「スターバックス リザーブ」を展開。また、客足の回復に向けたてこ入れ策として、3月からはリワードプログラムに加入していない顧客でも、モバイル決済の利用を可能にする。

今年1月にはエスプレッソ用の豆にブロンドローストを導入。そのほかフードメニューやコールドブリューコーヒー、クラフトコーヒーの種類も増やしていく方針だ。スーパーマーケットやその他の店舗で販売するボトル入り飲料やコーヒーの販売拡大にも、力を入れている。