羽生結弦【写真:Getty Images】

写真拡大

羽生、バトン、プルシェンコ、グラフストローム…海外歴代名手が見解「私の考えでは…」

 平昌五輪フィギュアスケート男子シングルで66年ぶりとなる連覇を達成した羽生結弦(ANA)。フィギュアの歴史に名を残す金字塔を打ち立て、世界で称賛が沸き起こっているが、米スケート専門メディアは「史上最高スケーターは羽生か」と検証する特集記事を掲載。歴代の名スケーターが回答し、それぞれの見解を述べている。

「歴代最高の男子フィギュアスケーターはハニュウなのか?」と見出しを打って特集したのは、米スケート専門メディア「icenetwork」だ。

 羽生の快挙を受け、記事では「連覇を成し遂げた日本のユヅル・ハニュウは今や歴代最高のフィギュアスケーターに君臨することになったか? それとも、その名誉は依然としてバトンのものか? はたまた、第2次世界大戦以降で3つの五輪メダルを手にした唯一の選手、エフゲニー・プルシェンコなのか? さらに、1920年代に3連覇を達成したギリス・グラフストロームも忘れてはならない」とフィギュア史を彩る英雄を挙げた上で、スケート界の著名人が「誰が史上最高か」というテーマに回答している。

 記事では、1992年アルベールビル五輪銀メダリストのポール・ワイリー氏(米国)は「バトンは5シーズン負けなしの上で連覇を果たしている」と主張。羽生の前に連覇を達成していたバトン氏の名前を挙げた。世界選手権で銅メダルを2度獲得したマイケル・ワイス氏(米国)は「私の考えでは、プルシェンコが最も偉大だ」と語り、五輪に4大会連続出場して団体戦を含め、2個の金メダルを獲得した長年の活躍を理由に述べた。そんな中で、羽生を挙げた人物もいた。

五輪3度出場の名手が「羽生が偉大な選手の頂点」と主張した理由は…

 五輪に3度出場し、全米選手権を6度制したトッド・エルドリッジ氏(米国)は「羽生が偉大な選手の頂点だろう」と主張。「私にできたことは連覇を求められる彼の肩にどれほど巨大な重圧がのしかかっていたかを想像することだけだ。特に怪我をした状態で、試合もこなしてこなかった中での話だ」と強調し、66年ぶり連覇の重圧、故障を乗り越えたという2点を理由に挙げている。

 1988年カルガリー五輪の金メダリストのブライアン・ボイタノ氏(米国)は「ハニュウは晴れて、この時代のディック・バトンになった」と称賛した一方、1972年札幌五輪に出場し、名振付師として知られるサンドラ・ベジック氏(カナダ)は「この論議に一般論はない。それぞれが異なる精神力を持ち、異なる強みを擁している上に、ルールも変わっている点が多々ある。ただし、タレントの共存は今の時代の方が大きなものになっている」と言及。比較は難しいとしている。

 バトン氏が連覇を達成した1952年サンモリッツ五輪に出場したジョン・ニックス氏(英国)は「バトンに一票だ」としつつも、羽生について「注目すべきは披露している演技内容ではなく、演技している彼の姿だ。彼はやっていることをいかにも簡単なように、なお且つ一級品であるように見せることに長けており、素晴らしい個性を備えている」と称賛し、日本人王者がまとう芸術性を高く評価していた。

 記事では「この議論に答えはない」とし、羽生が次回の22年北京大会に出場についても不透明と言及。その上で「一つだけ確かなことは、もし羽生が3度目の五輪制覇を成し遂げた暁には、この史上最高の議論に終止符が打たれることになるということだけだ」。3連覇を達成すれば、文句なく史上最高となると締めくくっている。

 羽生が現役選手である時点で、議論は時期尚早な面はある。それでも、長い歴史を持つフィギュアスケート界において、羽生結弦という23歳の日本人が、最高のスケーターかと議論の対象となるほど、歴史的な人物となったことは事実だ。(THE ANSWER編集部)