2009年5月、スタンフォード・ブリッジで咆哮を轟かせるイニエスタ(右)。フットボール史に残る衝撃の一撃だ。(C)Getty Images

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 いよいよチェルシーとの大一番を迎えるバルセロナが、公式ツイッターで伝説の一撃を公開した。しかも得点を決めたアンドレス・イニエスタの解説付きだ。
 
 現地時間2月20日、チャンピオンズ・リーグ(CL)のラウンド・オブ16で相まみえる両雄。第1レグは西ロンドンのスタンフォード・ブリッジで開催される。このスタジアムでの一戦と言えば、やはり2008-09シーズンのCL準決勝第2レグが思い出される。
 
 第1レグのホームゲームを0-0で終えていたバルサは、開始早々の3分にマイケル・エッシェンに先制点を奪われてしまう。その後もチェルシーのソリッドな守備と鋭い速攻に苦しめられ、なかなか突破口を見いだせない。67分にエリック・アビダルがニコラ・アネルカへのファウルで一発退場となり、85分にはジェラール・ピケがエリア内でハンド! これは主審に見逃してもらい命拾いしたが、崖っぷちに立たされたままアディショナルタイムに突入した。
 
 電光掲示板は3分の表示。その2分だった。右SBダニエウ・アウベスのクロスがファーに流れ、リネネル・メッシがボールを拾う。エリア内でマーカーを引き付けたアルゼンチン代表FWはフリーの選手に絶妙なパスを送る。迷わずダイレクトで合わせ、右足を振り抜いたのがイニエスタだ。完璧な軌道でゴール右に突き刺し、直後にタイムアップという劇的な幕切れ。バルサがアウェーゴールの差で決勝進出を決めた。ファイナルでもマンチェスター・ユナイテッドを2-0で下し、リーガ、コパ・デル・レイと合わせて初の3冠を達成したメモリアルシーズンである。
 
 公式ツイッターで当時のゴールシーンを回顧したのが、ほかでもない殊勲者だ。イニエスタはこう振り返っている。
 
「ボールがサイドに展開されて、クロスが入り、エッシェンと(サミュエル・)エトーの間でバウンドした。大勢がボックス内にいるなかで、レオ(メッシの愛称)はスペースを創り出そうとしていたね。なんとかシュートを撃とうとしたんだけど、人垣ができていたから、コースはほとんどなかった。で、僕はサポートしようと近づいたんだ。自分で言うのもなんだけど、本当に偉大なゴール。あのコースでしか決まり得ないものだった。ゴールが決まったのは運命さ。あそこで負けていたら相当悔しかっただろうけど、なんとかファイナルに進出できて良かったよ」
 そのインタビュー付き動画の前に、公式ツイッターは得点シーだけを現地時間の月曜日朝にアップしていた。

 ほんの数時間で30万を超える再生回数に達し、世界中のファンからメッセージが殺到。「ロンドンに神が舞い降りた瞬間だ!」「あんなに感動した試合はない」「ワールドカップ決勝(2010年)に並ぶイニエスタのベストゴール」など、続々と熱いコメントが寄せられていた。
 
 数多の名勝負を繰り広げてきたバルサとチェルシーは、過去CLで12回対戦し、バルサから見て3勝5分け4敗という戦績。1試合での平均得点は1.50点と、あまりゴールが入らないゲームが多い。今回はチェルシー側にセスク・ファブレガス、ペドロ。ロドリゲスのバルサのカンテラーノが籍を置いており、その因縁対決にも注目が集まる。