産業用ガスで業界2位のエア・ウォーターは、3社が合併した企業。正確には「ほくさん」と「大同酸素」が統合した「大同ほくさん」と「共同酸素」が2000年に統合した「ガス企業」。

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 それぞれの創業3社は、ガス技術に自負を抱いていた。だがいま同社が「医療用酸素の」なる冠が載せられる原点は、1922年創業のほくさんに求めることができる。ほくさんは、医療用酸素の製造が祖業。社名から推察できるように北海道で立ち上がり、高いシェアを獲得した。そしてほくさんは全国化を図るべく、VSU(高効率液化酸素・窒素製造装置)に踏み出し一段とシェアを高めていった。2004年の第1号機にはじまり、エア・ウォーターには現在16箇所にVSUが設置されるに至っている。

 互いにガス業界で競い合ってきただけに、酸素が不可欠かつ大量に使用される世界を認識していた。医療業界である。医療業界で使用される酸素は周知の通り「手術時、手術後の呼吸補助用吸入」に使われる。そして医療用ガスという観点からみれば、酸素だけにとどまらない。麻酔用の「亜酸化窒素」。「炭酸ガス」は酸素吸入時に数%程度添加することで、呼吸中枢を刺激する働きをなす。また内視鏡手術や心臓手術では(横隔膜から下の)腹腔内視野を広げる作用を果たす。さらに「酸化エチレンガス」は、医療機器・器具の滅菌用の機能を果たす。3社はそれぞれの技術に磨きをかけ医療用ガスの開発を進めた。

 業界に明るいアナリストは「自負がぶつかり合うのではなく融合しえた点が、今やエア・ウォーターの大きな武器となっている」とする。

 現在、同社は「医療設備工事」「医療用機器」も手掛けている。前者は同じ大きさでも空間を拡充した手術室などが主体。後者は新生児・小児・周産期系機器など、呼吸器分野が主力。先のアナリストは「いまでは医療用ガスと医療用設備建設・医療用機器が相乗効果を生み出し、2020年には売り上げ目標1兆円企業入りの計画を公にしている」とする。

 合併企業にありがちな「自負」の「融合」が果たせるか否かが、同社に1兆円目標をもたらしたといえよう。