LiDARセンサーでアステカのライバル「プレペチャ王国」の都市を発見。約4万の構造物、施設配置に特徴

自動運転車の空間認識を司るLiDARセンサーは、いま考古学者にとって画期的なツールになりつつあります。今月はじめには古代マヤ文明の構造物群発見をお伝えしたばかりですが、今度は西暦900年ごろメキシコ南西部に栄えたプレペチャ(タラスカ)王国の都市跡が、LiDARを使った分析から従来の認識よりかなり大きかったことがわかりました。LiDARを使った遺構解析技術では、上空からレーザーパルスを照射し、その反射時間や波長と、GPSなど他のデータを組み合わせて分析することで、地表の正確な3Dマッピングを行います。この解析で重要なのは、生い茂る木々やその葉を透過して地面の形状を把握できるというところ。10年前には2平方kmの範囲を探索するだけで2つの季節にまたがる期間を要したのが、LiDARによって大幅に短縮されるようになっています。

アステカほどは知られてはいないものの、アステカと同時期のメキシコ西部には現地語で"プレペチャ"と呼ばれた王国がありました。プレペチャは何度もアステカに攻め込まれたものの、最後まで屈しなかったとされ、首都のTzintzuntzan(読み:ツィンツゥンツァン)には現在もプレペチャ(タラスカ)族が生活しています。

そのTzintzuntzanの東に位置するAngamucoと呼ばれる一帯の都市跡が、今回のLiDAR調査によって従来の認識のおよそ2倍、約26平方kmもの広さがだったことがわかりました。これはTzintzuntzanをはるかに凌ぐ大きさで、当時のメキシコ西部における最大の都市だったかもしれません。

調査したコロラド州立大学の考古学者、クリス・フィッシャー氏は、テキサス州オースティンで開催されている米国科学振興協会の会議で、この発見について発表しています。

フィッシャー氏は、Angamucoが思ったよりかなり巨大で、約4万もの建造物があったことがわかったとしています。さらにピラミッドや広場といった大きな構造物が、都市の中心ではなく周辺部に作られているところが大きな特徴であると指摘します。

考古学の現場ではLiDARによる分析がますます一般化しつつあります。実際には現地へ赴いて土をほじくり返す作業ももちろん必要であろうものの、まだ掘り起こされてもいない古代遺跡の大きさを知り、その地図を前もって入手できるというのは、調査効率の点でも画期的なことと言えそうです。