石垣市企画部観光スポーツ局スポーツ交流課の小底正弘氏【写真:広尾晃】

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ロッテが調整を続けてきた石垣島、キャンプ地の思い

 2月17日、18日に沖縄県石垣市で開催された「アジアゲートウェイ交流戦パワーシリーズ2018 in石垣島」は、両日ともに3000人を超える観客を集め、人口5万人弱の自治体のイベントとしては大盛況だった。また、石垣市の千葉ロッテマリーンズ春季キャンプも、ロッテファンをはじめ、全国に広く知られるようになった。

 交流戦の主催者であり、ロッテ春季キャンプの受け入れ先でもある、沖縄県石垣市の現場のリーダー、石垣市企画部観光スポーツ局スポーツ交流課、イベント交流班班長の小底正弘氏に話を聞いた。

「千葉ロッテマリーンズさんが石垣市で春季キャンプをするようになって、今年で11年になります。経済効果ももちろんですが、何より、子供たちが野球ができる環境を整備できたことが大きいですね。ロッテキャンプを受け入れるに際して、市はグラウンドを改修し、さまざまな施設を整備しました。2月は、ロッテがこの施設を使用しますが、それ以外の季節は島の住民や子供たちが使います。プロ野球が使う立派な施設で練習や試合をすることで、子供たちはさらに野球が好きになりましたし、技術もアップしました」

「もちろん、経済効果もありました。ロッテ球団の選手、指導者、スタッフが長期間滞在しますし、報道陣も多数やってこられます。また、ロッテファンの方もツアーや個人旅行で来られます。もともとリゾートの島ですが、さらに経済効果をオンすることになりました。それにキャンプ期間中は毎日、テレビのニュースで石垣島のキャンプの様子が全国に放映されます。石垣島の知名度、イメージアップ効果も大きいですね」

台湾とも連携、「対戦相手となるチームがないのが問題だった」

 最近、プロ野球の春季キャンプは沖縄本島に集中する傾向にあるが、石垣市としてはどう考えているのか。

「そのことはもちろん承知しています。でも、石垣島は沖縄本島よりさらに温暖です。またキャンプ地の石垣市中央運動公園は野球場が2つあり、1軍、2軍が合同でキャンプができる恵まれた環境にあります。そういうメリットは大きいと思います。市や市民の方々の支援も大きいと思います。ただ、ロッテ1球団の単独のキャンプですので、対戦相手となるチームがないのが問題でした。そういう意味もあって私たちは、アジアゲートウェイ交流戦パワーシリーズを誘致しました。

 石垣島と台湾は、石垣島と沖縄本島よりも距離が近いんです。台湾の球団も飛行機で1時間程度で遠征にくることができます。開催も3年目になり、今年は多くの応援団の皆さんもやってこられました。そういう方々のインバウンドも期待できるようになりました。このイベント自体が台湾と石垣島双方で定着しました。

 今年は2月6日(日本時間7日未明)に台湾東部を中心に発生した地震における被災地への支援のため、石垣市主催の募金活動も行いました。絆は深まっていると思います。確かに離島でのキャンプは、いろいろなハンデキャップがあります。でも、メリットを生かすことで、これからも千葉ロッテマリーンズさんと、長くお付き合いしていきたいですね」(広尾晃 / Koh Hiroo)