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世間を騒がせたNEM(ネム)問題は読者諸氏の記憶にも新しいだろう。そのNEMはビットコインから派生したブロックチェーン技術の1種だが、その全体図を把握している方は決して多くないだろう。だが、日本語の「分散型台帳」に置き換えると一気に分かりやすくなる。

企業であれば売買などの記録、国や自治体なら基本的な数値や情報などを記録する台帳を、P2P(Peer to Peer)ネットワークとタイムスタンプサーバーが管理する手法がブロックチェーンだ。P2Pはコンピューター同士が対等に通信を行う技術だが、配信の負荷を軽減するためピア(参加するコンピューター)間の配列手法は多様である。後者の分散型タイムスタンプサーバーは、ブロックが生成された時刻をハッシュ値として計算してブロックにひも付けることで、各ブロックの整合性を証明する役割を持つ。

ブロックチェーン=仮想通貨という考えは基本的に間違いである。確かに金融機関がブロックチェーンの有益性に飛びつき、2014年には各企業が集まってR3コンソーシアムを設立しているが、ブロックチェーンの適用範囲は登記に代表する権利や情報の登録や、医療記録など真正性の認証を求める分野であれば適用可能だ。詳しくは後述するが価値記録を中心とした初期のブロックチェーンは処理能力に問題があり、組織内で取引認証を管理することで秒間3,000〜4,000取引を実現するプライベートブロックチェーンという選択肢に注目が集まった。2018年2月15日にはNECが参加ノード数200程度の環境下で毎秒10万件超の取引を可能する技術を発表。着々とビジネスの現場で利用可能なレベルに達しつつある。

ブロックチェーンには簡易的にバージョン番号が割り振られている。前述した初期のブロックチェーンはバージョン1.0。通貨以外の金融分野における利用を想定し、スマートコントラクト(契約の記述・履行管理)を可能にしたバージョン2.0。そして行政や文化など金融以外の適用をバージョン3.0と呼ばれている。このあたりは厳密な定義は設けられていないため参考にとどめて頂きたいが、例えば独自の認証システムをプライベートブロックチェーンで構築し、既存ビジネスの付与サービスに用いるといったことは誰しも思いつくアイディアだ。

日本では管理・運用方法の観点から先行き不透明な仮想通貨だが、前述のとおりブロックチェーン=仮想通貨ではない。以前は人が介在することで真正性を担保していたプロセスを、ブロックチェーンに代替することでビジネスの最適化が可能になるはずだ。

阿久津良和(Cactus)