日本語の能力は求めない!アジアのトップ校からIT人材採用広がる
優秀な人材は世界中から
同社では2014年末に人工知能型ERP「HUE」を発表した。海外展開に向け、各拠点に開発・サポート部隊を設けている。
「変化が速く激しい時代には、我々も製品をいち早くリリースしては、お客樣からのフィードバックを受けて即座に製品に反映させ、それをまたリリースするという循環をどんどん高速で回していかないと競争に負けてしまう。そのために世界中から集めている優秀人材の活躍は重要だ」(成澤さん)と、外国人材は同社にとってもはや欠かせない存在となっている。
「このままでは企業の存亡に関わる、という状況だった」。同社が外国人材の採用に踏み切る直前の2013年ごろのことを、人財広報室長の郄橋実さんはこう振り返る。
日本語能力は求めない
同社が海外にIT人材を求めた背景には、クラウドサービスが主力に転じる事業構造の変化があった。「リナックス製品の開発では、日本語に翻訳されてから勉強しても間に合ったが、クラウドになると翻訳を待っていたら技術に追いつかない」(宮本和明副社長)。
そのため技術者には英語力が求められたが、そうなるとますます採用が難しくなる。そこでたどり着いた解決策が「日本語を求めない」(宮本副社長)ことだった。
人材を求めて海外に飛んだのは2014年夏。台湾からベトナム、インドネシアの大学を訪問。当時の社員数は70人程度で、外国人の受け入れ体勢が整っているわけでもなく、無謀は承知の上。しかし現地の若者の日本への関心は思った以上に高かったという。
現在の社員数は約130人で、外国人は20人を超えた。出身国も10カ国に及ぶ。技術者に限れば、この4年間の採用は外国人だけ。日本人も採用したいが、なかなか外国人と同レベルの学生が集まってくれないのが目下の悩みだ。
二択に迫られる日本企業
欧米諸国と比較しても日本の制度は高度外国人材の受け入れに極めてオープンだ。しかし、日本企業の外国人採用をサポートするフォースバレー・コンシェルジュ社長の柴崎さんによると、このことが海外にまだまだ伝わっていないという。
その一方で「日本企業は二択を迫られている」とも訴える。日本企業の中には外国人の採用で日本語能力にこだわるケースも少なくないが、「ITの能力も日本語の能力も兼ね備えている外国人は滅多にいない。グローバル化したければ一部の部門でも良いから英語や欧米的人事制度を導入して海外人材を受け入れるか、そうでなければそのまま日本市場にとどまるかだろう」と指摘する。