国内相場を動かす「外国人投資家」が買う日本株の傾向とは?

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 先物(短期)⇒現物(長期)に資金がスライドする買いトレンドは本物だ。昨年秋、日経平均株価は21年ぶりとなるバブル後最高値を更新した。この上昇を支えていたのが、東証の売買代金の6割以上を占めるとされる外国人投資家だ。圧倒的な資金力で日本の株式市場を動かす外国人投資家は、具体的にどんな銘柄を好むのか。その「傾向と対策」を探ってみた!

◆外国人投資家が好きな日本株とは?

 真っ先に買われるのは、シェア握るグローバル企業

「彼らがまず最初に買ってくるのは、世界的なブランドやシェアを持つ企業です」と田代氏は解説する。

「特に日本企業の得意分野とされる機械や製造業、具体的にはソニーやファナック、キーエンス、村田製作所などが挙げられます」

 こうしたグローバルな知名度を持たない内需企業にも、外国人の注目銘柄はある。菊地氏は「構造変化」というキーワードを挙げる。

「少子高齢化や人口減少など日本が抱える構造的な問題に変化をもたらす企業も、有力なターゲットとなります」

 たとえば、人材関連としてリクルートホールディングスやアウトソーシング、物流の自動化技術を持つダイフクも人気銘柄だという。’16年にアメリカの空売りファンドが一時売り推奨して注目を浴びたサイバーダインも、介護現場で活躍する福祉ロボットを手がける生産性向上の関連銘柄だ。

 外国人観光客が増加する近年はインバウンド需要も重視され、中国人に人気の高い化粧品や日用品メーカー、ドラッグストアの注目度も高いという。

 株主還元の姿勢に対しても、外国人投資家は厳しく評価する。配当利回りや配当性向だけでなく、企業が自ら株を買い戻す自社株買いに対する姿勢も重視するという。自社株買いを行うと発行済株式総数が減るため、一株当たりの利益や価値が増加するからだ。

「現状だけでなく今後のポテンシャルも見ています。なかでも注目は、企業が保有する現預金などの金融資産。『キャッシュリッチ』企業は、今後増配や自社株買いに動く余地が大きいと評価されます」(菊地氏)

 また、外国人投資家が重要視する指標のROE(自己資本利益率)の変動にも注目だ。ROEは株主の資産をどれぐらい効率的に使って経営しているかを図る指標で、この数値が上昇すると予想される銘柄は新しい投資候補に浮上する可能性が高いという。

 一方で、構造不況下にあったり成長性に乏しいとみなされる銀行や不動産、鉄鋼やセメント、建設といった業種は買われにくい。

「それでも利益の半分を海外で稼ぐ三菱UFJや、PFI(民間資金を活用した社会資本整備)にすぐれた前田建設工業などは、外国人に評価されている銘柄です」(菊地氏)

◆流動性に乏しい中小型株が買われる条件とは

 さまざまな条件はあるものの、彼らの投資対象となるための最も重要な条件は、時価総額が大きく活発に取引される銘柄であることだ。

「外国人投資家から見れば日本株の多くは中小型株のようなもの。彼らの取引ボリュームはとにかく大きいので流動性は不可欠で、最低でも500億程度の時価総額は必要です。中には5000億円程度を最低ラインとする運用機関もあるほど」(菊地氏)

 しかし大型株の中には株価が高すぎて個人投資家にはハードルが高い銘柄もあるうえ、中小型株のような「大化け」は期待しにくく、投資妙味としては大きくない。

「とはいえ、ブラックロックやフィデリティといった大手運用機関ではアジアの中小型株専門チームを擁しており、新興株や中小型株にも投資しています」

 菊地氏によると、前述したダイフクは今でこそ時価総額は7000億円を超えているが、1年前の株価は今の約3分の1の水準で、中小型株アナリストが調査を担当している。また、マザーズから東証1部に市場変更したペプチドリームや、半導体製造に不可欠な特殊ガスを扱うジャパンマテリアルも、その成長性を外国人にも評価される銘柄。不動産投資プラットフォームを提供するインベスターズクラウドは、不動産業界のテクノロジー企業と見られているという。