「学習する組織」を作るのに必要なこととは?(写真:kou/PIXTA)

多くの企業の人材開発ニーズと日々向き合っている米人材開発支援会社、コーナーストーンオンデマンド。今回はその経営陣のブログから、従業員の能力を伸ばすのに必要な組織の在り方について紹介します。

最新のテクノロジーによって、従業員はいつでも、どこからでも情報にアクセスし、仕事ができるようになりました。しかし、情報へのアクセスのしやすさは、必ずしも従業員の学習機会につながるわけではありません。従業員が自らの能力を最大限に発揮し、成長し続けてほしいと願うならば、カリキュラムだけではなく、「学習する組織」になることが必要です。

多くの経営幹部は、組織文化の醸成を人事部に任せています。研修や能力開発プログラムを管理するのは人事部門なのだから組織文化作りも人事部が担うべきである、というわけです。

学習プログラムの成否を左右するのは

これはちょっと違います。組織文化作りに人事部が重要な役割を果たすことは確かですが、単独ではできません。デロイト社が世界の人事部門責任者および管理職を対象に行った調査によると、「学習・能力開発の重要性を認識している」と回答した企業数と、「学習・能力開発を実行できている」と回答した企業数のギャップは、2014年から2015年の1年間で200%以上も拡大しています。


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このギャップを埋めるには、トップダウンで「学習する組織」作りに取り組む必要があります。リーダーの行動、価値観、発する言葉が、組織全員の行動を形作り、学習プログラムの成否を左右するのです。

私は30年近くにわたり、教育機関、企業のそれぞれで「組織における学習」に携わってきました。その経験から、従業員の学習支援にあたってリーダーが心得ておくべきこととして、次の3つを挙げたいと思います。

1. 教師のメンタリティを持つ

私はつねづね、企業リーダーに、「組織における教師であれ」と言っています。おそらくこれは、私に教育者としての経験があるからなのでしょうが、「教師のメンタリティ」の有無によって従業員が能力開発と学習に取り組む方法に大きな違いが生じることが判明しています。

どの企業リーダーも一夜で今の地位を築いたわけではないでしょう。懸命に働き、失敗し、教訓を学んできたはずです。その経験を共有することで、従業員との信頼関係を強化し、困難を克服する力を身に付けさせることができます。実際、エデルマン社の調査によると、従業員の68%はCEOの個人的なサクセスストーリーを聞きたいと思っており、73%はCEOが克服してきた障壁について知りたいと考えています。

2. 生徒の側に回ることをためらわない

「学習する組織」とは、従業員の一人一人が自分や同僚の能力向上に意欲的に取り組む組織です。自分の知識を周囲と共有することも重要ですが、新しい知識を柔軟に受け入れることも大切です。

私が働いているコーナーストーンオンデマンドでは、従業員が教師役になってさまざまな知識を教え合う、「Development Day」を隔月で開催しています。プログラミングや遠隔勤務、ケーキポップの焼き方からiPhoneでの写真撮影に至るまで、ありとあらゆることを同僚に伝授するのです。CEOをはじめとする経営幹部もこうしたワークショップに参加し、教師役の従業員から学んでいます。教師は、新人の営業担当である場合もあれば、シニアデザイナーである場合もあります。

リスクをとってでも能力開発をする

3. 学習とビジネス戦略を関連づける

教師と学習者、両方の経験を通じ、「学習する組織」のカルチャーは醸成されていきます。しかし、これを強固なものにして維持するには、学習とビジネスの目標を関連づける必要があります。

デロイト社の調査によると、学習のための事業計画を作成したことのある組織は45%未満です。人材や資源、時間への投資は、その投資がいかに収益に貢献するか明確なビジョンをもって行われるべきです。

企業リーダーは、人事部の担当者を集め、1年先、5年先、10年先の組織のビジョンを語ってから、「これを実現するにはどうしたらいいでしょうか? 何か私にできることはありますか?」と尋ねてみてください。

トップダウンで進める「学習する組織」作りとは、リスクをとってでも能力開発に取り組むことが、社内での評価のみならず、企業の収益にもつながることを示すことです。企業リーダーとして、人的にも資金的にも注力していることを示せば、あなたの会社は従業員が主体的に学習する、強い組織になるでしょう。