パブリック型とプライベート型のブロックチェーンは、アーキテクチャが異なるかもしれないが連携は可能だ。パブリック型のブロックチェーンは、プライベート型よりも急速に拡大しているが、まだ本当に実用的なものになるには至っていない。

パブリック型のブロックチェーンと企業のブロックチェーンに融合の兆しがある。この分野でとりわけ有名な2社であるチェーン(Chain)とブロックチェーン(Blockchain)のCEOたちがそう言っている。

名前こそ似ているものの、この2社は大きく異なる。チェーンは、ブロックチェーンのスタートアップであり、事実上、資金などの資産を移動させるためのデータベースを、大企業向けに構築している。シティ(Citi)、ビザ(Visa)、ナスダック(NASDAQ)などが顧客で、このいずれも実際に現在、ブロックチェーン技術をビジネスで使っている。一方、ブロックチェーンは明らかに暗号通貨、消費者向け暗号ウォレット、および取引所寄りの企業であり、CEOのピーター・スミス氏はP2P決済の量でペイパル(PayPal)を上回っている。

「偽りの二分法」



「ブロックチェーンのパブリック型とプライベート型の二分法は偽りの二分法だ」と、チェーンのCEOであるアダム・ルドウィン氏は2018年2月7日、Yahoo Finance All Markets Summitで語った。「ときとともに、エンタープライズで起きていることとオープンなインターネットで起きていることの融合が進み、『Value over IP』(IP網を通じたバリュー)の未来が生まれるだろう」。

これは、民間会社が業務で使っているプライベートネットワークが、公開されたインターネットにも接続できる仕組みと似ていると考えられる。壁の向こうに置かれているファイルが、ときに外部のグループや組織に送信される。ここで留意しないといけないのはネットワークを移動する資産であり、資産を移動させるアーキテクチャではないとルドウィン氏はいう。アーキテクチャが異なるとしても連携することは可能なのだ。

ビットコインの根幹をなすブロックチェーンでは、トランザクション(取引)は世界中が見られる公開の帳簿に記録される。ただ、ユーザーは実名ではなく、意味をなさない文字と数字のアドレスでのみ特定される。これだと、巨大企業間の高額なトランザクションにおけるプライバシーの必要性は、しっかり満たされない。そのため、銀行は業界向けに開発された、信頼できる既知の組織のみが参加できる、ブロックチェーンに似た「許可制」のソリューションを模索してきた。金融機関はかねてより、ビットコインや暗号通貨には関心がないが、それを支えるブロックチェーン技術には乗り気だと主張しており、この半年は、デジタル通貨とパブリック型ブロックチェーンネットワークへの関心も高くなっている。

加速するパブリック型



「チェーンのようなところが従来型の金融システムのデジタル化に取り組んでいることを、ほんとうに楽しみにしている。というのも、そうした非デジタル資産といつでもやり取りするというのは、我々のビジネス上の大きな課題のひとつだからだ」と、スミス氏は語る。

スミス氏によると、同氏のブロックチェーンは従来型の金融機関と共同でプロジェクトを実施してきたが、これまでそれを公に語ったことはなかった。この日も同氏は、その詳細を明らかにはしなかった。ただ、スミス氏のチームはそうしたトライアルのすえに、イノベーションはエンタープライズ環境だと減速し、開かれた場だとスピードアップすると結論し、限られたリソースと消費者プラットフォームの成功を理由に、後者に注力することを選んだという。

パブリック型はさらにスピードアップした。世界の過半数はビットコインの使用や取引はおろか購入や保有もしていないという事実にもかかわらず、消費者向けソリューションを開発するスタートアップは、データベースを構築する銀行のはるかに先を進んでいる。しかし、そのパブリック型も本当に実用的なものにはまだなっていない。

「投資ばかりだ。いったい何をめざしているのだろうか? この問いはまだ答えがなく、きちんとした進展すら見えない」と、ルドウィン氏はいう。

いまのところ時期尚早



とはいえ、このふたつが2018年に融合することはないだろうと、アイテ・グループ(Aite Group)のアナリスト、ハビエル・パズ氏は語る。スケーラビリティやセキュリティをはじめとする問題にどう対処するかについて、パブリックチェーン陣営のあいだに、まだ意見の不一致が多い。

「ただし、パブリックネットワークとプライベートネットワークがそうした接続の確立、あるいは差別化や売り込みを試みないというわけではない」と、パズ氏。「相互運用できるネットワークというこの目標が、『構築すれば集まる』というような簡単なものなのかはわからない」。大きなユースケースはいずれもガバナンスコンポーネントがないだろうからだ。

複数の業界にまたがるトランザクションの記録と検証にブロックチェーン技術を提唱しているプロジェクト、ハイパーレッジャー(Hyperledger)のCEO、ブライアン・ベーレンドルフ氏は、2018年はプライベート型ブロックチェーン陣営で「ふるい分け」があり、単一ベンダーによるソリューションから複数ベンダーによるプラットフォームへと進むだろうと語った。

「業界全体に共有帳簿への参加を説得しようと試みる場合、それが、ひとつのベンダーに全員がライセンス料を払わなければならないということならば、そのベンダーが市場を支配する立場になってしまい、実現は不可能に近い」とベーレンドルフ氏。「ただひとつのベンダーがエコシステムの中心で主導権を握るというのでは、本当の選択肢や弾力性は提供されない。(中略)弾力性や選択が必要なところに、概念実証やパイロットから本稼働への移行が合わさり、企業のソフトウェアの選択肢は絞られることになる」と同氏は語った。

Tanaya Macheel (原文 / 訳:ガリレオ)