バルサにも劣らぬ良質なサッカーで数多くのチャンスを築いたエイバル。あと少しフィニッシュの精度が高ければ、まったく異なる結果になっていた可能性も。(C)Getty Images

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 現地時間2月17日に実施されたリーガ・エスパニョーラ24節、エイバル対バルセロナの一戦は2-0でアウェーのバルサが勝利。チームは敗れたものの、日本代表の乾貴士はフル出場を果たす中で、数多くの見せ場を作った。

 ピッチの主役は、完全にエイバルの選手たちだった。序盤から両サイドバックが高めの位置を取るアグレッシブな姿勢をキープし、今シーズンここまで圧倒的な強さを見せているバルサに対し、まったく臆することなく堂々たるプレーを見せた。

 乾、ジョアン・ジョルダン、ホセ・アンヘルらによる大胆かつ緻密な崩しでバルサの右サイドを攻略し、そこから逆サイドのファビアン・オレジャーナへの大きな展開で、揺さぶりをかける。オレジャーナにあと少しの決定力があれば、前半だけで2点、いや3点は奪っていてもおかしくなかった。

 前半のボールポゼッションは、エイバルが53%でバルサが47%。シュートの本数も7対4でエイバルが上回ったが、これらの数字は意外でもなんでもなく、まさしく印象通りのそれだった。「エイバル! エイバル!」の大合唱に後押しされたホームチームは、昨年9月にカンプ・ノウで大量6失点を食らったチームでは、もはやなかった。

 後半突入後も自分たちがいまできるベストのプレーを惜しみなく披露しつづけたエイバル。その中で乾の貢献も大きく、56分にはオレジャーナのクロスから決定的なシュートを放ち、79分には鮮やかなドリブルでペナルティーエリアに進入。惜しい一撃を見舞っている。

 リオネル・メッシとルイス・スアレスの巧みなコンビプレーにより、16分という早い時間帯に1点を失っていたとはいえ、エイバルにとってポジティブな出来事が起こりそうな予感は、1試合を通じてつねにあった。

 だからこそ、66分にオレジャーナが2枚目のイエローで退場したのは痛恨だった。勝負事に「たら・れば」は禁物だが、もし1月に加入したこのチリ代表のアタッカーが、レフェリーへの不要な抗議でピッチを去っていなければ、この試合ふたつ目のゴールは、バルサではなくエイバル側にもたらされていたかもしれない。

 バルサ相手に互角以上の戦いを見せたエイバルの挑戦は、88分のジョルディ・アルバの右足でのゴールによって終焉を迎えたが、試合後のピッチインタビューで乾が「エイバルらしい、いいサッカーは見せられた」と胸を張ったように、エイバルはクラブ史上初のヨーロッパリーグ出場権獲得という目標に向け、大きな可能性を示せたと言えるだろう。