ラインを高く設定し、タイトなプレスで奪いにかかる。FC東京とのPSMは0-1の敗戦も、内容はそこまで悪くなかった。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[プレシーズンマッチ]FC東京1-0横浜/2月17日/味スタ
 
 スコアは0-1の敗戦。開幕を約1週間後に控えたFC東京とのプレシーズンマッチでは結果を出せなかった横浜だが、「前半から(ボールを)握り倒せていたというか、押し込めていた」と、フル出場した喜田拓也は確かな手応えを口にした。
 
 アンジェ・ポステコグルー新監督が就任し、横浜のサッカーはガラリと変わった。
 
 全体のラインを高く設定し、ポゼッションに重きを置いて、攻守両面でアグレッシブに振る舞う。手堅い守備をベースに、どちらかと言えばリアクションの傾向が強かった昨季までの姿はどこにもなかった。
 
 システムは、中盤が逆三角形の4-3-3。アンカーを務めた喜田は、最終ラインに下がるより、果敢に敵陣に侵入する回数を増やして、攻撃に厚みをもたらした。
 
 チームとしては、安易にロングボールは蹴らず、自陣から丁寧なビルドアップを試みる。選手同士の距離感を適度に保ちながら、相手が寄せてきていても、たとえ狭いエリアでも、怖がらずにパスを通して、局面を前に動かそうとする。
 
「新しいやり方になって、どうなのか? という部分はまだ少なからずあると思う。でも、ここまでは順調に積み上げられている。監督も『信じてくれ』と常々言っている。僕らは心の底から信じて、続けていくだけ」(喜田)
 
 リスクの高い戦い方だ。前傾姿勢を取るなかで、1本のパスが乱れ、中盤でインターセプトされれば、致命的なカウンターを食らうかもしれない。喜田自身、「勇気とか覚悟が必要」と話すが、一方で「みんなで前向きに取り組んでいけば、絶対に良いものになっていく」と明るい展望も描いている。
 
 誰かがキープすれば、後ろの選手がボールホルダーを追い越そうと飛び出していく。誰かがロストすれば、近くにいる味方と連動して素早く囲み込もうとする。選手全員が積極的にプレーに関与し、喜田が「ハイインテンシティ」と表現するそのサッカーの完成度は、まだまだ高くない。ただ、方向性を見失わず、ブレずにやり続けることで、「リーグトップクラスのインテンシティの高さになると思う」。
 
 新機軸を打ち出したトリコロールの開幕戦は、2月25日、敵地でC大阪と相まみえる。今年の元日、天皇杯決勝で苦渋を味わった相手に借りを返すことができれば、選手たちはさらに自信を深めて、横浜は手強いチームになっていくはずだ。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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