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ジャパンディスプレイ(JDI)が2月14日に発表した2017年第3四半期累計(2017年4〜12月)連結業績は、売上高が前年同期比12.2%減の5655億円、営業損失は388億円の赤字、経常損失は585億円の赤字だった。そして当期純損失は1006億円に達し、最終赤字が拡大した。

アップルがiPhone Xで有機ELを採用したように、スマートフォンの主要顧客が有機ELの採用を加速したことがマイナスに影響した。また、中国市場を中心としたスマホ出荷台数の減少や、中国ディスプレイ市場における価格競争の激化がマイナス要素になったという。

「本来、第3四半期は売上げが拡大する時期だが、今年度は第2四半期並みに留まり、売上高は前年同期比800億円の大幅な減少になった。工場の稼働率は、前年同期の9割から6割に留まっており、粗利率も1.2%しかない。また、白山工場の稼働で固定費が増加したほか、特別損失として事業構造改善費用で147億円、営業外費用として持分法による投資損失36億円を計上したことで、前年同期比で赤字幅が拡大した」(JDI 執行役員CFO 大島隆宣氏)

○構造改革の現状は?

営業成績の概要だけで見れば、JDIの現状は厳しいと言うほかないが、明るい兆しとまでは行かないものの、JDIの構造改革が着実に進展しているように見える数字も出てきた。

例えば、課題となっていた過剰在庫は在庫の削減活動を進めた結果、2017年9月に完成品(商品および製品)の在庫保有日数が21日だったものが同12月には13日まで削減できた。仕掛品も23日から19日に削減している。大島氏は、「顧客へと届けるまでの日数が大幅に短くなっている」と語る。

この在庫の改善には、2017年10月に導入したカンパニー制の成果があるという。カンパニー制の導入に伴って、増益目標だけでなく、月次キャッシュフローの評価指標を取り入れた。これによって、カンパニー長の意識が変わり、部材発注ひとつでも慎重な裁定になったという。

これまでは増益だけを重視する姿勢によって「生産の立ち上げや、出荷を優先し、部材の調達数を多く、投入も多くしていたが、キャッシュフローを重視することで、部材を仕入れれば目先の状況は悪化する」(大島氏)。カンパニー長が在庫に対して敏感になり、いかに現金化するかを意識したことこそ、カンパニー制が機能し始めた結果だという。なお同社では、第2四半期までに滞留在庫の評価損として116億円を計上し、在庫処理も完了させている。

大島氏は、この四半期の業績について、前年同期比で悪化しているものの、「原価増減、販売管理費および一般管理費、数量ミックス、為替影響など、営業利益の増減要因についてはほぼ変化がなく、足元は大きく悪化はしていない」(大島氏)と評価する。

設備投資額については当初見通しの650億円を500億円に引き下げたが、「製造に利用する金型や治工具にはしっかりと投資をしており、必要な投資はタイムリーに行っている」としたほか、研究開発費については当初計画の250億円を維持し「使うところには使っている」(大島氏)と話す。

構造改革に向けた取り組みの一つでは、2017年12月に国内前工程生産を行っていた能美工場の生産を停止。今後、建屋や一部の生産装置はJOLEDによる有機ELの生産に活用する方向で検討を開始し、有機ELの開発リソースについても茂原工場に統合した。

海外後工程製造子会社の統廃合は依然として協議中だが、中国やフィリピンの海外遊休資産の一部については、第3四半期までに149億円の減損を計上し、前倒しで減損処理を進めている。また、早期希望退職者は募集枠の240人に対し、290人が応募しており、第3四半期には早期割増退職金を24億円計上した。

この結果、構造改革費用の計上額は、第1四半期に27億円、第2四半期に138億円、第3四半期に147億円となり、2017年8月に発表した1700億円の構造改革実施に伴う特別損失についても、「100億円単位で下回る見込みである」として、見直しを発表する姿勢を示した。

「構造改革費用による特別損失が見通しを下回るのは、昨今の状況変化がある。これは、グローバルパートナーとの話し合いにおいても、プラス効果になる」(大島氏)

○ノンモバイルとFULL ACTIVEに期待するJDI

JDIは、中期経営計画の柱のひとつに「グローバル企業とのパートナーシップの構築」を盛り込んでおり、資本提携を含めて協議を進めている。当初の想定に比べてスケジュールは遅延しているものの「数社と鋭意交渉を続けている。話し合いについての基本的な方向性にはなんら変更がない。ステークホルダーにとって最適な結論を出したい」(大島氏)という。

これまでJDIは、発表していた2017年の通期売上高見通しを、具体的な数値を示すことなく「前年度比15〜25%減」としていたが、今回の決算発表にあわせて7100億円程度と発表した。これは前年比20%減となる数字で、当初計画のちょうど真ん中の水準だ。上振れもなければ下振れでもない、中期経営計画の想定通りの進捗だ。

有機ELディスプレイのトレンドこそあるものの、同社の4辺狭額縁液晶ディスプレイ「FULL ACTIVE」が好調な売れ行きとしており、一部報道ではアップルが次期iPhoneで採用するとの見方もある。モバイル向けの有機ELディスプレイはサムスン電子の独占状態にあり、価格も高止まりであるため、同等のデザイン性を確保できるFULL ACTIVEであれば価格優位性で競争力があるということなのだろう。

「特に、中国スマホメーカー向けの売上げの半分は、FULL ACTIVE。2018年度下期からは、中国スマホメーカーの回復も期待できる。今後、FULL ACTIVEの営業活動を強化し、価格競争が厳しいなかでも、FULL ACTIVEの強みを訴求し、魅力のある製品を適正な価格で出し、他社との技術的差異化を提案していきたい」(大島氏)

また、今後の成長領域とする車載などのノンモバイル領域では、第3四半期決算で一部民生向けが減少。ただし車載やウェアラブル、デジタルカメラ向けが堅調で、「VRなどの新規需要も生まれている。全体への貢献度はまだ低いが、ノンモバイル事業の拡大に取り組んでいきたい」と大島氏は話す。

大島氏は最後に、改めて「重要なのはキャッシュフローを改善すること」と、引き続き財務体質の改善に尽くすことを強調する。構造改革の進展が見えつつも厳しい四半期決算だったJDI。グローバル企業とのパートナーシップの話し合いも遅れる中で、構造改革の手綱を締めるだけでなく、それを実行する速度をどこまで早く"フルにアクティブ出来るか"が今後の鍵となりそうだ。