日本はキャッシュレス社会へ移行できるのか?(2) 多様化し進化する決済手段

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 ATMは銀行窓口の省力化と利便性をアピールするツールとして増加を続けた。コンビニも他店との差別化を明確化し、来店客の増加を促すための戦略の一環としてATMの設置を積極的に行った。結果として、コンビニにATMがあるのが当たり前という標準化を進めることとなった。こうして日本には郵貯も含めると20万台というATMが設置されていた。いつでも、どこでも、口座に残高がある限り、キャッシュカードがあれば現金に困らない社会が出来上がった。

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 しかし、ATMは社会に膨大なコストの支払いを求めることになった。ATMの経費は銀行業界だけで年間2兆円も掛かっていると言われる。大手クレジットカード会社が外部に委託した調査結果によると、政府の目標通りに2割のキャッシュレス化が実現すると、東京都だけで年間2.2兆円の経済効果が見込めると報告されている。

 みずほ銀行は今夏、スマホアプリを使った独自の電子マネーサービスを始める。口座の残高の範囲内で個人間の送金が可能になり、電子マネーとしても使える。みずほ単体ではなく、オールジャパンの電子マネーを目指すとしている。

 りそなホールディングスでは10月に、傘下の3行で、銀行口座からリアルタイムに支払いするデビット機能をキャッシュカードに付加する。キャッシュカードにチャージの要らない電子マネーという発想を取り入れたとしている。

 訪日外国人の中には「日本でクレジットカードの使える店が少ない」という声が多い。そこで西武信用金庫(東京・中野)などの地域金融機関は、スマホやタブレットにターミナルを接続するだけで決済を可能にするため、コイニー(東京・渋谷)と連携して、飲食店などに決済端末の導入を促している。大手カード会社へ加盟する場合、10万円程度の初期投資が必要になるが、コイニーの場合は実質ゼロ円もありうる。コスパや利用頻度を考えて躊躇する必要はない。楽天やスクエアにも同等のサービスがある。

 中国では既に年間100兆円を超えるという市場規模に成長したのが、「アリペイ」などで知られる「QRコード決済」だ。スマホにあらかじめ銀行口座やクレジットカード、デビットカード等の決済手段の紐が付いていると、決済金額が登録されているQRコードをユーザーのスマホで読み取って決済完了となる。利点はスマホやタブレットがあればいいというハードルの低さだ。「楽天ペイ」「LINEペイ」「Origami Pay」などがある。