株が大きく下落、動揺するNY市場。だがバブルとは、こんな生やさしいものではない(写真:ロイター/アフロ)

株式市場に「ボラティリティ」(株価等の変動率)が帰ってきた。市場が本性を現した。

波乱の前まで、特に米国市場を中心によく聞く言葉は「適温相場」だった。FRB(米連邦準備制度理事会)の利上げ自体は基本的に株価にとって悪材料だがペースがゆっくりで、米国をはじめとして世界の景気はおしなべて良いため、利上げが株価下落の引き金を引くことなく、環境全体が「ほどほど」であるといったニュアンスだ。

「適温相場」は続かない

しかし、欲望と恐怖が集う株式市場は、そのような「ぬるい」状態を長く続けるものではない。ある程度以上の経験のある投資家ならみな肌感覚的に知っていることだ。


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「適温」が永遠には続き得ないことは、経験がなくても、理屈で分かる。景気の拡大は、金融引き締め政策と金利の上昇を誘発し、金利上昇は理論株価にとってマイナスであることと同時に、景気に対してもマイナス材料になるからだ。最終的に、金融引き締めに勝つ上昇相場はない。ただし、株価が大幅に下落して、経済が落ち込む時に、金融引き締め状態が続くことはない。次の金融緩和が株価と経済に追い風を送る。市場は、これを繰り返す。

さて、今回の株価の下落が本格的な「バブル崩壊」の始まりなのだとすると、投資家は持ち株の一部ないし全部を(「全部」はやり過ぎになることが多いが)売ることを考えなければならない。

しかし、株価下落の手前までがバブルなのだとすると、じわじわ上がって、下落が始まったらそのまま終わりというような「おとなしい」振る舞いをすることは稀だ。ときどき波乱を織り込んで、ボラティリティを高めつつ、株価が意外な高さまで急騰するような局面を経て、その後に大きくクラッシュするのが典型的な推移である。

今回程度の下落を、気がついてみると数カ月程度で取り戻し、市場に新たな楽観が生まれて、仕上げ的な上昇局面を経て、後から見ると馬鹿馬鹿しく思える高値を付けてから下落にいたるのが普通だ。バブルとは、この程度の下落で簡単に幕引きになるような生やさしいものではない。投資家は、自分が持つリスクの大きさに気をつけながら、まだ株を持っているのが正解になる場合が多いだろう。

一方、株価の状況が「バブル」ではなかったのだとすると、今回の下落はいわゆる「調整」であり、まだ続く上昇途中の小休止だ。この場合も、投資家は我慢して待っているとやがて報われるはずだ。

つまり、筆者の直感は「まだ売らなくていい」と言っている。しかし、人の「直感」など全くあてになるものではない(まして、筆者は、「証券マン」でかつ「評論家」だ。信じて頼ってはいけない人の属性を複数備えている!)、ということもまた大事な投資常識である。

米金利上昇と円高の不運が重なった

波乱の直接の引き金は、米国の雇用の数字が良かったことから米国の長期金利が上昇したことだった。

前述のように、好景気ではあっても、金利上昇に伴って株価の下落局面が「いつか」やってくることは不可避だが、FRBの誘導目標である政策金利が1.25〜1.5%、長期金利が3%の手前で、株価が当面の天井をつけるのは、経験的にはいかにも早い。

さて、米国長期金利の上昇に加えて、日本の株式市場は円高の影響も受けた。特に、連休明けの2月13日(火)は、前日の海外市場の株高と前週末に報道された政府による黒田東彦・日銀総裁の再任意向の報道を受けて株価上昇で始まったが、その後、1ドル=107円台に突入する円高の影響で株価は下落に転じて、何と前週前比マイナスで引けてしまった。これにはガッカリした投資家が少なくあるまい。翌、2月14日も、106円台に入る円高の影響で株価はさらに下落した。

米金利上昇による米株下落も、突然の円高による株安も、昨年末に「もし2018年に株価下落があるとすると、その原因になる材料」として想定されていたもので、共に常識的なものだが(本連載でも取りあげた)、両方が続けて現れたことは、日本の投資家にとっていささか不運だった。人間で言うと、食べ過ぎで腹を壊したところに、続けてインフルエンザに罹ったような案配だ。ただ、どちらも普通に起こり得る症状で、多くの場合、一過性のものだ。

黒田日銀総裁の再任方針報道は、株価の下落を気にして政府がリークしたのではないかと思えるようなタイミングだったが、「インフレ目標の2%が十分達成されるまで、日銀は金融緩和を後退できない」と市場関係者に知らせる点で大いに意味がある。黒田氏は、2014年の消費税率引き上げに、反対しなかったばかりか、むしろ賛意を表した点で失敗はあったが、大規模な金融緩和を象徴するアイコンのような存在なので、彼の再任は株式投資家にとっては安心材料だ。

米国の長期金利も、円高も、「相場」なので、どちらも追加的な悪材料になり得るが、米国の金利上昇自体は長期・短期共に円安材料であり、黒田日銀総裁の再任も円安・株高方向の材料だ。

企業収益の上方修正に、当面昨年ほどの勢いはないものの、利益は増益基調だ。またPER(株価収益率)は株価の下落もあって15倍を切り、配当利回りが1.9%(東証1部全銘柄、共に加重平均。日本経済新聞予想ベース)に表れる日本の株価水準は、概ね「普通」であって、「高い」と言いたいレベルではない。ただし、現在、長期金利が日銀の政策でゼロ%近辺に固定されていて、自然に形成されていないので、「長期金利が正常化した場合には株価は割高ではないのか?」という心配はどうしても残る。

これからさらに下落する局面があるとしても、長くても1、2年我慢すれば高値を更新するレベルに戻ることができるのではないか。株式投資家は、持ち株を売らずに我慢していていいのではないかと筆者は考えている。

「守り」の運用は「個人向け国債変動10」で

内外の株式に投資したポジションが言わば「攻め」の運用だとすると、おカネをリスクに晒したくない「守り」の運用はどうするといいのか。

長期・短期共に金利がほぼゼロで下落の余地が小さい一方で、今後、賃金や原油価格などの上昇があってインフレ目標「2%」の達成が意外に早く(たとえば来年度中に)見えてくると、長期の固定利付国債への投資は、価格上昇の余地が小さい一方で、価格下落方向には大きなリスクを抱えた、非対称なリスクを孕んでいる。

この状況で、「守り」の運用にあって断然優れた運用対象は何か。

それは「個人向け国債変動金利10年満期」(通称:「個人向け国債変動10」)だ。

長期金利の急上昇の可能性は、日本の投資家が心配しておかなければならない近い将来のリスクの中で、深刻なものの一つだ。インフレ目標の達成が見えてきた時に、果たして日銀が長期金利(長期国債の利回り)をコントロールしきれるのか、ということも含めて、心配しておく必要がある。

日本の長期金利上昇は、日米の長期金利差縮小による円高を招く可能性がある。従って株価の下落の要因になるし、財務的基盤が脆弱な一部の銀行の経営を急速に危うくしかねない要因の一つでもある。「1人、1行、1000万円まで」という預金保険の保護範囲は守ったほうがいい。

個人向け国債変動10は、銀行預金よりも信用リスク面でより安全だ。加えて、長期国債と異なり長期金利が上昇しても元本割れしない。半年毎に決まる利払いは長期金利の66%なので、長期金利が上昇する局面でも、利回りにある程度ついていくことができる。

金融政策が正常化し、利回りが十分上昇すると、株式との補完関係も含めて考えると長期国債への投資を検討する価値が生じるようになる可能性があるが、それがインフレ目標「2%」の達成後なのだとすると、少なくとも長期金利が2%を超えてから考えていいだろう。また、長期国債と「個人向け国債変動10」の利回り差が1%以上に拡がるのは、長期金利が3%を超えてからだ。

いずれも1年以上先のことだろうし、どうしても換金して長期債に投資したくなった場合、「個人向け国債変動10」は、直近2回分の利払いをペナルティとして払うと、元本100%で換金できるオプションがある。

株式投資などによる「攻め」の運用については、自信を持って語ることが難しいとしても、リスクなしで運用したい「守り」の運用の選択肢は割合はっきりしている。

ただし、購入時に金融機関から勧められる投資信託、貯蓄性保険などのセールスに「絶対に」乗らないことと、購入1年後にやってくるかも知れない「解約できるようになりました!」というセールスを一切相手にしないことが肝心だ。

ここからは、恒例の競馬コーナーだ。

週末は、厳冬期には珍しいG1、「フェブラリーステークス」(2月18日東京競馬場11R)が行われる。府中ダートのマイル(1600メートル)戦なので、先行・追い込み両方にチャンスがあり、ゴール前は接戦になりやすい。

フェブラリーステークスの本命はゴールドドリーム

本命は昨年の覇者ゴールドドリームだ。決め手は1番だし、調教も絶好調のようだ。加えて、鞍上のライアン・ムーア騎手も心強い。

対抗には、同じゴールドアリュール産駒の4歳馬サンライズノヴァを採る。レースはテイエムジンソクとケイティブレイブが先頭を引っ張るので緩い流れにはならないだろう。

おそらく、テイエムジンソクが追い込み勢のいいターゲットになる。ゴール前でテイエムジンソクが抜け出したところを、ゴールドドリームとサンライズノヴァが並んで差してくる展開を想像する。競り合いながら差すとよく伸びるので、対抗はこの馬とする。

7レース連続で連対し、先行力のあるテイエムジンソクは安定感があり、3番手以下には落とせない。以下、調子を合わせてくると1600メートルのダートを1分35秒台で走ることができる古豪サウンドトゥルー、インカンテーション(共に8歳馬)を押さえる。