【働く車:除雪車(下)】自動車の改造か建設車両の改造か? 除雪ソフトの必要性

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■自動車の改造、あるいは建設車両の改造か?

 一言に「除雪車」と言っても、多種多様である。車全体から見ると、きわめて特殊な「少量生産車両」であるので、車体から専用設計のものはほとんどない。自動車の分野からは、トレーラーの牽引車を改造した除雪車が見られる。大部分は都市部での除雪に用いられているようだ。もうひとつの方向は、建設車両にアタッチメントを取り付けた形だ。これは豪雪地帯でも用いることが出来るものもある。

【前回は】【働く車:除雪車(上)】AI自動運転と安全装置 キャタピラーとタイヤ式

 トラックの改造と建設車両の改造では、何が違っているのか?まず構造上では、目立つ違いはボディの作りの「鋼板の厚さ」だ。建設車両は自動車と違い、圧倒的に鋼板の厚さが厚い。トレーラーは1〜4.5mm程度の薄板の範囲だが、建設車両は6〜25mm程度の厚板のレベルを使う。車体の強度は建設車両が圧倒的だ。

 建設車両の特性を見てみると、車体の旋回のための操舵機構が、タイヤだけを曲げる自動車の方式ではなく、胴体を折り曲げる方式が大多数だ。これは前・後輪差を生まないので、脱輪の危険が少ないメリットがある。都会の作業ではそれほどの差は生まないが、山間部の作業ではその差が重要となる場面がある。

 一方、自動車から派生であるトレーラー改造の除雪機では、除雪車専用の改修範囲が広いので、その他の用途に使いにくい構造となってしまう。建設車両では、アタッチメントを取り換えるだけで、他の用途に使用することが可能だ。この点をうまく利用すれば、夏の間は建設作業に使える。しかし、価格はおおむね建設車両改造の除雪車が高くなると思われる。

■これからは安全装置とAI自動運転

 建設車両でも、自動車と同じように緊急ブレーキなどの安全装置の開発が進んでいる。特殊な動きをする車両なので、脱輪などの危険を回避することは運転支援システムの役割であろう。AI自動運転に関しても、建設車両のほうが、実用化が進んでいる。これは使われる動作・環境が限られるためだ。農機具については、さらに自動運転の実用化が進みそうだ。

■除雪能力は除雪ソフト次第

 東京の雪では除雪車が少ないので、通行止めのタイミングなどとの連動が必須だ。積雪からの早い回復が必要だが、除雪作業が極めて弱いため積雪が多くなると被害が大きくなる。しかし、自動運転などのAIの応用が効果的な部門であるはずで、早い開発が望まれる。

 また、豪雪地帯での「除雪作業運用のソフト開発」が必要であると考えさせられたのが、山間部での渋滞だ。早い時期から除雪車を出して、「通行止め」と「除雪作業」の連動があれば、渋滞は防げると思われる。AIを駆使した除雪作業の取り組み方を開発することが急務のようだ。

■AIの導入には労働組合との調整が欠かせない

 このように、AIを使用した自動運転は、電車・建設車両・農機・除雪など特殊作業に限定されている部門のほうが実用化が早いはずだが、なぜか進まない部門がある。それは電車だ。イギリスなどでは急速に進めているようだが、日本では組合との調整が必要だ。踏切事故回避など安全のため、列車にAIを使った「運転支援システム」の導入を進めるべきである。