グローバル展開するPR会社「エデルマン・ジャパン」は2月15日、世界28か国を対象にした「2018 エデルマン・トラストバロメーター」の調査結果を発表した。

同社は、政府や企業、メディア、NGO/NPOへの信頼度を回答者に1〜9で評価してもらい、6〜9と回答した人を「信頼している」に分類。各組織に対して「信頼している」と回答した人の割合を平均し「組織に対する信頼度」を算出した。日本は37で28か国平均の48を大きく下回った。順位も下から2番目でロシアに次いで低かった。

「日本はもはや伝統的なものづくりの強みだけでは評価を維持できない」

調査は、28か国からそれぞれ1150人ずつの一般層とそれぞれ200人(米国と中国においては500人)の知識層を対象に行った。知識層とは、「25〜64歳」「大卒以上」「世帯収入が各国の同世代と比較して上位25%以内」「メディアに日常的に触れ、ビジネスに関するニュースに関心を持っている」の4つの条件を満たす人を指す。

組織の中で最も破たんしていると思うものを聞くと、日本では政府が30%で1番多く、次いでメディアが29%だった。しかし「よりよい未来に導いてくれる」と思う組織も、政府が23%でトップだった。たとえ破たんしているとしても、メディアや企業よりは政府の方に期待できるということだろう。

メディアに対する不信感も広がっている。メディアを信頼している(=信頼度が6〜9である)と回答した人は32%で、28か国平均の43%を下回っている。順位も、トルコ、オーストラリアに次いで低く、下から3番目だった。

どのくらいの頻度で大手報道機関のニュースを見たり、聞いたり、読んだりするか聞いたところ、週1回未満の人が72%で最も多く、週1回以上は18%、自分で読むだけでなく、コンテンツをシェアする人は10%に留まった。

週1回未満という「無関心な人」の割合は、28か国中最も高い。メディアへの不信感がニュース離れを引き起こしているのかもしれない。

政府もメディアだけでなく、企業も信頼できないのが現状のようだ。勤務先の会社への信頼度も、28か国平均の72%を下回る57%で、韓国と並んで最下位だった。また、各国の調査対象者に日本企業全体への信頼度を聞いたところ、28か国中、18か国で昨年よりも低下していた。

こうした調査結果について、エデルマン・ジャパンのロス・ローブリー代表は、

「世界的に日本企業に対する信頼が低下しているという事実が伝えるメッセージは明白です。日本株式会社は、もはや伝統的なものづくりの強みだけではレピュテーションを維持できないということです。2020年まで世界の目は日本に注がれるでしょう。これが、日本が世界の、そしてアジアのリーダーとして自らを主張できる最後のチャンスです」

と話している。

中国では政府が「よりよい未来に導いてくれる」と考える人が7割

日本と同様に、不信が広がっているのがアメリカだ。2017年には52で8位だった「組織への信頼度」は、2018年には43で18位まで順位が低下。知識層では、6位(2017年)から最下位(2018年)まで順位を下げている。

特に政府への信頼度は、全回答者で14%低下し、知識層では30%も低下している。最も破たんしていると思う組織を聞いても政府が59%で最も多い。トランプ大統領の政権運営に疑問を感じている人が多いのかもしれない。

対照的なのは中国だ。「組織に対する信頼度」は全体においても、知識層においても最上位で、政府、企業、メディア、NGO/NPOへの信頼度はいずれも昨年より上昇している。

特に政府への信頼が厚く、政府が破たんしていると考える人はわずか10%で、反対に政府が「よりよい未来に導いてくれる」と考える人が68%に上っている。