スマートフォンの普及によって、携帯電話機市場の勢力図や、私たちを取り巻く社会の様相は様変わりした。そのきっかけをつくったのは、今からほぼ11年前に発売された「iPhone」だ。

 そして、このiPhoneを手がける米アップルは、腕時計市場をも変えてしまうのかもしれない。

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Apple Watchは800万台、スイス時計は680万台

 英国の市場調査会社カナリスの推計によると、昨年(2017年)10〜12月期における「Apple Watch」の出荷台数は800万台だった。

 スイス時計協会(FH)が公表しているデータを見ると、この期間におけるスイス製腕時計(オメガやスウォッチ、ロレックスなどの合計)世界出荷台数は、680万台にとどまり、Apple Watchを下回った。

 ドイツの調査会社スタティスタが作成したインフォグラフィックスを見ると、分かりやすい。

 Apple Watchの出荷台数は、昨年の4四半期、いずれも前年実績を上回り、年間で5割以上増えた。

 これに対し、スイス時計は、すべての四半期で前年実績を下回り、年間で4.3%減少した。

 昨年1年間の出荷台数を見ると、Apple Watchが1840万台、スイス時計が2430万台。依然、スイス時計の方が多い。しかし10〜12月期のような傾向が今後も続けば、Apple Watchは年間ベースでもスイス時計を上回りそうだ。

「シリーズ3」が牽引

 カナリスによると、Apple Watchの成長を支えたのは、昨年9月半ばに市場投入した第3世代モデル「シリーズ3」。このシリーズの昨年における出荷台数は、ほぼ900万台に達し、アップルが同年に出荷した全Apple Watchのほぼ半分を占めた。

 これにより、前述したとおり、10〜12月期における全Apple Watchシリーズの出荷台数は、800万台となったが、この台数は、1つの四半期のものとして過去最高。アップルだけでなく、すべてのウエアラブル機器メーカーの出荷台数としても過去最高だったという。

セルラー対応モデルも好調

 シリーズ3には、セルラー対応(携帯電話通信機能内蔵)モデルも用意されている。それまでのApple Watchは、iPhoneと接続して利用することが前提の機器だった。しかしセルラー対応モデルでは、近くにiPhoneがなくても電話やネット接続が可能になる。

 カナリスの推計によると、セルラー対応モデルの全Apple Watch出荷台数に占める比率はわずか13%だった。しかし、その成長スピードは、すべてのセルラー対応ウエアラブル機器の中で最速という。

 シリーズ3のセルラー対応モデルは、とりわけ、年末商戦に合わせ、携帯電話事業者が十分な在庫を確保した米国、日本、オーストラリアで、強い需要があった。一方で、品ぞろえが限られた、英国、ドイツ、フランスでは、成長の可能性が抑制されたと、カナリスは指摘している。

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筆者:小久保 重信