アウディ(Audi)はARを活用したアプリで、自動車のショールームをユーザーの手元に届けようとしている。

このアプリは米国以外の主要なマーケットにおいて2月初頭に導入された。ユーザーのリビングルームやガレージといった好みの場所に、アウディの持つ4つのクワトロモデルのうちのひとつを、ミニチュアサイズもしくは現物サイズでスクリーンを通して表示させられる。テスト走行のルートを作ってARを通してクワトロを走行させることも可能だ。

現時点では、実際のショールームの機能をアプリで提供するというよりは、PR効果の方に焦点を置いている。アウディノルウェーのコミュニケーションズディレクターであるオイヴィン・ログンリエン・スコヴリ氏は、アプリのダウンロード数は重要な指数としては捉えていないと語る。ノルウェーではテレビコマーシャルにもこのアプリが連動している。クルマがテレビ画面から飛び出して、ユーザーのデバイス上に飛び込むという仕上がりだ。ほかのマーケットにこの広告を展開する計画もあるという。

自動車販売を変える



将来的には、クワトロ以外のモデルも閲覧・テスト走行をできるようにしたいという。プロトタイプのモデルでの活用も考えているとのことだ。実際のテスト走行をデザインして予約するという機能も追加することを検討している。スコヴリ氏は、このアプリでアウディの自動車販売を変えて行きたいと語った。またFacebookやSnapchatの補佐的な役割も、自社プラットフォームにおけるARが担っていくと考えているようだ。

アウディがARの自社プラットフォームを作るという決断は、ほかの多くのマーケターたちも検討してきたことだと、テクノロジー・エージェンシー、イニション(Inition)のCEOエイドリアン・リュー氏は指摘する。ARのようなまだ成熟していないマーケットに向けてアプリを開発して維持することは大きな負担だ。開発コストは高い。しかし一方でディベロッパーたちはより大きなコントロールを得ることができる。

「ユーザー体験だけでなく、顧客データのコントロールもできるようなARプロジェクトに取り組みたければ、開発してしまう方が理に適っている。FacebookもSnapchatも彼らの閉じられたエコシステムのなかで、広告主にそこまでの柔軟性は与えてくれない」と、リュー氏は語る。

アプリがAR活用の最善策かどうかは自動車メーカーの間でも意見が別れるところだ。BMWも若い購買層を取り組むためにSnapchatでAR広告に取り組んだ。BMWのデジタルマーケティング部門の責任者であるヨーグ・ポゲンポール氏は、モバイルにおいてARをメインストリームにするためにはSnapchatとAppleのARKitがキーとなる、当時米DIGIDAYに対して語った。

コストは正当化できる



アウディは2013年からARを扱ってきた。ブリップパー(blippar)と一緒にAR広告を最初にローンチしたのが2013年だ。アプリ開発のコストは実際のショールーム体験を提供できるようになれば正当化できる、としている。

「このアプリが、多くの点で新しい顧客体験のはじまりになるかどうか、吟味しているところだ。次が何か、を明言するのは難しいがアプリを使って新しいモデルのローンチを展開したり、マーケットに投入される新しいプロダクトをユーザーにアップデートすることは簡単だろう」とスコヴリ氏は語った。

Seb Joseph(原文 / 訳:塚本 紺)