2年前にマイナス金利導入を説明する黒田日銀総裁

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 日銀がマイナス金利政策を導入してから16日で2年となる。銀行による企業や個人への貸し出しを促しデフレ脱却につなげる狙いで導入された。実際、全国銀行協会によれば1月の貸出金は484兆円と2年前と比べ4%増えたが、銀行の収益悪化という副作用が目立っている。

 全銀協会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)の平野信行氏は「マイナス金利に加え、少子高齢化といった社会的な構造変化がボディーブローのように効いている」と指摘する。

 今月出そろったメガバンクグループの2017年4―12月期連結業績で傘下銀行の業務純益は、マイナス金利導入前の15年4―12月期と比べ約3割減った。預金金利が低下したが、貸出金利も下がることで利ざやを確保しにくくなっている。

 地方銀行の収益も深刻だ。全国地方銀行協会の集計によれば会員行の17年4―9月期の業務純益は2年前と比べ約2割減った。

 地銀協会長(千葉銀行頭取)の佐久間英利氏は「未曾有の金融緩和政策が続くと基礎体力が失われていく。地域の金融仲介機能の維持に深刻な影響が出る可能性がある」と懸念を示している。

 こうした中、銀行の店頭での両替や振込手数料を引き上げる動きが広がっている。三井住友銀行が昨年5月、みずほ銀行が1月に両替手数料を引き上げたほか、4月には三菱東京UFJ銀行も実施する。地銀の間でも振り込みや両替手数料の引き上げが相次ぐ。

 野村総合研究所エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は「マイナス金利による収益悪化分を2年近く時間が経過した後に利用者に転嫁する動きと解釈できる」と指摘する。

 木内氏によれば、ユーロ圏でも欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利政策を導入して相当時間が経過した後に、手数料引き上げなどを通じて利用者にコストを転嫁する動きがみられた。

 利用者に転嫁するだけでなく、人工知能(AI)やRPAなどの技術を活用し業務プロセスを効率化して収益力を強化する努力が銀行には求められる。利ざやに依存したビジネスモデルも変革を迫られている。
(文=池田勝敏)