「Thinkstock」より

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「自分自身に上手な質問をしてみる」――これはポジティブな思考をして、有意義な行動を取れるように促す自己管理の方法です。自分への問いかけに答えようとすることで、自らを助けるよいアイディアが浮かんできます。

 たとえば、「この通勤時間を意味のあるものにするには、どうしたらよいか」といった質問をしますが、よりよい答えを導き出すには、こうした質問設定の仕方にちょっとしたコツが必要です。その「コツ」について考察していきましょう。

●特定的な質問がよいアイディアを生み出す

 自分に問いかけるのは、「短い(1行程度の)前向きな質問」であることが前提です。この短い質問をできるだけ特定的な内容にしてみます。そうすると前出の「通勤時間を〜」という質問は、たとえば「この通勤時間を明日の商談のために有効に使うには、どうしたらよいか」となります。漠然としていた質問が具体性を帯び、それなりの答えが出てきやすくなります。

 このような問いかけを行うことで、電車の中でスマートフォンの画面を見るにしても、ただなんとなくではなく、たとえば「商談相手が比較検討するであろうライバル会社について調べる」というように、目的意識を持った見方に変わっていくのです。

●質問には「大きさ」があることを意識しよう

 私たちが自らに問いかける質問には、それぞれ「大きさ(サイズ)」があります。たとえば、「会社の業績を向上させるには、どうしたらよいか」や「自分の専門分野において、業界全体のトップ5%に入る活躍をするには、どうすればよいか」というのは、大きな質問です。

 それに対して、「今年度の売り上げ目標を達成するには、どうすればよいか」「来年度に、取引先を2社増やすためには何をすべきか」というのは、中くらいのサイズの質問であり、「顧客から来月中にリピート注文をもらうために、今週はどんなことができるか」「報告書の書き方について、何か改善すべき点はあるか」というのは、小さなサイズの質問になります。

 仕事以外の例でいえば、「家族が今後もずっと幸せでいるために〜」は大きな質問であり、「今夜、家族で楽しい食事をするために〜」は、比較的小さなサイズの質問になるでしょう。

 どの質問も大事なことに変わりはありませんが、自らに問いかけている質問がどんな大きさかを意識するとよいでしょう。大きな質問ほど、時間をかけて試行錯誤しながら答えを探していくのが普通です。

 今回、ここで自己管理の方法として取り上げているのは、小さなサイズの質問をすることです。すぐにでも答えを見つけ、アクションを起こすのが目的です。

●前向きな聞き方が大切

 私たちは、自分に問いかける質問の内容次第で、よからぬアイディアを思いついてしまうものです。ネガティブな質問をしても、よいことは起こりません。

 どんなことでも前向きな問いかけをするように心掛けましょう。たとえば、「なぜこれほど上手くいかないのか」「なぜこんなにダメなのか」と思ってしまった場合にも、質問は「上手にやるために、自分には何ができるか」という具合に、聞き方を変えてみます。

 続けていると、前向きな質問が自然にできるようになってくるものです。有意義に過ごそうと思っていた休日に、思うように物事をこなせず、イライラしてしまったようなときにも、「今夜までに何ができていれば、自分にOKが出せるか」と聞くことが助けになります。そうすることで夜までにこなすべきこと――たとえば、部屋の掃除と○○の下調べという答えが見つかり、イラついているよりも、本当にやるべきことに取り組むことができるのです。

●行き詰まったら聞いてみること

 日々の仕事や生活では、常に気分よくしていられないことや、嫌になってしまうこともあるでしょう。たとえば出張が続いているときには、長時間の移動やスケジュール調整の手間など、面倒なことばかり頭をよぎって、ため息をつきたくなるときがあるかもしれません。そんなときは「大局的な視点」から、自分に質問をしてみます。

「(たいへんな面はあっても、)この仕事を成功させたいか」
「出張はこの先も続くが、それでもやっていきたいのではないか」

 こうした質問をすることで、「当然、自分は仕事を成功させ、今後も続けていきたい」といった答えが出て、小さなことを気にしていただけと思い直せることは多いものです。

 自分自身によい質問をして、有意義な行動を取っていくのは、優れた友人に自分を前向きな方向へ導いてもらっているのと同じことです。その会話を大切にしていきましょう。
(文=松崎久純/グローバル人材育成専門家、サイドマン経営代表)