小倉優子

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 リクルートマーケティングパートナーズと日本産科婦人科学会は2月12日、東京・渋谷ヒカリエで「女性に寄り添う社会を目指すBaby+の意義と役割」をテーマに記者会見を行った。

 発表内容は2つだ。まずは、同社による産科医・妊産婦への「妊娠出産に関する情報の意識調査」の結果報告。そして、同学会の監修の下で同社が運営する「Baby+ お医者さんがつくった妊娠・出産の情報サイト」のアプリ版の本格的なスタートだ。

 妊娠・出産に関して、日本は最も安全な環境である半面、インターネット上の情報や祖母や母の世代から伝達された話など、真偽不明な情報もあふれているのが現実だ。そこで、同学会と同社の「信頼性の高い情報を妊産婦に伝えたい」という思いが一致し、アプリによる情報やサービスの提供が実現した。

 結婚情報サービス「ゼクシィ」は、安心安全な出産・子育てができる社会を目指すために2017年9月に「ゼクシィBaby」ブランドを立ち上げ、出産・育児関連の情報発信を行っている。

 そして、妊娠・出産という大きなライフイベントにおいて妊産婦の不安や課題を解消するために、24年間女性に寄り添ってきた「ゼクシィ」と23年間ママに寄り添ってきた雑誌「赤すぐ」のノウハウを結集させ、出産・育児の領域にサービスを拡張しているのだ。

●妊産婦に言ってはいけない「6つの言葉」

 会見の冒頭で、日本産科婦人科学会の藤井知行理事長は「今や情報は簡単に入手できる時代である半面、信頼性が乏しく、また古い情報があふれており、不必要な心配をし、本来受けるべき医療が受けられなくなっている現状がある。これまでも、本学会が協力するかたちで冊子『Baby+ お医者さんがつくった妊娠・出産の本』を5万部発行し全国で配布し、情報サイトも作成した。本日は、より一歩進んだ発表を行うのでぜひ注目してほしい」とあいさつを行った。

 信憑性が低いにもかかわらず正しい情報であるかのように広まり、それを鵜呑みにする妊産婦が増えているという現状がある。また、妊産婦が何を信じてどのように行動すればいいのかわからなくなるというケースも多い。その理由について、藤井理事長は「情報過多と、その質」と指摘する。だからこそ、「正しい情報を取捨選択できる環境づくりが大切」とも言う。

 リクルートマーケティングパートナーズの調査によると、妊産婦が妊娠・出産に関する情報を収集する先として、最も多いのはインターネット(63.2%)。しかし、ネット上の情報のなかにはネガティブなものも含まれており、約9割の産科医師と約7割の妊産婦が「妊娠中に手にする情報に課題がある」と認識しているという。

 その原因として、「情報の信憑性」を挙げる産科医師が約9割である一方、妊婦は約3割にとどまる。しかし、いずれも約5割が「情報過多」と認識している(同調査の有効回答数は産科医128名、妊産婦600名で、うち妊娠中が300名、産後半年以内が300名)。

「ゼクシィBaby 妊婦のための本」の尾花晶編集長は言う。

「妊娠中や出産後、約6割の方が心の不調を訴えています。わけもなく悲しく、無気力になり、『自信もなくなる』という声が上がっています」(尾花編集長)

 そこで尾花編集長が伝えたのは、パートナーが言ってはいけない「べからず集」である。これは、会見後に開催された、赤ちゃんとの生活をもっと楽しむためのイベント「ゼクシィBaby おでかけPark」で披露された。

 尾花編集長は「『あいしてます』の順で覚えてください」と前置きして、以下の6つを挙げた。

1.あ あとでいい?
2.い いってくれたらやるのに
3.し しごとがあるんだよね
4.て てつだうよ
5.ま まかせるよ
6.す すごい疲れた

 尾花編集長は「パートナーにこのような言葉を投げかけることは、パートナーの気持ちに寄り添っていない」「出産・育児は、パートナー同士で一緒に歩んでいくことが大切。妊産婦のなかには『自分のことは自分で解決する』という人もいるが、だからこそパートナーの助けや周囲の助言により楽になる」と解説する。

●「赤ちゃんの抱っこしすぎはダメ」は迷信?

 妊娠中や出産後の心の不調について、パネルディスカッションで日本赤十字社医療センター第三産婦人科の笠井靖代部長も同調した。

「出産はおめでたいことですので、『なるべく自分がしっかりしないといけない』と考えますが、周囲のサポートを受けることが必要。産後は不安も漠然としており、その不安が自身のことなのか、子どもの健康なのか、今後の育児のことなのか、整理することが大切」(笠井部長)

 また、笠井部長は「子どもの抱っこ」について言及した。「昔は『抱き癖がつくから、あんまり抱くのはよくない』という考えが主流でしたが、今は『愛情を寄せるために抱くことが大切』という考えです。祖母世代の情報は古くなっており、サポーターとなる人に正しい情報を伝達することが肝要」(同)

 東京医科歯科大学医学部付属病院精神科の竹内崇講師も、「(出産後は)一定の割合でメンタルヘルスに不調をきたすが、それは本人の責任ではない。心のバランスの問題で赤ちゃんをかわいいと思えない、けれども苦悩を表出できない。だからこそ、妊産婦やパートナーには知識の普及が大事」と述べ、精神的なサポートの重要性を訴えた。

 その知識の基になる情報だが、適切な情報を収集できずに苦悩する妊産婦もいるのが現実だ。そこで、竹内講師は「(情報のソースとして)重要なのは、学会や医師が直接執筆しているかどうかで取捨選択すること」とアドバイスした。

 正確な情報を適切な時期に伝達する。これは「アプリだからこそ容易になる」と強調するのが、日本産科婦人科学会の阪埜浩司幹事長だ。「Baby+」のアプリ化により、ユーザーにとってタイムリーな情報を正確に通知することが可能になる。

 阪埜幹事長は、「ひとりで買い物をするよりも、パートナーと一緒に買い物をしたほうがいい」「(妊娠中に)『高いところのものを取ると、へその緒が(胎児の首に巻きつくなど)心配になる』というのは迷信」などと語り、妊婦について「花粉症の場合に薬は飲んでいいのか」「インフルエンザの予防注射は打ったほうがいいのか」「もらえる補助金はどのようなものか」といった多くの情報について「責任を持って執筆する」と胸を張った。

「Baby+」のアプリは17年9月から愛知県内でテストマーケティングを実施し、同年12月時点で約6000名がダウンロード、月間22万ページビューを記録した。18年4月から、全国的な告知を展開する。

 リクルートマーケティングパートナーズと日本産科婦人科学会は全国の産婦人科に対して協同で普及活動を実施するため、今後もユーザーの増加が見込まれる。アプリはすべての機能が無料。赤ちゃんのアルバム機能や産院別おしらせ機能も実装したが、「現場の声を聞き、さらに進化する。ひとつの端末で同じ情報を共有することも検討している」という。

●2児の母・小倉優子が前園真聖にアドバイス

 また、12日にはイベント「ゼクシィBaby おでかけPark」も行われ、2児の母でタレントの小倉優子さんと元サッカー日本代表の前園真聖さんが特別ゲストとして出席した。

 小倉さんは昨年12月に結婚した前園さんに「パートナーをいたわることが大切ですよ」とアドバイスを送り、前園さんは「自分も“プレパパ”として勉強になりました。パートナーをいたわりつつ、一緒に歩むことの大切さもわかりました」「アプリ版『Baby+』についてもダウンロードします」と語るなど、パパになるための準備に力を入れる様子だ。

 少子化が叫ばれるなかで、「Baby+」が果たす役割は今後ますます大きくなっていきそうだ。
(文=長井雄一朗/ライター)