ジャケパンスタイルのイメージ(提供/森井良行)

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 私はこれまで金融・商社・保険・IT・メーカー・アパレル・接客業など、さまざまな業界で働く、のべ4000人以上のビジネスマンから依頼を受け、買い物に同行してきました。

◆「服のビジネススキル」の磨き方

 そのなかで毎回、「服を通じて、顧客にどんな印象を与えたいですか?」という質問をしていますが、意外なことに「清潔感ある印象」という回答はほとんど返ってきません。

 その代わりに上位を占めるのは「安心・親密・信頼」です。実際、服を通じてこれらの印象を顧客に与えることは可能です。相手と会話を交わす前、視界に入った瞬間からコミュニケーションはスタートしているといっても過言ではないからです。

 これらの印象を服で表現するのを「服のビジネススキル」と私は呼んでいます。前編では、相手の印象を良くする「3感」のひとつ「清潔感の作り方」について説明しましたが、後編では、残りの2つ「質感」「丈感」の正体に迫ります。

「質感」と「丈感」。あまり聞きなれない言葉かもしれませんが、どちらもスーツ以上に、主に「ジャケパン」の着こなしで重要視したいキーワードです。

◆今増えている「ジャケパン」スタイルとは?

 2004年にスタートした「クールビズ」、さらには昨今の「働き方改革」の影響もあって、スーツ以外の選択肢を検討するビジネスマンが増えてきました。その代表格がジャケパンです。生地が異なる上下のジャケット&スラックス。最近、こういう恰好の同僚を見かけませんか?

 私が買い物同行しているクライアントからも「ジャケパンの着こなしを知っておきたい!」という声は増えており、日に日にニーズは高まっています。

 ジャケパンと聞いて「(スーツに比べて)だらしなく見えてしまうのでは?」という不安を抱くビジネスマンもまだ多いでしょう。しかしながら、「質感」と「丈感」にこだわることで、ジャケパンでも「清潔感」を出しつつ、しっかり着こなすことは可能なのです。

◆スーツは光沢感を、ジャケパンには「質感」を!

 まずスーツとジャケパンはそもそも何が違うのか考えてみましょう。

 仕立ての良いスーツの生地は、光沢感がその良し悪しの尺度になります。高級な糸ほど細い糸で織られた生地は光の反射により微光沢を放ち、高級に見えます。しかしながら、たとえば同じウール糸を使っても、スーツとジャケパンの生地はまったく異なります。

 光沢感を重視するスーツジャケットに対し、ジャケパン用のジャケットでは生地の質感が特徴的です。ジャケパンでは、春夏の場合、麻・綿を混紡し、秋冬では「紡毛糸」と呼ばれるスーツ生地とは異なるウール糸を採用しているのです。

 特に、毛羽立ちを特徴とする秋冬のフランネル生地は、視覚的にも温かみが増します。この温かみこそ、安心・親密の印象づけに役立つのです。

 さらに配色にも注目すべきです。ジャケパンの定番ともいえる配色といえば? そう、紺色のジャケットにグレーのスラックス(ズボン)です! 上下の生地が異なるからこそ、ビジネスシーンにおいては派手な色遣いを求められないのです。つまり、ジャケパンの見せ場は色遣いより「質感」と言えるのです。

 そして、ついやってしまいがちなのが、購入済みのスーツジャケットにスラックスを合わせてしまう“似非”ジャケパンスタイル。質感がないスーツジャケットに生地の異なるスラックスを合わせた場合、その組み合わせはジャケパンとして成立するのでしょうか?

 当然、質感のないスーツジャケットにスラックスを合わせてもエレガントなジャケパンには見えません。むしろ、チグハグな印象に見えるリスクがあります。なぜなら、ネクタイを絞める着こなしまで含めて、スーツは完成するからです。