旅行代理店のH.I.S.と日本通信は、合弁会社の「H.I.S. Mobile(モバイル)株式会社」を設立した。H.I.S.が60%、日本通信が40%を出資する。これにあわせて日本国内で利用できる格安SIMの提供を開始したほか、5月からは海外70カ国において1日500円で利用できるサービスを提供する。

左からH.I.S.の澤田会長、H.I.S.モバイルの猪腰社長、日本通信の三田会長と福田社長

 国内向けサービスは500MBで月額945円(税別、以下同)。2GB、6GB、10GB、20GBのプランも用意される。2月15日〜3月15日に申し込むと1万名限定で期間中、月額390円で利用できるキャンペーンが実施される。

まずは海外用と国内用のSIMカード

 5月1日から提供される海外滞在時のサービスでは、当初は海外滞在中に利用する際には専用のSIMカードを使うが、年内にもSIMカード1枚で国内外を利用できるようにする方針。アプリで操作すると現地で1日500円で利用できるようになる。現地では1日200MB程度、利用できるよう、現在検討中だという。海外用SIMのみのニーズもあると予想しているとのことで、国内向けサービスは省いた海外SIMだけの販売も今後検討される。

 たとえば目的地まで複数国を経由する場合、乗り換え(トランジット)だけで滞在する国で通信すると課金され、さらに目的地でも新たに課金される。たとえば日本→スペインで、ドイツ経由というルートの場合、ドイツで使えば1日500円、同じ日にスペインに到着すればまた1日500円かかる形になる。中国で利用する場合、詳細は今後決まるとのことだが、現時点ではグーグルの各種サービスなどは滞りなく利用できるようになる見込み。

 国内、海外どちらのSIMカードもいわゆる一般的なプラスチックのSIMカード。ただし、海外用のSIMカードはローミングではなく、滞在国の通信事業者の回線として利用できるよう、アプリで情報を書き換える形になるという。日本人の訪問先のうち80〜90%はおよそ20カ国とのことで、ほぼ全てをカバーできる。

 訪日外国人向けのプランは今回発表されていないが、提供に向けて検討が進められる。

 2月15日より提供される国内向けプランでは、ドコモ回線版とソフトバンク回線版が用意される。ドコモ回線では月額945円(500MB)〜8000円(50GB)までラインアップ。ソフトバンク回線では月額1200円(500MB)〜5500円(20GB)が用意されるが、いずれもドコモ回線版のほうが安い形。1回あたり5分の通話がかけ放題となるオプション(月額700円)も提供される。

H.I.S.利用者がターゲット、まずは50万人目指す

 合弁会社のトップに立つ猪腰英知氏は、H.I.S.に勤めて23年、直前までハワイ方面を統括していた。「通信のことはわからない」と謙遜しつつもここ数年でスマートフォンが普及する一方で、海外での通信料の高さなどで悩む場面が多かったと語る。

 定番と言える地図アプリやSNSへの写真の投稿などのほか、機械学習によって精度が向上した翻訳アプリが登場してきたことで、海外を旅行するユーザーへ身近な通信環境をどう提供していくかという課題に挑むことになった。

 ここで猪腰氏が挙げたのは、大手キャリアの国際ローミング料金やモバイルWi-Fiルーターのレンタルといった既存サービス。「1日25MB、30MBで1000円で高くなる。よく利用されるモバイルWi-Fiルーターは調達するための手続きや、空港での受渡しが不便と指摘し、同社のサービスでは普段使うスマートフォンでそのまま海外へ行けるとアピールする。

 ただ、例に挙げた大手キャリアの料金については、大手キャリアの一部では1日980円で使い放題(ユーザーが国内で契約する通信量を消費)がすでに存在するものの猪腰氏は今回そうしたプランには触れないまま。それでも価格面で競争力があるとの認識を示し、20代ユーザーを中心に年間300万人に利用されるというH.I.S.の顧客をターゲットにする。まずはWeb販売ながら今後は店頭で契約できるようにすることで、旅行の計画にあわせて契約を提案していく。

 日本通信の福田 尚久代表取締役社長は、約1年前の昨春、H.I.S.代表取締役会長兼社長の澤田秀雄氏を訪問、グローバルで展開するH.I.S.との協議をスタートした。この背景には、携帯電話がインフラとなり、旅行には切り離せないものになったと福田氏。たとえば自動車に通信機能を搭載する場合、欧州ではフランス→ドイツへ移動すると、入国後の通信料金は現地のものに切り替わるとのことで、これを一般的なスマートフォンでも実現していく、と説明していた。