70代経営者、半数が後継者未定

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 東京商工会議所は「事業承継の実態に関するアンケート調査」を実施、報告書をまとめた。30代で事業を引き継いだ経営者が最も業況を拡大していたことが分かる一方で、現在トップの年齢が60代で約7割、70代でも半数近くが後継者決定段階に至らず、事業承継が急務であることがあらためて判明した。

 回答者の現在の年齢は40代が10・4%、50代が22・3%、60代が38・5%、70代が22・2%、80歳以上が4・5%。経営者になった年齢は20代が10・8%、30代が26・4%、40代が34・8%、50代が20・3%、60歳以降は7・7%だった。

 30代で事業承継した経営者の57%は「業況が良くなった」とし、「悪くなった」は10%だった。「悪くなった」は40代前半で18%、40代後半で17%、50代で15%、60代以降で10%と低下するが、一方で「良くなった」も40代前半が47%、40代後半と50代が45%、60代以降は44%と低下する。

 30代での事業承継が望ましいが、「既に後継者を決めている」は、全体の30・9%に過ぎなかった。「後継者はいる」が24・2%、「決めていないが事業継続したい」が32・5%。「売却予定」が1・8%で、「廃業予定」が7%もあった。

 早期事業承継が必要な60歳以上の経営者で見ると、後継者を決めている経営者は86%が社内外あるいは社内に周知し、10%が本人だけに伝えている。だが、後継者候補がいるとした経営者は誰にも伝えていないが36%にも達し、本人のみに伝えているも23%あった。

 事業承継に当たっては後継者教育、後継者への株式譲渡、自社株の評価額、借入金・債務保証の引き継ぎなどの問題も浮き彫りとなり、早期準備・対策の必要性が求められる。