ルンバやドローン、そしてpepper、再発売されたaibo。これらはすべてロボットです。AIの発達とともに、現在、注目されているロボティクス。工業分野だけでなく、サービスや介護、エンターテインメント、そして家庭でも、AIを搭載したロボットが登場しており、これらを使いこなし、そして新しいビジネスに結び付けることが期待されています。今回は、ロボティクスの専門家である著者が、わかりやすく書いた新刊『ロボットーそれは人類の敵か、味方か』の中から、エッセンスを抜粋して紹介します。

災害用ロボットのための
「国際競技」が行われた

前回書いたように、東日本大震災を受けて、災害用ロボットの研究をしようという気運がまた高まりました。
以前も、阪神・淡路大震災でレスキューロボットの研究開発に火が付いたという経緯があります。

 そして、2013年には、米国防総省と経産省で「『人道支援と災害復旧に関するロボットの日米共同研究』に関する合意書」が交わされ、それに基づき、「災害対応ロボットシステムの研究開発・実証プロジェクト」(2014―2015)がスタートしました。

 アメリカ側の背景としては、ボストン・ダイナミクス社(現在はソフトバンクが買収)の4足ロボット「BigDog」が荒れた路面での移動能力を進化させ、それに続く人型ロボット「Petman」などが開発されている時期でした。

「BigDog」は思い切り蹴っても倒れないというタフさを持っており、アメリカでは脚を使ったロボットに対する期待が上昇していました。

 そんな中、行なわれたのがDARPA(ダーパ)の国際競技会である「ロボティクスチャレンジ」です。DARPA(Defense Advanced Research Projects Agency)とは、米国防高等研究計画局のことです。

 この「ロボティクスチャレンジ」では、日本からは、4チームが本大会に出場しました。もう少し詳しくいうと、予選と本選があり、5チームがエントリーし、1チームが棄権のため4チームが本大会に出場しました。

 そのうち2チームがベースとしたロボットは、HRP−2(エイチアールピー・ツー)でした。大会参加者は、標準機を使うことも、自分のロボットで参加することも選択ができました。

 日本勢の結果はHRP−2を改良して出場した産総研の10位が最高位。しかし、予選での圧倒的な強さを見せたのが、東京大学発のベンチャー「SCHAFT」(シャフト)が開発したロボットS―Oneでした。

 ちなみにHRP−2というのはは、当時の通商産業省の「人間協調・共存型ロボットシステム」研究開発事業で2003年(平成15年)に開発された二足歩行ロボットです。
 そして大会の標準機はボストン・ダイナミクス社の人型ロボット、「Atlas」です(詳しくは後述します)。

 競技は、原発などのプラントメンテナンスや災害時対応を想定し、
・運転して、降りる
・ドアを開けて建物に入る
・壁に道具を使って穴をあける
・瓦礫を移動する

 など、8種類の内容が選ばれました。

 原発などのインフラは人間が作業することを前提に設計されているため、そのような場所では、人型ロボットだからこそ高い作業能力を示し、活躍できるのではないか、そんな狙いがこの大会にはありました。

 理論優先だったロボットの研究が、実践(それも過酷な場面)で使えるロボット研究に変化してきたのです。

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