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 これからクルマの電動化が加速していくと、気になるのは廃バッテリーのリユースやリサイクルの問題である。今回トヨタは、中部電力と基本合意書を締結したと発表。その内容は、電動車の駆動用電池をリユースした大容量蓄電池システムの構築と、使用済み電池のリサイクルについて実証を開始することであった。

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■廃バッテリー汚染は始まっている?

 トヨタは2月2日、2017年の電動車販売数を公表したが、過去最高の152万台。前年比は8%増だった。電動車で世界の先を行くトヨタだが、やはり寿命が短い廃バッテリーの問題は頭が痛い。早いうちにリユース・リサイクルシステムを構築しなければ、廃バッテリーのごみの山となってしまうだろう。

 中国でも、やはり廃バッテリーの処理問題がクローズアップされつつあり、EVとHVの電池廃棄量は、2020年に17万トンほどにもなると試算されているようだ。特に中国では、鉛酸電池を扱う個人業者の違法経営が多くあり、廃電池をそのまま燃やしたり、解体して中の廃酸を直接廃棄したりするため、深刻な二次汚染が心配されている。

■トヨタ電動車のバッテリーを回収しリユース

 バッテリーは、単体としては性能が低下したものでも、多数を組み合わせれば活用できるようである。トヨタ電動車のバッテリーを中国電力が蓄電池システムとしてリユースする。リユースされるバッテリーは、トヨタHVでこれまで大量に使用されているニッケル水素電池に加え、2030年度頃の蓄電池システムではリチウムイオン電池も活用する予定である。

 さらにリサイクルにおいても、レアメタルなどの材料を回収し、再資源化して活用する仕組みを確立することを検討している。これは新産業としても期待される。

 また、中国でも問題視されている電池の鉛汚染だが、鉛はひとたび人間の体に入ると排出されることはなく、鉛中毒になり健康被害が出る。これは、アメリカの大都市でも起こっている問題である。鉛電池でなくとも、リチウム電池の本体以外の基板や配線のハンダ部分には使用されているようで、再資源化される有用なレアメタルだけでなく、鉛の廃棄処分の方法ついても注視していかなければならないだろう。