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人気のシネマプライムがリニューアルして発売開始

カールツァイスは、2017年にミドルレンジのシネマプライムであるCP.2シリーズの後継にあたる新製品「CP.3」シリーズを発売開始した。CP.2から小型軽量化されただけでなく、上位バージョンのCP.3 XDではレンズデータの出力によりCG合成などのポストプロダクション作業の効率化を特長としている。そこで、今話題のCP.3シリーズや映像業界でも使われることが多いOtusやMilvusシリーズの特長について、カールツァイスの小倉新人氏に話を聞いてみた。

話を伺ったカールツァイス(株) リージョナルセールスマネジャーの小倉新人氏

レンズメタデータの記録にも対応したシネプライムレンズ「CP.3」について聞く

――他社との共同開発製品も含めて現在のツァイスの単焦点レンズのラインナップを教えてください。

小倉氏:弊社は現在、ARRI/ZEISS Ultra Prime、ARRI/ZEISS Master Prime、ARRI/ZEISS Master Anamorphic、ZEISS Compact Prime CP.2 Super Speed、ZEISS Compact Prime CP.3、ZEISS Compact Prime CP.3 XDの6つのプライムレンズ・シリーズを製造しております。

ARRI/ZEISSの3種類に関しては私共が製造してARRI社に供給しているレンズになります。ZEISSのCPシリーズに関しては、CP.1、CP.2を経て現行モデルがCP.3となります。15mmから135mmまでの10焦点距離があり、スタンダード仕様とレンズデータ付きの2種類を用意しています。他社にない特長としては、さまざまなカメラで使用可能な5種類のマウント対応と、距離表示がメートルとフィートの2種類からお選び頂けるという高い自由度があります。

ARRI社と共同開発製品は、主にレンタルマーケット向けの製品として供給しています。CPシリーズやズームレンズのCZシリーズに関してもレンタルで使われる方が多いですけれども、個人ユースも半々ぐらいまで迫っています。

CP.2 SuperSpeed(中央)と新しく発売を開始したCP.3(左と右)
――CPシリーズは、ツァイスのシネレンズで最も成功した製品であることや、一眼レフデジタルカメラにシネマ革命を起こしたレンズとも言われています。CP.1やCP.2がなぜここまで受け入れられたのか。また、リリースされた当時の反響などを教えてください。

小倉氏:率直に申し上げて、CP.1は商業的には成功した製品ではありませんでした。CP.1は5焦点距離のラインナップで、マウントはPLまたはEFいずれかの選択式でした。またCP.1は35mmフルサイズに対応して中小規模プロダクションでも使いやすい価格ではありましたが、2007年当時はまだミドルレンジのシネマカメラがそれほど多くなく、レンズのメリットを感じて頂ける機会が少なかったのではないかと分析しています。

しかし、そのCP.1で学んだことを踏まえて翌2008年に発表したCP.2では10焦点距離に増え、またレンズマウントは5種類からユーザーが自分で交換できる方式(IMS交換マウント)を採用しました。折しも2008年はキヤノンEOS 5D Mark IIやRED ONEなど、デジタルシネマの世界にデモクラシーをもたらしたカメラが登場し始めた年でもあり、この年からCPシリーズは大きく花開くことになります。

――CP.2やCP.3はPL、EF、F、E、マイクロフォーサーズの5種類の交換マウントに対応しますが、どのタイプの出荷が多いですか

小倉氏:CP.1、CP.2までは、PLマウントが7割、EFマウントが3割でした。しかし、CP.2の後期からCP.3をリリースしてからはEFマウントが6割、PLマウントが4割のような感じでEFマウントが増えてきています。

その原因の1つとして、AMIRAやALEXA miniなどのARRIのカメラでもカメラボディ側でEFマウントが用意されているケースが増えていることが挙げられます。また、VARICAM LTもEFマウントを標準採用していますし、キヤノンのシネマEOSシリーズはもちろんEFマウントです。REDもEFマウントの出荷台数の比率が高いのではと予想しています。ということで、EFマウントが使えるカメラがキヤノン機だけではなくなってきている傾向がこのような結果につながっていると考えています。

――ツァイスのCPはドイツのイエナとオーバーコッヘンの工場で作られていて、ツァイスのスチルカメラ用レンズは日本の製造提携先で作られていると言われています。なぜシネマレンズはドイツで製造されているのでしょうか

小倉氏:弊社のシネマレンズは、少量多品種かつ非常に高い精度が要求される製品群です。大規模なラインで大量生産するのではなく、工員ひとりひとりが製品に習熟して複数の組み立て工程を行っているのですが、ツァイスのドイツ本社工場ではこうした生産体制が古くから確立されており、この製品群に適した生産背景を敢えて他国に移すことには現在のところメリットを感じておりません。

ちなみに、弊社イエナ工場ではレンズの基礎加工(成形・研磨)とコーティングを行い、それを毎週本社オーバーコッヘン工場に運んでレンズのコバ塗り、鏡筒のメカ組み立てとレンズ組み付け、検査を行っております。

CPシリーズはドイツ南西に位置するオーバーコッヘンの本社にて製造されている
――CP.2とCP.3の焦点距離のラインナップは、ZE/ZFシリーズのClassicシリーズと一緒です。Compact Primeシリーズの光学設計はZF/ZEシリーズと同じですか

小倉氏:CP.2とClassicでは光学設計に共通性はありますが、鏡筒に収める部品としてのレンズ形状はシネとスチルでは異なりますし、またシネとスチルではレンズ中央に位置する絞り羽根の構造が大きく異なるために、同じ部品を流用することはできません。また、CP.3では再設計されて開放値が明るくなっている焦点距離もあります。つまり、弊社では同じ焦点距離では基本設計は共有しながらも、過去の膨大な設計ノウハウを活用してシネとスチルのそれぞれの要求案件に対応して設計を最適化しております。

たとえば、スチルの写真は一般的に逆光であまり撮らず、順光で撮ることをよしとしています。しかし、シネマなどは逆光を積極的に使い、ミュージックビデオやコマーシャルでは木漏れ日の中から差し込む逆光のフレアやボケを生かして撮影をすることがあります。

ボケの形状は絞り羽根の形状と同じになりますが、一眼レフのスチルレンズは絞り全体の質量を小さくするために10枚以下が一般的です。しかし、シネのレンズは瞬間的に開け閉めする必要がないので、羽根の枚数は14枚や16枚、レンズによっては18枚の絞り羽根を備えているものもあります。そのため、スチルとシネのレンズで同じ逆光のシーンを撮り比べてみると、描写がまったく異なる場合もあります。

CP.3 28mmの絞り羽根。CP.3シリーズは14枚の絞り羽根により、ほぼ円形のボケを実現できる
――光学設計以外ではどのような違いがありますか

小倉氏:CPは初めからシネレンズとして設計されており、300°のフォーカス回転角やクリックのないスムーズな動作の多枚数絞り、レンズ径およびギア位置の統一、交換式マウント、1本1本検査した後に個別に刻まれる極めて正確な距離指標などが製品特長として挙げられます。

これに対してスチルレンズのOtus/MilvusはCPUを内蔵し電気接点を付加したZEマウントとZF.2マウントの2種で展開し、シネレンズと比較して短いフォーカストラベル、開放測光に対応した瞬間絞り、レンズ構成に依存した外装デザイン(多様な鏡筒の長さやフィルター径)などが特長です。なおMilvusのZF.2マウントでは、絞りをデクリックしてスムーズな絞り操作ができる設計が取り入れられています。

CP.3シリーズの28mmと50mm、85mmを並べたところ。前玉外径のサイズやレンズギアの位置が統一されている
――2017年に発売が開始されたCP.3シリーズにはどのような特長がありますか

小倉氏:CP.3はCP.2を全面的にブラッシュアップしたシリーズで、光学コーティングは一新されて耐フレア特長が向上し、鏡筒は小型軽量になり重量バランスが向上しました。フォーカスメカニズムの刷新によってトルクが軽くスムーズになり、現在販売されている小型のシネマカメラに装着したときのバランスが向上し、ジンバルやステディカムでの運用時の取り回し性も向上しました。

これで撮影システム全体の小型化にも少なからず寄与していると思いますし、フォーカスが軽くなったので非力なフォーカスモーターを付けてもストレスのないフォーカス送りが可能になっています。

CP.2シリーズ(右)では50mmマクロを除くすべてのレンズの前玉外径は114mmだが、CP.3シリーズ(左)では前玉径を95mmに統一して小型化を実現している
――CP.3 XDは、レンズデータテクノロジーを搭載することによってどのようなことが可能になりますか

小倉氏:CP.3 XDに搭載されたZEISS eXtended Data(XD)は、これまでハイエンドなシネレンズのみでしか対応していなかったレンズデータを、より幅広い層のユーザーにも活用して頂けるように開発されました。実際、ポスプロソフトウェアも低価格化が進みPCスペックの向上も手伝って、従来は高度な処理を行えるVFXスタジオのみでしか処理できなかった作業も、その多くが個人所有のパソコンで賄えるようになりました。

そこでXDは、従来のレンズデータの基本である焦点距離、撮影距離、絞り値に加え、撮影距離ごとの歪み収差補正と周辺光量減光補正のデータをレンズ側に搭載して、この情報を元に撮影現場のPC上で簡単に補正後の映像を確認することができるようになりました。これによって撮影部は映像がポスプロで補正を掛けた後にどのようにクロップされるか、湾曲がどのように補正されるかを収録前および収録中に確認することができ、より精度の高い構図取りや効果的なレンズ選択を行うことができるようになりました。

この技術はVFX合成だけでなく、4Kオーバーの高画素収録時には建築や風景といった一般的な撮影でも、画面品質の向上によって大きく恩恵を受けることができます。

CP.3 XDにはレンズ本体にCooke /iと互換性のある「ZEISS eXtended Data」のエンコーダーと接点を搭載している
――「CP.3」でも交換可能なマウントを採用していますが、どのような手順で行いますか

小倉氏:レンズマウントを固定しているトルクスネジを外せば、簡単にマウントを交換することができます。レンズ後端の基部とレンズマウントの間には、フランジバック寸法を調整するためのシムが挟み込まれており、これはユーザー自身の手で手持ちのカメラ本体に合わせて厚みの調整ができるようになっています。こうした作業のための交換マウント、ドライバー、テストチャート、シムはすべてカタログと価格表に掲載されており、通常に販売しております。

――CP.3シリーズでも、特にオススメのモデルがあればご紹介をお願いします。

小倉氏:15mmや21mm、そして25mmなど、弊社の広角レンズは以前からその描写性能に高い評価を頂いて参りました。今回CP.3で新規設計された18mmも、極めてシャープかつ隅々まで解像力が高く画面平坦性に優れたレンズとして8Kでのテスト撮影を行ったキャメラマンの方から高い評価を頂き、単焦点ならではのキレが体感できるレンズとしてオススメできます。

標準域や望遠域のレンズも、そのヌケやボケ味の良さなどでそれぞれ特長がありますが、前出のCP.3 18mm/T2.9はまさに新世代のZEISSレンズのクオリティスタンダードを築く1本ではないかと思っています。

■CP.3はユーザーの手によってマウント交換が可能

CPシリーズは、CP.2より量産型シネレンズとして世界で初めてユーザーの手によって交換できるマウントを採用している。そこでCP.3シリーズのシム調整やマウント交換を行う手順を小倉氏に実演していただいた。

(1)交換マウントを留めている8本のトルクスネジを外していく。トルクスネジを緩める順番は特に意識する必要はない。

(2)8本のトルクスネジを外すと交換マウントを外すことができる。CPシリーズは焦点距離によって後玉の直径が異なるため、マウントはその口径に合わせて数種用意されている。交換にあたっては、自分が所有している焦点距離を確認し、それに適合するマウントを用意しておくこと。

(3)交換マウントを外すと、マウントの裏側には対応する焦点距離が印刷されている。マウントの下にはシムが収まっている。シムはユーザーの手によってフランジバックの調整をするためのもの。緑のシムは0.076mmで、工場出荷時からベースシムと呼ばれる厚手のメタルシムも入っている。

(4)調節用のシムは11種類用意されている。厚さごとにシルバー(0.013mm)、ゴールド(0.019mm)、パープル(0.025mm)、ライトブルー(0.032mm)、赤(0.038mm)、ブルー(0.051mm)、白(0.064mm)、緑(0.076mm)、オレンジ(0.102mm)、ライトパープル(0.127mm)、クリア(0.152mm)などの色によって調整時に迷わないように工夫されている。シムを色別にしたのもツァイスが最初とのこと。

(5)もっとも薄いシムはシルバーの0.013mm。

(6)ツァイスのWebページで「Mount Change Instructions」を公開しているので、そちらを参考にシム調整を行う。マウントを戻す際には対角線の順番でトルクスネジを締めていく。

(7)マウント交換時のビス締め付けトルク値は0.4Nmと規定しており、ツァイスでは工場指定のトルクで締めるドライバーをアクセサリーとして用意している。こちらを使えばどんなに力を入れても0.4Nm以上の力がかかることはない。

■CP.3シリーズはMONSTRO 8K VVセンサーにも対応

CP.3シリーズとMONSTRO 8K VVセンサー搭載WEAPON BRAINを組み合わせたデモも見せて頂いた。CP.3はもともと35mmフルサイズをカバーするレンズとして開発されているが、イメージサークルに余裕があるため、20x40mmのセンサーサイズをもつMONSTRO 8K VVセンサーでもケラレなく像を結ぶ。ツァイス本社で配布している対応表にも現在はMONSTROが記載されており、CP.3が極めて幅広いカメラに対応していることを示している。

MONSTRO 8K VVセンサーを搭載したWEAPON BRAINとCP.3の組み合わせ(機材協力:株式会社ビデオサービス)40.96mm×21.6mmのセンサーサイズを使った8Kネイティブで撮影中。画面の隅から隅までケラレや画質低下が見られない

スチルカメラ用のOtusとMilvusシリーズの特長について聞く

――ClassicシリーズはMilvusにリニューアルしましたが、リニューアルのポイントを教えてください。

小倉氏:Classicは過去10年以上にわたって、そのさらに前はコンタックス時代からも、伝統的なツァイス光学設計に基づいたレンズ群として多くの写真愛好家の方々に親しまれてきました。しかしこの10年で写真映像を取り巻く世界は大きく変わり、フィルムからデジタルへ、さらに高画素やHDRといった新しい技術要求が増えています。そこで、従来のClassicを否定するのではなく、新たにデジタル時代に最適化した「今のツァイスからの回答」としてご用意したのがMilvusです。

Classicに比較すると各種収差を補正するためにレンズ構成はより複雑になり、またレンズ枚数も増えていることから鏡筒もやや太く長くなっています。しかし鏡筒が長くなったおかげでフォーカスヘリコイドの噛み合わせ幅が増えてトルクが一定かつスムーズになり、幅広のラバー製フォーカスリングと相まって操作フィーリングが大幅に向上しているとご評価頂いております。Mlivusではレンズコーティングも一新し、逆光や斜光に強くなって、これがコントラスト向上に寄与しています。さらに、レンズの接合部各所にはシリコンのシーリングを施し、水滴や埃をなるべく鏡筒内部に入れないような努力をしているほか、ZF.2マウントでは絞りのデクリック機構を備えています。

Classicからデザインも大幅にリニューアルしたMilvusシリーズ
――Milvusシリーズは50mm/F1.4のレンズ構成がDistagonにリニューアルしました。これにより何が改善しましたか

小倉氏:例えば、ClassicにはあったPlanarT*1,4/50などは弊社の基本中の基本とも言えるレンズで、およそ100年前の基本設計がそのまま活かされている奇跡的な例です。これは中心はシャープに、しかし周辺描写やボケ表現には個性のあるレンズで、少ない枚数のレンズでフィルム撮影には必要十分な性能を出すことができました。

しかし現在は30メガピクセルオーバーのデジタルカメラが増え、撮った写真をモニター上で大きく拡大して鑑賞する機会も増えていることから、そうした環境に相応しいレンズ設計を行う必要がありました。そのために今回Milvusでは、従来では広角レンズに多用されていたDistagon設計が採用されました。Distagonは構成が複雑になりレンズ枚数も増えますが、これによって倍率色収差をはじめデジタル撮影でトピックとなる様々な収差を低減することが可能となりました。

――OtusとMilvusの違いや、棲み分けがあれば教えてください。

小倉氏:Otusは弊社が持つ設計製造のノウハウの粋を極めたらどんなレンズができるだろうか、というテーマで開発された、弊社スチルレンズシリーズのフラッグシップです。極めて高額でデリケートな硝材を、非常に高い精度を要する組み立て工程を経て製造しており、クラス最高の光学性能をお届けします。ポートレートから風景写真まで、絞り開放から他に類を見ないクリアで高精細な描写を提供し、またその大きなボケも魅力となっています。

しかしOtusはその価格も他シリーズとは随分離れてしまったので、その間のギャップを埋めるべく高い性能をより手の届きやすい価格で実現できるように開発されたのがMilvusです。Milvusは光学的な絶対性能ではOtusにはやや及びませんが、Classicからは光学的にも機械的にも飛躍的な高性能化を遂げており、多くのユーザーにご満足頂けるバランスの良い製品だと考えています。

Milvus 50mm(左)とOtus 55mm(左)。同じ50m台のレンズだが、Otusはレンズ構成が複雑で鏡筒も大きくなっている。
――OtusやMilvusシリーズは動画撮影でも人気のレンズです。映像業界でも選ばれる秘密を教えてください。

小倉氏:近年映像業界ではEマウントおよびEFマウントのシネマカメラが多く使われるようになりました。ZEマウントとZF.2マウントの2種で販売されているOtus/Milvusは、EFボディであればZEレンズをそのまま、EマウントボディであればZEレンズをEマウントアダプターを介して取り付けることができます。E/EFマウントカメラユーザーの多くが便宜的にEFマウントのスチルズームレンズを使って映像作品を撮っていますが、画質やフォーカス送りの利便性において必ずしもそれに満足をしているとは言いがたいと思います。

しかしそうした方々は、本格的なシネレンズを導入するには予算的な制限がある…そうしたときに、高画質でフォーカスの回転角が大きく、インフに機械的なストップがあり、しかもシネレンズほど高額ではないOtus/Milvusが受け入れられているのだと思います。

Otus 28mmとOtus 85mm。Otusシリーズは映像業界でも人気のレンズだ
――動画撮影ではZFとZEのどちらがを選んだら良いのか、また、どのようなカメラとの組み合わせが多いなどの傾向はありますか

小倉氏:映像業界ではつい3年ぐらい前まで、絞りリングが付いているという理由でZF/ZF.2マウントのほうがポピュラーでしたし、このZF/ZF.2の絞りリングをデクリックしてスムーズな絞り操作をできるようにする改造を行っている業者さんもいます。

しかし今日ではその流れは少し変わり、ZEレンズをそのままEFマウントボディに取り付けるケースが増えています。これはカメラ側からの絞り操作にユーザーが抵抗を感じなくなったこと、撮影中(REC中)に絞りを操作するケースが少ないこと、そしてカメラボディによっては(Panasonic Varicam LTなど)ボディ側からでも絞りを非常にスムーズに操作できること、などの要因があると思われます。

――最後に映像業界で使うレンズで、選び方にアドバイスがありましたらお願いします。

小倉氏:元来、シネレンズはレンタルで使うのが当たり前でしたが、そこに個人所有もありえるレンズの需要を生み出したのはツァイスです。また、CP.2をリリースしたころは一般的なデジタルシネマカメラというとEOS 5D Mark IIやRED ONEぐらいしかありませんでしたが、その後、ソニーはPMW-F5/F55、キヤノンはCINEMA EOSシリーズ、Blackmagic Designが多くのシネマカメラをリリースし、4K化と映像業界の裾野の拡大が進みました。ツァイスはこうした業界動向をある程度予見して、時代が求める性能と価格帯とのバランスを考えながら、幅広い製品群を提供しています。

その一方、レンズは最初に質の高いものに投資をしておけば末永く使うことができます。というのも、多くの撮影機材レンタル会社で1970年代のツァイスレンズを今でもレンタル運用して頂いています。写りは必ずしもシャープではないのですけれども、それを最新のREDのカメラにつけて味のある映像表現として活用していただくことも多いです。このように古いレンズもまだ活用されているところを見ると、レンズは20年から30年の長い目で見ていくものだと感じています。現在最新モデルであるCP.3も10年、15年と経てばメインストリームのレンズではなくなるかも知れませんが、その時には「クラシック」と呼ばれてその描写が愛されているかも知れません。「レンズは資産」というのが我々の考え方なのですが、お客様にも長期的な展望に立って永く使えるレンズをお選び頂きたいと思っています。

txt・構成:編集部
Vol.00 [新世紀シネマレンズ漂流:最新単焦点レンズ編] Vol.02(近日公開)▶