2月27日、メルカリと子会社のソウゾウのシェアサイクル「メルチャリ」が福岡で登場する。

メルカリの松本氏(左)と井上氏(右)

 フリーマーケットアプリが高い人気を得る中、シェアサイクル事業は、メルカリにとって初めての実世界のサービス。13日の記者説明会では、なぜシェアサイクル事業へ進出するのか、そして競合他社に対するアドバンテージがいったい何か、明らかにされた。

循環し無駄がない世界

 「メルチャリ」の運営元は、メルカリ100%子会社のソウゾウ社だ。2015年に設立されたソウゾウは、同社グループ内でも新規事業を産み出すことを目的として設立された。

 これまで地域コミュニティアプリ「メルカリアッテ」、本やCDなどエンタメ領域に特化した個人間取引の「メルカリカウル」、中古ブランド専門の「メルカリメゾンズ」、そして撮影するだけですぐ入金されるという昨年11月ローンチの「メルカリNOW」といったサービスが新たに提供されてきた。今回の「メルチャリ」はソウゾウにとって5つ目の新サービスだ。

 「メルチャリ」では、ログインする際にメルカリのIDを用いる。これにより会員登録の手間がなくなり、支払い手段もメルカリとメルチャリで共通化できる。そのため、主にメルカリユーザーが「メルチャリ」を利用するものと想定されている。

 そのメルカリは、フリーマーケット、つまり個人同士がそれまで所有していた物を融通しあう場でもある。これが「メルチャリ」、すなわちいわゆるシェアリングエコノミーと親和性が高い部分だとメルカリ執行役員兼株式会社ソウゾウ代表取締役の松本龍祐氏は語る。

松本氏

「メルカリでは買って所有する世界から、買って売る世界に変えたいと考えている。これはあらゆるものが循環して無駄がなくなるということ。メルチャリでは、自転車を買って乗る体験から、皆で利用する、使いたいときに使う形になる」

 オンラインとオフラインという違いはあれど、メルカリとシェアリングエコノミーには通底する価値観があるというわけだ。

「共同運営」は実現するのか

 メルチャリでは、GPS搭載の自転車を、専用アプリでQRコードで読み取るだけ、という手軽な使い方を導入する。専用アプリを起動すると、地図が表示され、駐輪ポートの場所と利用できる自転車の台数、ポートの外に駐輪されている自転車が示される。

 こうした使い勝手に加えて、メルチャリが特徴として打ち出す要素が「共同運営」だ。これはユーザーが何らかのアクションを通じて参加し、メルチャリの利便性を高めようとする仕掛けだ。

 たとえば、ポートの外にある自転車をポートに持って行く。あるいは、自転車が故障していれば専用アプリから報告する。はたまた自宅や、自らが運営する店舗の前に駐輪ポートを設置する。参加を促すために、そうしたアクションを行うと独自ポイント(今回はマイルと名付けられた)が付与されるほか、ゲーミフィケーションの考えも取り入れてバッジの発行などが行われる予定。駐輪ポートを設置すれば何らかの恩恵も今後検討されるという。

 はたして本当にユーザーがそうした行動を採るのか、福岡で検証するとのことで「メルチャリ」のプロジェクトをリードするマネージャーの井上雅意氏は「今回、実地で試すのが難しい。一方で、メルカリはコミュニティとして機能している部分がある。インセンティブがなくとも、違法な商品があったり、こんなユーザーがいた、という報告に参加される方が多数いる。これが実世界でも機能する可能性があるのではと仮説を立てた。相性がいいのではないかと思っている」と語る。

 基本的に、いわゆる性善説に基づく形となり、もしポート外に置いたり、駐輪禁止の場所に停めるといった行動を採るユーザーがいても、一度の違反でいきなり罰則ということはない。ただしユーザーの利用動向はチェックしており、違反を重ねるユーザーには警告したり、ひいては利用制限をかけるといったことはあり得るという。

 「日本ではポートなしのサービスは難しい。どれだけ拡大できるかは、個人ユーザーの参加規模による」と井上氏は説明。メルカリ自身の投資によって法人などでポート設置を進める一方で、個人の力にも期待を寄せる。

想定利用時間は15分、既存交通機関の穴を埋められるか

 地勢としてフラットな場所ということもあって、最初のサービス開始エリアとして福岡を選んだ、というメルカリ。

 井上氏は「かなり短い時間でも使われると考えて1分4円に設定した」と説明する。公共交通機関が発達しているエリアであり、バスで移動した後に、最後の移動手段として「メルチャリ」を使う、といった形を想定。1回あたりの利用時間はおよそ15分程度を見込む。

 なお、福岡以外の地域での展開については、時期を含めて、まだ検討中とのことで、コメントできるものはないという。