82歳の美容家が教える、ラクに生きるために「すること・しないこと」

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 風通しの良い人生を送るコツ。

 人生が思うようにいかない! と嘆いたり悩んだりする人は、案外多いかもしれません。でも人生は、「今」が連なってできたもの。だったら、今この時の過ごし方をちょっとだけ変えてみませんか。

『これはしない、あれはする』は、簡単に実践できる日々の教訓がいっぱい。著者の小林照子さんは、現役の美容研究家兼メイクアップアーティスト。なんと御年82歳。

 とはいえ説教臭さはまったくナシ。人生における整理整頓の仕方や気持ちよく日々を過ごすコツを、やさしい語り口で説いているのです。

◆“いいね!”が付いたかどうかをいつまで気にするの?

 本書は「しないこと」と「すること」の2章に分かれていて、とてもシンプル。例えば、「詮索(せんさく)しない」。SNSが横行する昨今、“いいね!”が付かなかったことへの疑問や、イベントに誘われなかった不満など、こたえのないモヤモヤに苦しむ人であふれています。そんなことに苦しめられるくらいなら、いっそ探り合いの種を捨ててしまおうではないですか。

 本書にも、節度ある友情の育み方が載っており、「年齢とともに、家庭のこと、自分の体のことで人に知られたくないこと、根掘り葉掘り聞かれたくないことは出てくるもの」と諭(さと)しています。ほどよい距離感を保つのが、大人のたしなみなのですね。

◆気持ちは言葉にした瞬間、目に見えるものになる

 次は「いやな言葉は口にしない」。

 私は、女装家さんと接する機会が度々あるのですが、男装の時よりも女装している時のほうが、圧倒的に物腰も優雅で艶(つや)っぽいのです。メイクの効果もさることながら、言葉づかいや口調の魔法にいつも驚かされます。その魅力は、一緒にいる女の私よりも、ナンパされるのは常に女装家さんというデータが如実に物語っているでしょう。

 話が横道にそれましたが、本書でも「言葉にすると、実現が早くなる」と断言しています。82歳の著者が言うのですから、間違いありません。

 反対に、「乱暴な言葉、汚い言葉は、いつかブーメランになって自分に戻ってくる」のだとか。口はわざわいの元ですが、いやな言葉を使うと、自分までいやな気分になりますよね。

◆物事を自分で決めることはこんなに大事

 さて、仕事に結婚、悩んだ時の神頼みと言いますか、物事の決断を誰かにゆだねる人も多くいます。いろんな占いにハマる人もいるかもしれませんね。そんなあなたが「すること」は「自分の芯を持つ」こと。

 いつだって、人生は迷い道。私も選択の連続で、両親にさんざんダメ出しされてきました。でも、私は凸凹だらけの過去、そして凸凹だらけであろう未来を愛してやみません。人生のかじ取りは自分でするもの。自分で決断したなら、荒波だって越えられるはず。

 本書の「信じるものはいつも、自分の中にあるのです」、この一文が心のお守りです。八方ふさがりになったら、深呼吸をして、自分の芯を信じてみようではありませんか。

◆何歳になっても、成長したいと思える素敵さ

 私事で恐縮ですが、40歳を過ぎた頃から体力も気力も落ち、いよいよ人生も終盤か、とゆううつになりました。しかし本書はそんな嘆きも一蹴。40歳なんてまだまだヒヨッコ、「60歳だろうが70歳だろうが、人生は新しい扉をひらくことができる」と言うのです。

 以前、著者のところに59歳の婦人が美容を学びたいとやってきたそうです。彼女は61歳でプロになり、69歳で亡くなりました。実は、彼女が美容を学ぼうと決心した時に、すでに余命いくばくもないのをご自身で知っていたのだとか。人生を変える決心が、彼女の寿命を10年も延ばしたのです。この著者の経験談を読み、私は私だけの毎日が、一日一日が愛おしくなりました。

 本書に記されているたくさんの「しないこと」と「すること」は、ほんのささいなことばかりです。しかし、つい見逃してしまう小さな心がけが、人生を美しく、たくましくつくり上げていくのだと思います。

<TEXT/森美樹>