くしゃみの瞬間、鼻をつまんで口を閉じたら「喉の後部が破裂」して重体に……(depositphotos.com)

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 くしゃみが出そうな時は、我慢しないほうが良いかもしれない。くしゃみを我慢しようと鼻をつまみ口を閉じたところ、喉の奥が破裂して、会話や飲食も困難になった男性がいるという――。

 英レスター大学病院NHSトラスト耳鼻咽喉・頭頸部外科のWanding Yang氏らは、くしゃみを抑えると、喉の裂傷や鼓膜の損傷、脳血管の破裂などを引き起こす可能性があるとする研究成果を、英医学誌『BMJ Case Reports』1月15日オンライン版に発表した(「HealthDay News」2018年1月16日)。

くしゃみを我慢するため鼻をつまんで口を閉じたら大惨事に

 Yang氏らの症例報告によると、34歳の英国人男性は、Yang氏らの病院の救急科を受診するまでは健康だったが、受診時、喉の痛みと声の異常を訴えた。

 患者は「くしゃみを我慢するため、鼻をつまんで口を閉じたところ、首のあたりでポンと音を立てて破裂したような感覚があった」と説明したという。

 救急科の医師らが患者をCAT(コンピューター断層撮影)のスキャン画像で診断すると、抑制されたくしゃみの力によって、喉の後部が破裂し、首から胸にかけて空気がポンとはじける音やパチパチと響く音が聞こえ、胸の深部組織や筋肉まで気泡が入り込んでいた。

 患者は、7日間入院し、喉の腫れと痛みが軽減するまで鼻に入れたチューブから栄養剤を投与する経腸栄養が行われ、抗菌薬が静脈投与された。その後、患者は医師から「くしゃみを我慢しないように」という忠告を受け、無事に退院した。

 Yang氏らによると、外傷によって喉の奥が破裂する場合を除けば、喉の奥が破裂するのは稀だ。ただ、くしゃみだけでなく、嘔吐やひどい咳によって破裂する可能性も否定できない。

 また、くしゃみを抑えれば、喉の奥の破裂だけでなく、両肺の間に空気が貯留する縦隔気腫や、鼓膜の損傷、脳動脈瘤の破裂などの危険もある。そのためYang氏らは「鼻腔と口を塞いでくしゃみを抑えるのは危険な行為だ」と警鐘を鳴らしている。

セックスを妄想すると、くしゃみが出るのはなぜ?


 くしゃみの迷信がある。「一に褒められ、二に振られ、三に惚れられ、四に風邪」。当たらずとも遠からず。たかが、くしゃみだが、我慢すれば破裂となれば、迷信どころではない。ところが、くしゃみとセックスの意外な関係を探った研究がある。

 英国の医師のMahmood Bhutta氏とHarold Maxwell氏は、セックスを想像するたびにくしゃみの発作に見舞われた患者の事例を英国王立医学協会(Royal Society of Medicine)の医学誌『Journal of the Royal Society of Medicine(JRSM)』に報告した(「AFPBB News」2008年12月20日)。

 報告によれば、Bhutta氏らは、インターネット上のチャットルームを分析したところ、男女17人がセックスを想像するや否やくしゃみを発し、別の3人はオーガズムに達した後にくしゃみを発した事実が判明した。

 くしゃみは、性的興奮の兆候の可能性があるので、相手がくしゃみをすれば、性的な関係を妄想しているサインになるのだろうか?

 Bhutta氏は「この反射行動は、自律神経系の神経の配線に残された進化の過程における遺物を示すもの。この現象は、遺伝する可能性もある」と述べる。

 心拍数の変化や瞳孔の収縮などを制御している自律神経系は、自意識によってコントロールできない。だが、Bhutta氏によると「自律神経系は、ときどき信号が混線する場合があるため、セックスのことを考えた時にくしゃみをするのではないか」と説明する。

 セックスとくしゃみの関係性を示す研究論文は、世界の医学誌にも1〜2件しかない。最も近年の報告は、69歳の男性がオーガズムに達した後に、激しいくしゃみに悩まされているとする研究で、1972年に米医師会の医学誌『Journal of the American Medical Association(JAMA)』に掲載されている。

 Bhutta氏は「困惑や社会的な抑制がこの話題の報道を妨げているが、さらなる研究によって光が当てられるかもしれない」と期待を込める。その後の研究成果がが待ち遠しい。

くしゃみは自分で抑制できない

 さて、不吉がられたり、恐れられたり、ありがたがられり、評価が定まらないくしゃみ。

 くしゃみ(sneeze)は、1回ないし数回の痙攣的な吸気を行った後に強い呼気をする反応(不随意運動)なので、自分で抑制できない。また、くしゃみが出ると、瞬間的に目をつぶったり、腕の筋肉が収縮・硬直したりするため、自動車の運転や機械操作の時、熱い飲み物を飲んでいる時などは危険だ。
 
 風邪やインフルエンザの季節。くしゃみによる唾液の飛散には注意が必要だ。米国疾病予防センター(CDC)によれば、くしゃみをすると、唾液の飛沫は、約1m飛び、1回のくしゃみで病原菌がおよそ10万個も飛散する。

 ただ、風邪やインフルエンザなら飛沫感染の恐れがあるものの、くしゃみの我慢は禁物。くしゃみや咳が出るときは必ずマスクをしよう。

 本サイトの「感染予防はマスクだけでは不十分! インフルエンザ拡大を防ぐ「咳エチケット」とは」もぜひ読んでほしい。
(文=編集部)