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●線路の点検作業をメディアに公開

2017年11月15日、東急田園都市線で輸送障害が発生。約5時間にわたって運休し、通勤に大打撃を与えた。以前から田園都市線における輸送障害は目立っていたが、設備の老朽化に起因するものが多く、対策は進められていた。

ところが昨年に起きた輸送障害は、比較的新しい設備の不具合によるもの。これを受けて11月18日から12月13日の期間中、のべ2,120人を投入して点検を行った。この際、緊急性の高い不具合は見つからなかったが、対策を強化。たとえば、11月の輸送障害の主原因になった「き電・高圧配電ケーブル」の精密点検を、これまで5年に1回実施していたが、2年に1回に改める。また、緊急時の要員は二子玉川に集中していたが、地下路線区間にある各駅に配置するとした。

○地下路線は夜間の点検がメイン

そもそも田園都市線は地下路線区間が長く、緊急事案が起きた際、その箇所までの移動に時間がかかることは容易に想像できる。地下路線区間の各駅に保安員を配置することで、初動を速くし、迅速に対応しようというわけだ。また、地上路線区間ではおもに昼間に点検、地下路線区間では営業が終了した夜間に点検するという。これは地下路線区間には待避場所が少なく、点検作業の安全性を高めるための措置だ。

点検作業が公開された渋谷駅付近

そんな東急電鉄が2018年2月に保守・点検作業をメディアに公開した。鉄道事業者が地下路線区間の点検作業を公開するのは、異例のことといってよいだろう。それだけに昨年11月の輸送障害発生により、東急電鉄が受けた危機感の高さがうかがえる。

点検作業が公開された区間は、渋谷駅〜池尻大橋駅のあいだ。すべての電車が車庫に入ったことを確認した午前1時30頃より作業が開始された。

●終電から始発までの短時間で作業

おもな点検箇所はき電ケーブルや電車線、信号ケーブル、高圧配電ケーブルなど。オレンジ色の作業服を着用した複数の保安員により、現状の目視、接続部や湾曲部などを中心とした触手点検、軌陸車による点検作業が行われた。点検時間は2時間30分ほど。早朝5時頃には始発電車が走り出すため、4時頃までには撤収作業を終えなくてはならない。その後、各職場において始業点検や確認が行われる。

短い時間でこれだけの点検作業を行っているとは考えたことがなかった。電車の終電から始発まで、鉄道事業者は静まりかえっているのかなと思っていたが、まさに鉄道事業者は昼夜を問わず活動しており、その結果、われわれに“脚”としてサービス提供されているのだなと素直に思った。

○東急電鉄がトップ人事をリリース

左が新会長就任予定の野本氏。右が4月に新社長就任予定の郄橋氏

話は変わるが、メディアへの点検作業公開の数日後に、東急電鉄に大きなトピックがあった。東急電鉄代表取締役の人事異動の発表だ。これまで同社の代表取締役社長を・社長執行役員を務めていた野本弘文氏は、4月に代表取締役会長に就任。新たに代表取締役社長を・社長執行役員は、郄橋和夫氏が務めることになった。郄橋氏は東急バスに勤めた後、東急電鉄取締役、同社経営企画室長などを歴任した人物。経営企画室長という、企業の“かじ取り”を担ってきただけに期待がかかる。

東急電鉄は鉄道事業者としては多角的に事業を展開しているイメージが強い。鉄道事業の安全を第一に、輸送力の強化・最適化はもちろんのこと、沿線の活性化にも力を注いでいる。たとえば二子玉川ライズ。30年以上の長い年月をかけて再開発されたこの地は、今や郊外における商業施設やオフィス、レジデンスの複合施設として多くの集客を獲得している。

東急グループの拠点ともいえる渋谷地区も、セルリアンタワーや渋谷ヒカリエといった代表的なランドマークのほかに、再開発が進められている。旺盛なインバウンド需要を取り込むホテル・リゾート施設も強化しなくてはならない。このほかにも多くの事業を手がけている東急電鉄だけに、新社長の手腕が試されるところだ。

さて、話を2017年11月に戻そう。実は11月下旬に東急電鉄などが進めている、旧東横線渋谷駅跡地で進められている再開発の見学に誘われていた。ところが、この見学予定日の直前に田園都市線の輸送障害が発生し、この見学は中止となった。渋谷駅前のさらなる変化を見学できるとあって楽しみしていたが、少し残念だ。また機会があれば誘っていただきたい。