ディスカバリーコミュニケーションズ(Discovery Communications)は、今回の平昌冬季オリンピックのオーディエンス像をより明確に把握したいと考えている。そこで同社は、リニア放送やデジタルプラットフォーム、SNSのエンゲージメントメトリック(指標)から集計したデータを集約しているという。

コンテンツ消費がオンラインにシフトし、視聴方法が多様化するに伴い、テレビとデジタルの視聴パターンを結びつけることが難しくなってきた。2月9日から韓国の平昌で開幕している冬季オリンピックは、人々がスポーツを観戦する際の視聴方法を放送関係者が把握できる絶好の試験台だ。これらのメトリックはまだ広告取引の通貨としては利用されていない。しかし、最終的にはそれが目標であるため、今回の試験で得られた情報は、ディスカバリーが2020年の東京オリンピックの企画を立てる際に役立つことになる。

「主な目的は、常により多くの人に、そしてより多くのスクリーンで、スポーツ観戦してもらいたい、ということだ」と、ディスカバリーネットワーク・インターナショナルのプレジデント兼CEOのJBペレット氏は語る。「実際には、いまも我々の住む世界ではテレビの視聴率をもとに、テレビの健全性や進歩について語っている。まったく時代遅れだ」。

3グループのメトリック



ディスカバリーはクライアントおよびパートナーに向け、3グループのメトリックを多数提供したいと考えている。ひとつが、ディスカバリーが所有および運営するプラットフォーム全体を通じての動画利用時間だ。プラットフォームは多岐にわたり、テレビの有料番組や無料番組、ストリーミングサービスやデジタル、アプリ、SNS、そしてヨーロッパ全域に30ある提携リニアテレビとなる。残りふたつは、ディスカバリーのプラットフォーム全体および提携するリニアテレビのユーザー数、そして、Snapchatのディスカバー(Discover)のようなSNSメディアプラットフォームのエンゲージメント(「いいね!」、コメント、シェア)の総数だ。

ディスカバリーは13億ユーロ(約1755億円)かけて、2018年から2024年まで、ヨーロッパにおけるオリンピックのデジタルおよびテレビ放映権を取得。国ごとでなく、地域全体の放映権が付与されるのは史上初のこととなる。

ディスカバリーは、すべてのイベントをEurosport networksやEurosport.com、ケーブルテレビや有料テレビのオプション、さらにはAmazonやSnapchatでの無料コンテンツと有料コンテンツの双方を通じて、ライブ放送およびオンデマンド配信する。

通貨考案は時間がかかる



イギリスではテレビの視聴状況を次のようにして把握する。5100世帯から成るパネラーの視聴状況を、BARB(ビデオリサーチ機関)が測定し、それを全人口向けに換算・推定するのだ。BARBは「プロジェクト・ダブテイル(Project Dovetail)」というデジタル視聴と連携するイニシアチブに参加。メディア業界は長きにわたって視聴習慣をより正確かつ完全に把握してきたが、放送局やメディアエージェンシー、クライアント、測定会社など複数の関係者がそれぞれの既得権を有していることから、集合的な変化に対して対応が遅くなる。

「金銭的な要因は、非常にリアルだ」とペレット氏はいう。「通貨がいかに考案されるか、という点が変化すると、人々は不安になる。それに潜在的なリスクが伴えば、人々がそれを克服するのに時間がかかることになる」。

ディスカバリーは、ピュブリシスメディア(Publicis Media)のスポーツエンタテインメント部門とも提携。オリンピック後の調査において、重複排除されたユニークなリーチへのアプローチ法および計算方法を構築するためだ。デジタルスポーツコンサルタントのセブンリーグ(Seven League)でパートナーを務めるダニエル・エアーズ氏によると、このことでメソッドに信頼性が加わるという。

実態把握のための第一歩



より正確なレポートを作成するのは良いことだが、いずれの測定方法にも不完全性があるため、オリンピックの全体像を把握するには、各々固有の問題がある。

アイリス(Iris)の戦略およびコンサルティング担当部門であるアイリスコンサイス(Iris Consise)のアソシエイトディレクター、ジャック・ギボン氏は「それぞれの地域には独自のSNS利用パターンがあり、アドバイイングにおいて異なる地域間でSNSのエンゲージメントを比較するのは難しい」と話す。「ユーザーデータやほかのスポーツキャンペーンとの比較内容を推測するのには、マーケターにはまだ困難だろう」。

ペレット氏はすぐに、これが正確な視聴率の実態を知るための第一歩だと指摘し、アスリートのストーリーや時差、そしてスポーツ試合でビッグマーケットがどの程度実績を上げられるか、というような変数がすべて視聴数に影響すると認めている。

「増加の一途をたどる唯一の数字が、SNSとデジタル視聴だ」。

Lucinda Southern(原文 / 訳:Conyac)