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○はじめに

ゼロからはじめるAzure、Azure Machine Learningの回もこれで最後です。前回の記事では、予測用のExperimentを作成し、Webサービスを公開しました。ゼロから作るととても面倒な予測用のExperimentの作成ですが、Machine Learning Studio(以降MLStudio)ではとても簡単に作成することができました。そして画面からとExcelからの二通りの方法でWebサービスを呼び出す方法をご紹介しました。

今回はAzure Resource Manager(ARM)対応版としてリリースされた新しいAzure Machine LearningのWebサービスの作成・使用方法をご紹介します。現在はまだPreviewですが、近い将来にARM対応版のWebサービスが正式版となるでしょう。

○前回の状態の確認

まずは前回記事で作成した状態を確認しましょう。前回の記事では予測用のExperimentを作成しました。

[1] Experiment全体が正常終了していることを確認する

前回の記事の冒頭と同じ作業となりますが、アクティブになっているタブが「Predictive experiment」であることを確認し、Experiment全体の実行が正常終了しているかを確認してください。

正常終了していない場合は、RUNボタンをクリックして正常終了させてください。

○Webサービスをデプロイする(NEW版対応)

では今度は新しいWebサービスをデプロイしましょう。

[1]Webサービス(NEW)をデプロイする

画面下部の「DEPLOY WEB SERVICE」にマウスポインタを合わせて、表示される「Deploy Web Service [New] Preview」をクリックします。

すると新しい画面が立ち上がり、Webサービスポータル画面のWebサービスデプロイ画面が表示されます。

この画面ではデプロイするWebサービス名とプランを選択、もしくはプラン新規作成ができます。ここではWebサービス名はデフォルト名のままとし、プランは本記事の一番最初でAzure Machine LearningのWorkspaceを新規作成した時に作成したプラン「mynaviPlan」を選択して「Deploy」をクリックします。

しばらく待つと画面が切り替わり、作成したWebサービスのQuickstart画面が表示されます。

○画面上でTestする

画面上で入力値をセットしてWebサービスを実行してみましょう。メニュー「Test」をクリックし、テキストボックスに入力値をセットしてから「Test Request-Response」ボタンをクリックします。入力値はClassicWebサービスの時と同じものを使用します。

入力したデータ

画面の右側に結果が表示されます。Classicの時と同じ結果なのは当然ですが、かなり見やすくなっています。

Testの入力値にサンプル値を表示させることが可能です。メニュー「Configure」を開き、「Sample Data Enabled?」をYesにしてSaveしてください。再度Testを開くと、サンプル値が表示されます。

註:Sample Data Enabled?をYesにしておくことで、この後使用するサンプルソースにもサンプルデータがセットされた状態となり、テストが素早くできるようになります。

○サンプルアプリでTestする

では最後にWebサービスをアプリケーションから起動してみましょう。

メニュー「Consume」を開きます。余談ですがExcelのリンクがあります。これをダウンロードすると前回記事のClassicWebサービス作成とテストでご紹介したExcelによるテストと全く同じことが可能です。

下へスクロールすると、サンプルソースが表示されます。これを使用してWebサービスを起動します。

[1]Visual Studioでプロジェクトを作成する

Visual Studioを起動します。ここではVisual Stduio 2017 Enterpriseを使用します。お持ちでない方は https://www.visualstudio.com/ja/ より無料のCommunityエディションをダウンロードをしてセットアップしてください。

ファイル > 新規作成 > プロジェクトを選択します。

今回はコンソールアプリケーションでWebサービスを起動してみます。Visual C# の中からWindows クラシックデスクトップを選択すると、様々なプロジェクトが表示されます。その中からコンソールアプリ(.NET Framework)を選択します。名前と場所、ソリューション名にはお好きな名前と場所を入力してください。今回はデフォルトのままで作成します。

[2]ソース修正

Program.csが開いた状態だと思います。

ここへ先ほど表示させたサンプルソースを貼り付けます。その前にサンプルソースを見てみましょう。

static async Task InvokeRequestResponseService()

{

using (var client = new HttpClient()) // .螢エストをPOSTするためのHttpClientオブジェクトを生成

{

var scoreRequest = new

{

// Webサービスに渡す入力値をセット

Inputs = new Dictionary>> () {

{

"input1",// ※ポイント1

new List>(){new Dictionary(){

{

"age", "39"

},

// ・・・省略

{

"native-country", "United-States"

},

}

}

},

},

GlobalParameters = new Dictionary() {

}

};

// Webサービスの認証情報をセット

const string apiKey = "abc123"; // Replace this with the API key for the web service

// ※ポイント2

client.DefaultRequestHeaders.Authorization = new AuthenticationHeaderValue( "Bearer", apiKey);

// Webサービスのエンドポイントをセット

client.BaseAddress = new Uri("https://.services.azureml.net/subscriptions//services//execute?ion=2.0&format=swagger");

// Webサービスへ問い合わせ

HttpResponseMessage response = await client.PostAsJsonAsync("", scoreRequest);

// μ笋す腓錣桟覯未鯢充

if (response.IsSuccessStatusCode)

{

string result = await response.Content.ReadAsStringAsync();

Console.WriteLine("Result: {0}", result);

}

else

{

Console.WriteLine(string.Format("The request failed with status code: {0}", response.StatusCode));

Console.WriteLine(response.Headers.ToString());

string responseContent = await response.Content.ReadAsStringAsync();

Console.WriteLine(responseContent);

}

}

}

InvokeRequestResponseServiceというメソッドで全ての処理を行われています。このメソッドで、Webサービスのエンドポイントに対してリクエストをPOSTします。処理の流れは以下の通りです。

.螢エストをPOSTするためのHttpClientオブジェクトを生成

Webサービスに渡す入力値をセット

Webサービスの認証情報をセット

Webサービスのエンドポイントをセット

Webサービスへ問い合わせ

μ笋す腓錣桟覯未鯢充

特筆すべき点は特にありませんが、知っておくべきポイントが2つあります。1つは「Webサービスに渡す入力値をセット」でscoreRequestという匿名型を使用しています。このscoreRequestの1つ目のディクショナリ型のパラメータ「Inputs」にKEY名「input1」で値をセットしていますが、このinput1というKEY名は、Webサービス用のExperimentを作成した時に自動的に挿入された「Web service input」モジュールのプロパティで定義されているものです。従って、このKEY名を修正したければExperimetを修正してから再度Webサービスを作成しなければなりません。

もう1つのポイントは「Webサービスの認証情報をセット」でAPIキーをAuthorizationヘッダーにセットする実装です。サンプル実装では、HttpClientオブジェクトのDefaultRequestHeadersプロパティを使用して、AuthorizationヘッダーにAPIキーをセットしていますが、これはあくまでもサンプル実装だと思っておいた方が良いでしょう。

HttpClientは負荷が高い処理であるため、複数回の呼び出し時が発生する場合には再利用する前提で生成・使用します。作成するソフトウェアの特性にもよりますが、一般的にリクエストの度に生成することはしません。 そのためAPIキーのような認証情報は毎リクエストの度にセットするべきですが、DefaultRequestHeadersプロパティを使用するとAuthorizaionヘッダーがリセットされないためバグの元となります。

参考:https://blogs.msdn.microsoft.com/shacorn/2016/10/21/best-practices-for-using-httpclient-on-services/

註:HttpClient.DefaultRequestHeadersプロパティを使用しない場合は、System.Net.Http.HttpRequestMessageクラスとHttpClient.SendAsyncメソッドを使用します。実装例は以下の通りです。HttpClientを再利用する場合、System.Net.Http.HttpRequestMessageクラスはリクエストの度に作成します。

// リクエスト終了時にコネクションを切断しない(clinet変数はHttpClientオブジェクト)

client.DefaultRequestHeaders.ConnectionClose = false;

// endpointにはWebサービスの接続先URIの文字列をセット

var requestMessage = new HttpRequestMessage { Method = HttpMethod.Post, RequestUri = new Uri(endpoint) };

requestMessage.Content = new StringContent(Newtonsoft.Json.JsonConvert.SerializeObject(scoreRequest), Encoding.UTF8, "application/json");

// apiKeyにはWebサービスの管理画面に表示されるKEYをセット

requestMessage.Headers.Authorization = new AuthenticationHeaderValue("Bearer", apiKey);

// リクエスト発行

HttpResponseMessage response = await client.SendAsync(requestMessage);

それでは実装してみましょう。サンプルソースの右上にソースをコピーできるアイコンがありますのでクリックします。

Program.csにデフォルトで実装されているコードを全て削除し、コピーしたサンプルソースをペーストします。

System.Net.Http.Formattingが見つからなくてエラーとなっています。必要なライブラリが不足していることが原因です。

プロジェクトの中にある参照を右クリック > NuGet パッケージの管理をクリックします。

タブを参照に切り替えてから、検索ボックスに「Microsoft.AspNet.WebApi.Client」と入力します。Microsoftが提供している

同名のモジュールを選択し、インストールボタンをクリックします。

ライセンスへの同意を求めるダイアログがポップアップします。同意します。

インストールが正常に終了すると、System.Net.Http.Formattingが見つからなくてエラーとなっていた箇所はエラーがなくなってます。

1か所だけソースの修正が必要です。WebサービスへアクセスするためのAPIキーがソース内部にハードコーディングされているのですが、その値は「abc123」です。これを正規のキー値に書き換えます。

再度Webサービス画面の「Consume」メニューを開きます。画面上部にあるPrimary Keyの右側にあるコピーアイコンをクリックします。

サンプルソースを貼り付けたProgram.csの79行目に、APIKeyの値をハードコーディングしている箇所があります。

コピーしたAPIKeyを貼り付けます。

[3]起動する

ソースには既にサンプルデータが実装されているはずです。(サンプルデータが実装されていない場合は、「Configure」の「Sample Data Enabled?」をYesにしてSaveして後に再度サンプルソースをコピーしてください)

デバッグ > デバッグなしで開始 を選択します。

黒い画面が立ち上がり、しばらくすると結果が表示されます。

画面でTestした時とは入力値が違うため、Scored Probabilitiesが異なる値となっていますが、無事に予測結果が取得できました。

○最後に

いかがだったでしょうか。Azure Machine Learningを使うと環境構築からモデルの作成、評価から公開までがとても簡単に実装できることがおわかりいただけたかと思います。本番プロジェクトで機械学習を用いるには、データのクレンジングや使用するアルゴリズムの決定、パラメータの調整、再トレーニングをしたモデルを入れ替える方法について勉強する必要がありますが、まずは全体の概要と流れを掴むことが大事です。本記事がその助けとなるようでしたら、大変嬉しく思います。

WINGSプロジェクト 上坂 貴志(株式会社ネクストスケープ)著/山田祥寛監修<WINGSプロジェクトについて>テクニカル執筆プロジェクト(代表山田祥寛)。海外記事の翻訳から、主にWeb開発分野の書籍・雑誌/Web記事の執筆、講演等を幅広く手がける。一緒に執筆をできる有志を募集中