カブスへの移籍が報じられたダルビッシュ【写真:Getty Images】

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カブスと6年137億円で契約合意、ダルビッシュは「新たな犠牲者となった」

 ドジャースからフリーエージェント(FA)となったダルビッシュ有投手の去就がようやく決着しようとしている。10日(日本時間11日)に米メディア「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者がカブスとの契約合意を速報したことを受け、複数の米メディアが一斉に報道。6年総額1億2600万ドル(約137億円)の条件で、出来高を含めると最大で1億5000万ドル(約163億2000万円)、またダルビッシュが2年後にオプトアウト(契約破棄)する権利を保持することなども報じられている。

 現在は身体検査の結果待ちとされており、近日中に正式発表される見通し。現地ではヨエニス・セスペデス外野手が2016年11月にメッツと4年1億1000万ドル(約120億円)で契約して以来の1億ドル(約108億円)超えとなったことが伝えられ、カブスのFA契約市場では4例目の大台となったことも紹介された。昨夏に31歳を迎えたダルビッシュには長期契約を懸念する見方も一部で出ていたが、現時点で37歳のシーズンまで契約を結ぶ結果にもなった。しかし、それでも米メディアの中には今回の契約を「割安」とする報道も出ている。

 今回の契約合意を受け、「カブスがユウ・ダルビッシュを割引価格で獲得し、厄介なオフシーズンのトレンドは続く」と報じたのは、米スポーツ誌「スポーツ・イラストレイテッド」電子版だ。

 特集では今オフのFA市場が歴史的な停滞を見せていることに触れ、「この動きにより、獲得可能な最高の投手が信じられないほど遅い時期にFA市場から姿を消した」とレポート。この合意によって、必ずしもFA市場が動きが加速するとは言い切れないことを伝えた。

ドジャース、ヤンキースの動きに「苛立たしい」

 そしてダルビッシュについては多彩な変化球、高い奪三振率を誇ることを踏まえて「今冬の戦利品」と紹介。昨季見られた一時期の不調や年齢面の懸念点を指摘しつつも、「毎冬、このことはすべてのFA選手に当てはまる。よって、なぜ最高の投手とオフシーズン最終週までどこも契約をしなかったのかという説明にはならない。そして、なぜダルビッシュがシカゴから6年1億2600万ドルの契約しか得ることができなかったのかという説明にもならない」とレポートした。

 記事では過去、トップクラスの先発投手が手にした大型契約にも言及。デビッド・プライスがレッドソックスと7年2億1700万ドル(約234億円)、マックス・シャーザーがナショナルズと7年2億1000万ドル(約227億円)、ザック・グリンキーがダイヤモンドバックスと6年2億600万ドル(約222億円)の大型契約を結んだことを紹介しつつ、同投手らよりレベルが落ちる投手でも年平均でダルビッシュより高年俸を手にしている選手がいることも指摘した。その上で「その素晴らしさにも関わらず、ダルビッシュはオフシーズンにおいて新たな犠牲者となった」と伝え、通常なら金額をつり上げるはずのヤンキースやドジャースが投資を節約したことを要因の一つとして挙げた。

 これを踏まえ、同誌は「強力な入札者がおらず、カブスはチャンスを待ち、割引価格でダルビッシュを獲得することができた。ドジャースやヤンキースのような大金持ち球団がフィールド上のことよりも贅沢税を優先させるのは苛立たしい。また、ツインズやブルワーズがエース候補を獲得しないのは理解に苦しむ」と手厳しく論じている。

 ダルビッシュの契約が果たして「割安」なのか。最終的な評価は今季以降の活躍にも左右されるだろう。以前からサイ・ヤング賞候補に挙げられている右腕は昨年のポストシーズンの経験によってワールドシリーズへの意気込みも見せている。メジャー3球団目となる新天地で存在感を放ち、改めて自身の価値を証明したいところだ。(Full-Count編集部)