アスリート・マネジメント・ソリューション

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 ゴールラインまでの「秒数」、会場での「得点」、オリンピック競技と数値は切っても切り離せない関係である。同様に、こうした競技の裏側、例えば選手をケアする病院や診療所においても、数値やデータは非常に重要である。

 選手の血圧、心拍数、体温といった基礎的なデータだけでなく、もっと幅広いデータ、例えば、選手のX線や超音波のスキャン結果はどうだったのか、トレーニングはどのくらいの量を、またどこで行うのか、そして選手が競技を行う会場の環境といったデータが考えられる。

 これらすべての情報が一つになるとき、医師は、エビデンスに基づき、一人ひとりに適切かつ迅速な意思決定を下すこと、つまり、「プレシジョン・ヘルス」を実践することができる。

 この「プレシジョン・ヘルス」というビジョンのもと、国際オリンピック委員会とGEヘルスケアはこの冬季大会に向けて新しいアナリティクス・ソリューション開発を進めてきた。

 アスリート・マネジメント・ソリューション(AMS)と呼ばれるこのソリューションは、画像データ、脈拍などの患者のバイタル情報、位置情報、イベント、スポーツ関連情報を含む複数のデータを収集し、リアルタイムでダッシュボード化することができる。

 このダッシュボードによって、医療関係者、そして選手一人ひとりが大会を通じてケガや病気の傾向を知ることができ、個別化したケアを受けられる。

 このソリューションの目的は、選手の健康と安全を確保し、よい成績が残せるようにサポートすること。また長期的には、今後のオリンピック大会での選手の健康管理と安全対策の改善に役立てられるようにすることも目的としている。

 IOCの医療科学ディレクターであるRichard Budgett博士は次のように話す。「デジタル・トランスフォーメーションを通じ、IOCは世界的なアスリートのケガを予防するというミッションを追及している」と。

 「オリンピックとオリンピック冬季大会では40種目が開催されるが、選手は個別の健康状態の管理とケアを必要とする。AMSによって、個々の選手に合ったトレーニングと治療を医師が行うために役立つ情報が提供でる」という。その結果、選手が最高の状態で競技に臨めるようサポートができるのだ。

 このソリューションは、診断、治療、経過観察を含め、患者一人ひとりに適した処置を適切なタイミングで行うための包括的な患者ケアのアプローチ、つまりプレシジョン・ヘルスに対するGEヘルスケアのコミットメントを反映している。これはオリンピックにおいては、選手の医療履歴、トレーニング環境や種目の違いなどを考慮することを意味する。

 AMSは、オリンピック出場選手を何年にもわたってサポートをするためのヘルスケアテクノロジーの進化を示している。リオ大会では、GEヘルスケアのセントリシティ・プラクティス・ソリューションと呼ぶ電子カルテで、初めて大会出場選手の医療データを管理することが可能になった。

 リオ大会以前では、IOCは、オリンピック出場選手の医療記録を過去に遡って調べるために、世界中から「紙の書類」を集めなければならなかった。

 この結果、情報が不十分だったり、記録が不適切だったりと、選手をケアするためのプレシジョン・ヘルスを実践する機会を逃していた。

 現在では、AMSを用いて、データを収集するだけではなく、重要な医療情報やスポーツ関連情報と併せて分析を行えるようにななった。

 医師たちはいつでもどこからでもー山の斜面にいても診療所にいても、または地方の病院であってもーデータにアクセスしインプットを行うことができる。

 また、AMSは9カ国語に対応しています。さらに医師は、自身にもっとも馴染みのあるフォーマットでデータを閲覧することができきる。

 オリンピック選手は、それぞれ独自のデータ-生物学、生物力学、トレーニング、心理学、栄養学そして競技特有の情報-を必要としており、選手や医師は、それらの重要なデータすべてを収集・分析するためにつねに忙殺されていた。

 そして、医療ケアにおいては、非常に多様な患者とケアへのアプローチがあることも忘れてはいけない。しかしAMSはたった一つのプラットフォーム上で、しかもモバイル・多言語対応でこうした情報を統合することができるという点が画期的。

 GEヘルスケアのバイス・プレジデント兼CEOであるJorg Debatin博士は「オリンピック選手は長年にわたり、国を代表するトレーニングを行っている。彼らのこれまでの並外れた努力に報いるために、医療のスピードもクオリティもそれに合わせるべきと考えた。AMSは、データを行動に移するための知見に変え、そしてすぐに治療ができるように医師をもサポートするのだ」と話す。